ロワ佐奈子のセルフコントロール講座 妊娠しやすいココロをつくる
ロワ 佐奈子
第23回 いかにひとは「今」に生きられないか?〜理論編〜
前回お話しした「今を生きる」ってどういうこと???
と、はてなマークがまだいっぱいのみなさんに、今日は少し理論から入りますね。わかりやすいように次の例え話を使って、いかにひとが「今に生きていないか」を検証してみます。
菜津子さん(仮名)は、ワーキングマザー。保育園に通う長女を育てながら時短で働いています。日頃一緒にいられる時間が限られているので、毎日夕食時くらいはゆっくり娘と向き合って楽しく食事をしようと心がけていました。
ところがその日、最近体力・精神共に疲れていたところへ、上司から仕事のミスを厳しく注意された菜津子さん。トイレに籠って泣いてしまいます。そこへ他の女子社員たちのトイレ談義が聞こえてきました。「時短ママのせいで自分の仕事がいかに振り回されているか。」自分への文句と悪口でした。
すっかり落ち込み、へとへとになりながらも夕食の準備をし、テーブルについた途端、娘がふざけてスープの入ったお皿をひっくり返してしまいます。
菜津子さんは大声で娘を怒鳴りつけました。おびえた娘はわんわんと泣き叫びます。怒鳴ってしまったことに後悔するも、後の祭り・・・。
ここでみなさんに少し考えてもらいたいことがあります。
大声で娘を叱った菜津子さん、ほんとうにスープをこぼしたことが怒り心頭の原因だったのでしょうか?ではもしもこれが、宝くじで大金を当てた日の夜の出来事だったとしたら、彼女は娘がスープをこぼしたことで同じように怒鳴り散らしたでしょうか?
今、目の前に起きていることに自分は反応しているように見えて、実はそうでもないというからくり、少し理解していただけましたか?この日、菜津子さんが娘を怒鳴りつけた瞬間というのは、自分の心の中に蓄積された感情が、どっと溢れ出た瞬間です。心の中にコップがあると想像してください。そこへ疲れや悪口、注意されたことなどのネガティブな感情がどんどんと注がれ、いっぱいになったところで溢れてしまったのです。
アンガーマネジメントでは、このコップをいっぱいにしてしまわない方法とコップを大きくする方法のふたつを学ぶことができます。
「今を生きる」ことに意識を持っていくことは、「コップをいっぱいにしない/コップを大きくする」ことをマスターするためのコツのようなものだと思ってください。菜津子さんは、最愛の娘との大切なひとときを「楽しく過ごす」ことを心がけていたはずです。「今という時間は娘との時間を楽しむことが最優先」ということを忘れていなければ、スープがこぼれた瞬間にコップの水を溢れ出させず(=怒り心頭せず)に過ごせていたかも知れませんよね。
次回は、実践編でより上手に「今を生きる」方法をお伝えしたいと思います。