ご主人の精子の数や運動率が基準を下回っている場合、子宮頸管に精子の動きをにぶらせるような抗体がある場合、そして、原因不明でタイミング指導を受けても授からなかった時の次の手段として適用されています。
この治療を「人工」授精とよんでいることから、なにか、とても"人為的"で、自然妊娠からかけはなれた方法であるかのような、そんな印象を受けるのではないでしょうか?
ところが、実際には、精子を子宮内に送り込むだけで、そこから、精子は自力で、卵子に向かって卵管内を移動していきます。
ですから、その結果、精子と卵子が出会い、受精して、着床するというプロセスは、自然妊娠と何ら違いはないのです。
流産率や奇形率等が高くなるという報告もありません。
リスクという観点から言えば、精液に含まれる細菌にために感染症の可能性がありますが、どこのクリニックでも治療後に抗生物質が処方されますし、まれに、精子を注入する際に、膣を傷つけるようなことがあったり、治療後に軽い腹痛がおこることもあるようですが、いずれも重篤な副作用とは言えない程度のものです。
また、自然周期で実施される限りでは、多胎妊娠率が高くなることもありませんが、より妊娠の確率を高めるために、排卵誘発剤を使って、複数の卵子を排卵させて、人工授精を行う場合もありますが、この場合は多胎妊娠率が高くなります。
採精については、やはり、病院で行う方がよりベターではないでしょうか。