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妊娠しやすいカラダづくり No.1169 2025/11/23
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今週の内容__________________________________________________________
・最新ニュース解説:妊活に特別な食事法が必要なのか?
・編集後記
最新ニュース解説 Nov. 2025_________________________________________
妊活に特別な食事法が必要なのか?
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最近、「妊活食」という言葉をSNSなどで見かけることがあります。
実際、このメルマガでも、地中海式食事パターンはART治療成績によい影響を及ぼすかもしれないという研究報告を、度々、紹介してきました、
また、最近は食品には炎症を促進する傾向のあるものと炎症を抑制する傾向のあるものがあって、普段の食事の食事性炎症指数を算出すれば、食事性炎症指数が高い女性は、低い女性に比べて、不妊症リスクが高いという研究報告がいくつもなされています。
そのため、地中海食や抗炎症食が、「妊活食」とされ、その詳しい食べ方が紹介されているようです。
ただし、そのような情報を得ても、実際のところ、「どの情報」を受け入ればいいのか、そして、具体的に「どのように食べる」べきか、日々の食事に落とし込むのは簡単ではないかもしれません。
私たちもそんな問題意識を常にもっていました。
そんな中、オーストラリアの大規模研究が、「特別な食事法を厳密に守らなくても、一般的に健康的な食生活で十分」という、とても心強い研究結果がなされま(1)したので、ご紹介します。
◎ 5,489人の女性を対象にした大規模調査
研究では、30代の女性5,489名を対象に、食事の「炎症を起こしやすい度合い」、国の食事ガイドラインにどれだけ沿っているか、食べ方の傾向(地中海型・加工食品中心型など)を総合的に調べ、不妊症リスク、すなわち、妊娠までにかかった期間(1年以上か否か)との関係を分析しました。
◎結果は健康的な食生活ほど、妊娠しやすい傾向
研究でわかったことはとてもシンプルです。
1)食事が「炎症を起こしやすい」ほど不妊症リスクが低い(妊娠までに要する期間が短い)。
揚げ物、加工肉、砂糖やお菓子、白いパンや麺などが多い食事は「炎症を起こしやすい食事」とされ、こうした食生活の人は、妊娠までに時間がかかった経験が多いことが分かりました。
2)食事ガイドラインに沿った「ふつうの健康的な食事」で不妊症リスクが低い
果物、野菜、全粒穀物、魚、豆類などをバランスよく食べるだけでも、不妊症リスクが低くなる方向に働いていました。
3)地中海型の食べ方が特に良い傾向
「地中海型」と呼ばれる、魚・ナッツ・果物・野菜・オリーブオイルを中心とした食事をしていた女性は、不妊症リスクが一番低い傾向がありました。
◎特別な食事法を完璧に守る必要はない
この研究からわかる大きなメッセージは、「妊娠のために特別な食事法を完璧に守らなくても大丈夫」ということです。
共通する食べ方は、果物、野菜、全粒穀物、豆類、ナッツ、種子、魚を多く食べ、飽和脂肪酸、糖分、赤身肉・加工肉、テイクアウト食品を少なく食べることでした。
この大きな傾向に沿っていれば問題jない、すなわち、細かいところまでこだわる必要はないということです。
むしろ大切なのは、毎日の小さな選択です。
・白いパンより全粒粉のパンを選んでみる
・毎日果物か野菜をもう1皿増やす
・週1回だけでも魚中心のメニューにする
・お菓子・ジュース・加工肉を"少なめ"に
こうした積み重ねが、体の炎症を抑え、ホルモンバランスを整え、妊娠によい影響を及ぼしていくと考えられています。
◎「健康的な食事」こそいちばんの近道
今回の研究はオーストラリアで実施されましたので、健康的な食事ガイドラインはオーストラリア政府によるものです。
日本の「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」にあたります。もちろん、この指針が生殖機能によい影響を及ぼすかどうか、質の高い研究で確かめられているわけではありませんが、今回の研究で得られた知見「妊娠のために特別な食事法を完璧に守らなくてもよくて、一般的な健康的な食事でよい」をあてはめれば、日本人女性ではこれになります。
◎妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
極めてシンプルです。
1)妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう。
2)「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと。
3)不足しがちなビタミン・ミネラルを「副菜」でたっぷりと。
4)「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に。
こまかいところにこだわる労力を、シンプルなことを「続ける」ほうに回しましょう。
文献)
1)Front Nutr 2025; 12: 1682549.
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編集後記____________________________________________________________
妊娠、出産にふさわしい食事は、細部よりも、全体のバランスが大事なようです。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.1169
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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