ただ、あくまで、試験管内で乳ガン細胞が増殖したこと、ねずみにヘアカラーを塗布したら免疫系に異常をもたらすたんぱく質が発生したこと、そして、雌のマウスにヘアカラーを塗ったところ子宮が萎縮したというもので、全て、試験管内や動物実験で、ヘアカラーの環境ホルモン作用が疑われたということです。
このことで、ヘアカラーを使えば、生殖機能に影響を及ぼすとか、不妊になるおそれがあるなどと結論づけるのは、相当に無理があるように思えます。
また、生殖医学関連の論文にあたってみると、アメリカ生殖医学会の学術誌「Fertility and Sterility」の2006年の4月号に、ヘアカラーと子宮内膜症の関連を大規模な試験によって調べた、ハーバード大学医学部の研究報告が掲載されていますが、結論が、関連性は確認出来なかったとしています。
さらに、アメリカのJAMA(Journal of the American Medical Association)の2005年の5月号で、ヘアカラーの発ガン性を、過去の論文から調査したところ、明確な関連性は確認出来なかったとしています。
いずれにしても不妊の原因になるかどうかは、実際に使った人と使わなかった人を長期間に渡って比較するしか方法はありませんが、そのような実験はこれまで実施されていませんし、この手の実験は、倫理的な問題もあって、なかなか実施が困難なものです。
環境ホルモンの影響についても同様ですが、クロともシロとも言えないわけです。
ですから、現実的には、まずは、避けられるものなら避けるのが無難でしょうが、避けられないものや避けがたいものについては、それほど神経質にならずに、例えば、メーカーに生殖機能への影響が疑われるような成分の含有を確かめて、もしも、問題がなければ、さほど気にする必要がないとするのが無理のない考え方ではないでしょうか?
もちろん、気持ちの問題ということもありますから、どうしてもご心配なのであれば、避けるべきだとは思いますが。