ロワ佐奈子のセルフコントロール講座 妊娠しやすいココロをつくる

ロワ 佐奈子

第11回 脱日常  脱ルーティーン

こんにちは。

この夏、6週間ほどの日本里帰りを終えて、先日フロリダへ戻りました。うだるような暑さのなかでの滞在中、朝日新聞朝刊別刷『be』にフィンランドがとりあげられ、群ようこさんの小説&映画『カモメ食堂』が紹介されていました。あぁ、懐かしい!あの映画は、DVDで友人に譲ってもらって、何度も繰り返し観た大好きな映画なのです。小説では、映画では紹介されていなかった「なぜそれぞれの登場人物がフィンランドへ向かったか」が詳しいとあったので、気になって買って帰りました。

この先少しネタばれになってしまいますが、ご了承ください。

さて、カモメ食堂の3人の女性にはそれぞれの事情があることがよくわかりました。映画でも目をひく芯の強さを持ちながらも、ひょうひょうと生きる主人公のサチエ(がどうやってフィンランドで開業したかはずーっと知りたかったので、嬉しかった!)はさておき、あとの2人はどうやら精神的にも物質的にも日本に居場所がない、今自分のおかれた現状にどうしても腹が立って仕方がない、といった理由をもとにフィンランドへ向かったようです。とにかく、「今いる場所や拘束されるものから逃げたい」という精神状態になったら、何もフィンランドまでいく必要はないかもしれませんが、「とりあえずその場を離れる」というのは、賢策でしょう。その場所から身を離してみることで、客観的に自分をみることができるようになるでしょうし、ただ単によい気分転換が必要なだけだったことに気づくかもしれません。この2人も、サチエの食堂を手伝いながら、かつての自分を振り返りつつ、今の自分を新しく発見・開拓してゆきます。

でも私がすごいなぁ、と思ったのは2人の行動力。すでに自分の力ではどうにもできないまわりとの軋轢にストレスを抱えながらも、「行く」と決めたら、必ず行く。そうしてフィンランドまでやってきます。言葉も不自由で旅慣れていない2人にとって、旅の計画自体もストレスになっていた可能性さえあるのですが、2人はそれぞれ有言実行。これって、きっと「旅を実行」した時点で、2人は自分自身あるいはストレスフルな環境に勝っていたのでしょう。つまり2人は、フィンランドに来てから新しい自分を発見できたのではなくて、計画を立てて実行(=脱・日本)した時点で新しい自分に出会っていたのかな、と。

一皮むける、なんて言い方もありますが、きっかけはこの2人のように脱・日本かもしれないし、例えば、パンツをやめてスカートを履く、朝日新聞から日経にかえてみる、なんていう小さな脱・日常なのかもしれません。そこには居心地の悪さやストレスがついてくることもあるでしょう。でも、それでもいちど変えてみる、とにかくやってみる、に重きをおいてみてはいかがでしょう。

人は、ルーティーン(日常)が好きです。それがたとえ居心地の悪いものであっても、です。なぜならそこから抜け出すには変化が必要。その変化が怖い、面倒、ストレスになる、といった理由からです。ですが、敢えてそこへ飛び込むことでストレスへの耐性も上がるかもしれませんし、脱ルーティーン=冒険ということばに置き換えてみてください。なんだかほら、ちょっとわくわくしてきませんか?ん?まだピンと来られない方は、『カモメ食堂』ご覧になることをお勧めいたします。クールなお話と涼しげな映像で、ちょっと旅に出た気分になれますよ、きっと。

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フランス北部ノルマンディの海にもたくさんいました、カモメ。じーっと、見つめられちゃいました。