「卵子の老化」が、マスコミで盛んに取り上げられて久しくなります。ただ、「卵子が老化すると妊娠しにくくなる」という事実を知らしめるだけでは、無闇に、焦らせたり、煽ったりするだけ、ということになってしまいかねません。大切なのは、年齢による身体の機能の変化をどのように受け止め、それを、「自分らしい選択」にどのように活かすかだと思います。そのために必要な情報が得られる本です。
「卵子の老化」という現象をどのように受け止め、自分らしい選択にどう活かすか
2012年の6月に放映されたNHKスペシャル「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃」が、火付け役になって、「卵子の老化」についてマスコミで盛んにとりあげられるようになりました。
それによって、「それまで誰も教えてくれなかった」卵子は女性の年齢と一緒に老化する、そして、卵子が老化すると妊娠、出産するのが難しくなるということが世間に広く知らしめることになりました。
ただし、単に、卵子は老化するもので、卵子が老化すると妊娠、出産が難しくなるという事実だけでは、焦りや不安だけをいたずらに大きくしてしまうだけに終わってしまいかねません。
なぜなら、現在進行形で不妊治療を受けている、受けようといている女性にとっては「今更、そう言われても、どうすれば・・・」、あるいは、若い女性にとっては「そう言われても、すぐに結婚できる状況にないし・・・」なんていう声が聞こえてくるからです。
著者の河合蘭さんは、「はじめに」の最後にこう書かれています。
「いつどのように妊娠すべきかという問いに、私は正解はないと思っています。でも、それを考えるための材料として、これからお話しすることがお役に立てば幸いです。」と。
そもそも、結婚にしろ、妊娠、出産にしろ、努力し、頑張ればどうにかなるというものではありません。つまり、自分の意思や力だけではどうにもならないことなわけです。
そんな中で、「卵子は老化するので女性は若いうちに妊娠したほうがいい、いや、すべきだ!」なんて言われても・・・となってしまいます。
要するに、「どうすればいいとか、どうすべきか」ではなく、卵子の老化という現象をどのように捉え、それをどのように受け止め、そして、そのことを自分らしい選択にどのように活かすか」が大切なのだと思うのです。
現在の「結婚や妊娠、出産を取り巻く状況」は、日本人、いや、人類が、かつて経験したことのない未体験ゾーンを進んでいるわけです。
どうすべきか、どうしたいのかを決めるのは自分であり、自分たちです。
そのためには、卵子の老化やそれに伴うさまざまなリスクについての生理学的、医学的に正確な情報も、もちろん、必要でしょうし、あまり知られていないメリットがあるということも知っておいたほうがいいかもしれません。
この本には、そのような「自分たちらしい選択」に絶対に必要な情報を、正確に、わかりやすく、そして、「愛」をもって書かれています。
すべての女性、男性に読んでいただきたい、読むべき本だと思います。
(推薦者: 細川忠宏)