編集長コラム

細川 忠宏

わかっちゃいるけど状態からの脱出をはかる

2011年06月27日

不妊症は10組に1組の割合だとされていましたが、最近は、10組に1.5~2組くらいに増えているとの説があります。

不妊に悩む夫婦の数についての正確な統計はありませんが、体外受精の治療周期数は右肩上がりであることは間違いありませんし、その結果、総出生児数に対する高度生殖医療による出生児の割合は、10年前には100人に1人から50人に1人に増えています。

そして、それは、女性の子づくりを始める年齢が高くなったこと、それと、現代に特有の生活習慣、この2つが根本的な原因だと言われています。

年齢が高くなると、女性の卵巣も一緒に年をとり、卵巣内の卵子の数が少なくなり、質も低下してしまいます。

また、不健康な生活習慣は、卵巣の老化の進行に拍車をかけるというわけです。

であれば、妊娠を妨げているものがあれば、それを取り除くための治療は、もちろん、必要ですが、年をとることによってすすむ卵巣の老化は、たとえ、高度生殖補助医療でも逆転させることは出来ませんが、不健康な生活習慣を改善することで、卵巣の老化の進行を遅らせることは可能です。

つまり、適切、かつ、効果的な不妊治療とともに、生活習慣を改善することが、現代型不妊症に対する正しい対処法なのです。

ところが、生活習慣を改善するのは、決して、簡単なことではありません。

だいたい、不健康な習慣はなぜか心地よいもので、よくよく考えてみると、心地よいからこそ習慣化しているわけです。なので、生活習慣を改善しましょう!くらいでは、わかっちゃいるけどやめられない状態からなかなか抜けられません。

不健康な生活習慣の心地よさががっちりとあなたを縛っているからでしょう。

そこで、私たちがファティリティレッスンで、取り組んできた経験から学んだ脱出法を整理してみたいと思います。

尚、どんな生活習慣が妊娠率を高めるのかについては、ここでは触れませんので、バックナンバーを参照ください。

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まずは、大前提として、現在の自分たちの生活習慣を知ることから始めます。

朝、起きてから、夜、寝るまで、何時、何を、しているのかを全て書き出します。小学生時代につけた円グラフにするとよく分かります。

自分たちの生活習慣を振り返ることになりますが、そうすると、どんなことを重視した生活スタイルなのかが、おぼろげながら見えてくるかもしれません。

そして、理想とする生活を描くと、そのギャップが改善するべきポイントになります。

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1)簡単なことから徐々に取り組むこと。

生活習慣の改善とは、ストイックに生活することではなく、不健康な生活習慣を健康なそれに置き換えることです。

そもそも、生活習慣が妊娠率に及ぼすのは、あくまで、"確率的影響"であって、"確定的影響"ではありません。

たとえば、タバコは明らかに卵巣機能を低下させますが、タバコを吸ったからといって、妊娠の確率がゼロになるのではなく、低くなるということです。

また、不健康な生活習慣が多ければ、多くなるほど、妊娠の確率も低くなっていきます。ですから、肩肘張って、無理する必要はありません。

継続は妊娠力なりです。

短期に勝負をかけて、続かなくなってしまえば元も子もありません。出来ることから、簡単に取り組めることからスタートすることが大切です。

2)生活習慣を変えるメリットとデメリットを考えてみる

何事も動機づけが大切です。

生活習慣を改善することは、道徳や倫理ではなく、損得の問題です。

そのことが具体的に分かるように、生活習慣を変えることのメリットとデメリットを書きだしてみます。そうすると、実行することで、
得られるものと、失うものがハッキリするでしょう。

強い動機づけになることは間違いありません。

3)心地よさを入れ替える

心地よさこそが、継続を強化してくれます。

不健康な生活習慣には、不健康な心地よさがあり、健康な生活習慣には、健康な心地よさがあります。

生活習慣を変えるということは、不健康な心地よさを、健康な心地よさに入れ替えるということです。ココロやカラダが変化することで、
健康な心地よさを実感できるまではとにかく続けましょう。

不健康な心地よさよりも、健康な心地よさに溢れたところに、新しい家族がやってきたくなるのは当然のことだと思います。

4)妊娠をゴールと考えない

生活習慣を変えることのゴールは妊娠することではありません。

生活習慣を変えることで得られる健康は、健全な出産を可能にしてくれ、未だ見ぬお子さんの養育環境を整えてくれ、パートナーともども仕事や趣味のパフォーマンスが高まり、そして、一度きりの人生でやりたいことの実現性が高まります。

妊娠する力を高めることがきっかけでも、それによってとんでもない副作用が伴うことになります。

5)ひとりで取り組まないといけないというルールなんてない

生活習慣を変えるのに、一人で取り組まなければならないなんていうルールや決まりはありません。

アメリカで実施された研究で肥満は伝染することが証明されています。

私たち人間は、それほど周囲の人たちの影響を受けやすい動物のようです。

であれば、仲間の力を借りないとう手はありません。
友人と、あるいは、趣味のサークルや地域や職場のコミュニティで、仲間と一緒に取り組むのも有りです。

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生活習慣の影響は年をとるほど大きくなります。

20代や30代前半までは、少しくらい無理をしても若さがカバーしてくれます。

自分への過信は禁物だということでしょう。

そして、何より、大したリスクもなく、得られるメリットは計りしれません。

あたらしい家族を迎えるということに限って言えば、生活習慣を変えるか、変えないか、言い替えると、何を大切に、日々、生活するのかは、残された期間をどう過ごすのかについて、自分たちがいかにやりきったかどうかの納得感が得られるかどうか、もはや、生き方の問題であると思います。