飲酒と体外受精の治療成績の関係

妊孕性に影響する因子

2009年10月27日

American Society for Reproductive Medicine 65th Annual Meeting

女性、男性、ともに、週に6単位※以上のアルコールを飲む夫婦は、体外受 精で妊娠、出産に至る確率が25%低下することが、ハーバード大学医学部の研究チームが実施した試験で明らかになりました。

初めての体外受精を受ける予定のあるカップル、2574組を対象に、アルコール摂取の量や頻度、よく飲むアルコールの種類などを調査しました。

平均年齢は、女性が35歳、男性が37歳で、週に1単位もアルコールを飲まないのは、女性では56%、男性で34%いました。
毎日、飲むのは女性で4%、男性で5%でした。

年齢や喫煙、体重の影響を排除し、飲酒と体外受精の治療成績を分析したところ、週に6単位以上のアルコールを飲む女性は妊娠率が18%、同じ量を飲む男性はパートナーの出産率が14%低下、さらに、同じ量を、女性、男性、ともに飲むカップルは、出産率が25%低下しました。

アルコールの種類では、女性は白ワイン、男性はビールが、最も治療成績にマイナスの影響を及ぼしていました。

白ワインを週にワイングラスで1~9杯飲む女性は、出産に至る確率が24%低く、移植のキャンセル率が23%高く、毎日ビールを飲む男性は、パートナーが出産に至る確率が30%低く、移植のキャンセル率は38%高かったとのこと。

研究チームのリーダーは、妊娠を目指す女性はお酒をやめるようにアドバイスされるべきだとしています。

コメント

アルコールと妊孕性の関係についてはエビデンスは明確ではありません。

ただし、今回の報告から、妊娠しづらい状態にあるカップルにとっては、そうでないカップルに比べて、アルコールの摂取が妊娠する力に及ぼす影響が大きいということが言えるかもしれません。

精子も卵子も成熟するのに約3ヶ月かかることから、体外受精を予定しているカップルは、少なくとも治療に3ヶ月前から、二人とも禁酒するのが無難であると専門家は指摘します。

ただし、お酒を飲めば、妊娠できなくなるというわけではありませんので、お酒を飲まないことが、かえって、ストレスになるようであれば、量に注意して飲むほうがよいのかもしれません。

※1単位のアルコールに相当する量

  • ビール、発泡酒 250ml(中ビン、ロング缶の半分)
  • チュウハイ 180ml(コップ1杯、350mlの缶の半分)
  • 焼酎 50ml ・日本酒 80ml(0.5合)
  • ワイン 100ml(ワイングラス1杯弱)
  • ウィスキー 30ml(シングル1杯)

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