PCOの肥満女性は減量により排卵障害が改善する

妊孕性に影響する因子

2004年08月27日

Fertility and Sterrility , August 2004

PCOで太った女性は減量することで排卵障害が改善されるという新しい研究結果が発表されました。

PCO(多嚢胞性卵巣症候群)は、卵胞は育つものの卵巣の殻が硬くて排卵ができない状態で、肥満が伴うことが多く、卵巣が腫れたり、月経不順、不妊の原因になりますが、排卵障害が改善されると妊娠の可能性が高まります。
これは、アメリカのニューヨークにあるロチェスター医科歯科大学の研究で、研究者は、肥満の増加のため、PCOへの対処がますます複雑化することが予測しています。

調査方法は、38名の肥満のPCO患者を24週間のダイエットと運動のプログラムを実行するグループと何もしないグループに分け、ダイエットと運動のグループの一部はメトフォルミンという糖尿病の薬を飲みました。
ダイエットと運動を実行したグループは体重がかなり減り、中でもメトフォルミンを飲んだグループは減量目標に最も到達しました。

メトフォルミンを飲んだか飲まないかにかかわらず、体重が減った女性は、減らなかった女性に比べて9倍排卵がありました。
その上、メトフォルミンを飲んだ女性は、体重が減らなかった女性に比べて、16倍も規則正しい排卵が復活しました。

この研究結果は、生殖医療専門誌「Fertility and Strlity」8月号に掲載されました。

コメント

この研究を実施した研究者は、アメリカではPCO患者の70%は肥満であると指摘していますが、この辺りは日本とはやや事情が異なるように思います。

メトフォルミンという薬は、インスリン抵抗性のため血糖値が高い、インスリン非依存型糖尿病の治療薬です。
PCOの治療になぜ糖尿病の薬が使われるのかと言いますと、PCOの原因として卵巣でのアンドロゲンという男性ホルモンの過剰な分泌が考えられており、インスリンが卵巣内のアンドロゲンの産生を促進するため、メトフォルミンを飲むことで、血中のインスリンが減少し、卵巣内のアンドロゲンを減らそうというものです。
メトフォルミンによるPCOの排卵障害の治療は、欧米での使用実績から、日本でも使われるようになったようです。