本書の「はじめに」の最初の4行を以下に引用します。
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この本は、いわゆる「癒し本」ではありません。
そして、「不妊治療を頑張って、妊娠しよう!」と励ます本でもありません。
あなたに、いま、なぜか理不尽にも降りかかった、「不妊」という状況を、
あなたなりに生き抜くヒントになればいいな、と思って書いた本です。
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私たちは、このサイトの運営をはじめてから、かれこれ、14年ほどになりますが、なかなか思うように授からず、悩ましく、辛い状況にある人にとって、「癒し」や「励まし」だけでは助けにならないことがある、いや、かえってマイナスになりかねないことさえある、そんな簡単なことじゃないなと、数え切れないくらい思ってきました。なので、著者によるこの本の紹介をみて、さすが、不妊治療の心理カウンセラーの日本の第一人者だ!と、ひざをたたきました。
心に寄り添いながら丁寧に
不妊治療の心理カウンセラーとして20年の経験をもつ著者は、不妊という経験は「人生上の危機事態」となりうることを実感してきたと言います。
そんな事態になってしまいかねないほどに、不妊の悩ましさや辛さの内容やレベルは計り知れないということでしょうか。
そして、もしも、そうなってしまうと、もはや、いわゆる「癒し」や「励まし」の類では、いかんともしがたいでしょう。
そこで、筆者は、なぜそれほどまでに辛いのか、悩ましいのか、丁寧に解きほぐすように整理してみせてくれます。
不妊当事者でない私でさえ、読んでいく中で、いろいろな「気づき」がありました。
それは、年をとるほどに、レベルに違いこそあれ、「自分ではどうにもできない」さまざまなことと、折り合いをつけていくことが必要になってくるからなのかもしれません。
答えではなく、ヒントが得られるかもしれない
すべてのカップルにあてはまる答えなどないので、結局、自分、あるいは自分たちでどうにかするしかないわけですが、絶対に答えがでない問いは、「自分たちはなぜ妊娠できないのか」でしょう。
筆者も指摘されているように、そもそも、不妊という状況に遭遇することが理不尽なことだからです。
そんな状況で自分たちらしく対処していくには、どんな視点で、どんなテーマに取り組めばいいのかが書かれていて、対処していく上で、また、答えを導く上でのヒントやきっかけが得られると思います。
もちろん、カップルにとってさまざまな状況があると思うので、あてはまらないこともあるかもしれませんが、必ず、いくつかみつかるのではないでしょうか。
そういう意味で、本書のタイトル通り、「妊活に疲れたら、開く本」だと思いますし、もっと言えば、「生きるのに疲れたら、開く本」と言っても、決して過言ではない、不妊治療の心理カウンセラーの日本の第一人者ならではの内容と思いました。
(推薦者: 細川忠宏)