ロワ佐奈子のセルフコントロール講座 妊娠しやすいココロをつくる
ロワ 佐奈子
第18回 「欲しいもの」が持ってくるもの
唐突ですが、今私には「手に入れたいもの」があります。具体的に何が欲しいかについては割愛しますが、今日は「欲しいもの」に関する気持ちの分析をしてみたいと思います。
まず、「欲しいもの」があるとき、みなさんはどんな気持ちでしょうか。それを手に入れたときのワクワクを想像して嬉しく楽しい気持ち、「どうやって手に入れようか」と方法を探すことを楽しむ、あるいは悩む、「手に入らなかったらどうしよう」と心配する、などさまざまでしょう。
今の私はというと、ワクワク感よりも悩みの方が大きい状態です。それは、「どうやって手に入れようか。」「もしかしたら手に入れることは無理なのでは?」といった不安要素が強いためです。
思い返すと、あかちゃんが欲しかった時にも同じ気持ちの波がありました。あかちゃんを待つワクワクした気持ちから、「あれ、できないな。」と心配が芽生え、あかちゃん待ちが長くなるにつれ不安が強くなってゆきました。当時の私は、「あかちゃんさえ授かれば人生すべてがバラ色になる。」と感じていました。そして、あかちゃんを授かることのできない自分がいる現在を灰色一色だと思い込んでいたのです。
では、当時の私を取り巻く世界は、ほんとうに灰色一色だったのでしょうか。そんなことは絶対なかったはずなのですが、私はその「欲しいもの」にばかり気持ちを集中させ、それが「手に入らない」ことをただただ悲観していたのだと思います。
この状態、このままにしておくとどうなるでしょうか。例え無事にあかちゃんを授かったとして・・・これで人生バラ色。万歳!では終わりません。そのうち、ワーキングマザーのおともだちと自分を比較して、子育て一色の自分を哀れんだり、我が子を他人のこどもと比べては「うちの子は・・・」となってゆく可能性が大いにあると思うのです。つまり、「欲しいもの」は永遠に出てくるのが常であり、それはそれでよいのですが、そこばかりに固執して人生が前に進まなくなるのでは本末転倒ではないかと。
では、そうなってしまわないためにはどうするべきでしょうか。答えは2つ。
まずひとつ目は、「気持ちの整理」です。当連載の第3回でお話しした「4つの箱〜不安の整理」を実施してみましょう。不安や心配事は漠然と灰色のまま放っておくとどんどん増えていってしまいます。そのうち、ほんとうはバラ色の部分さえも、灰色に見えるようになってしまうことも。不安や心配を整理することで、灰色の部分は白と黒に分けることができます。
ふたつ目は、「吾唯足知」(われただたるをしる)
京都の龍安寺にあるつくばいに刻まれている大変有名なことばを拝借しました。「足ることを知る人は、不満を垂れず今を大切に生きることができる 」といった解釈ができます。「欲しいもの」は、それに向かって希望や野心を持つことで自分を向上させる、プラスの要素でもあります。でもそれは、今の(それを持っていない)自分を不満に思う気持ちをも生み出す危険性があるのです。
今の私は、今の自分(の持っているもの)を大切にする気持ちを知っているからでしょう。 悩んでいる「今」も人生の一部と受け止め、悩みながらも冒険を楽しんでいるような、そんな自分を発見中です。正直、不安に押しつぶされそうな時もあります 。でも全てが灰色に見えることはもう絶対ない。希望は捨てずに、今を大切に過ごす。なぜなら、私たちは未来や過去に生きているのではなく、今を生きているのですから。