不育症とは「2回以上の流産がある場合」と、一般的に言われています。ただし、学会では何回の流産で不育症と定義するのか未だ決まっていません。また、「化学流産」を流産とするのかどうかも専門医の意見が分かれるところで、不育症検査や治療においても検査項目や基準値、治療方針や内容が異なることが珍しくありません。精神的なダメージが伴うことが多く、正しい情報に摂取することが非常に大切であるにもかかわらず、このような状態です。そんな中で、まずは手にとっていただきたいのが、この本です。
正しい情報を得ることからはじめる
化学流産や流産を繰り返しているにもかかわらず、適切な対策が講じられることがないまま、漫然と体外受精が繰り返されているケース、反対に、たまたま、流産が続いているだけであるにもかかわらず、過剰な治療が施されているケース、さらには、ただでさえストレスフルなところに、不育症のわかりにくさやあいまいさが、さらなるストレスになっているケースも、よくあるように思えてなりません。
不妊治療患者の平均の年齢が高くなり、妊娠しても流産に終わる確率も高くなっている状況ではなおさらのことです。それにもかかわらず、そもそも、不育症専門医が少ないため適切な検査や治療の機会が限られているのが現状です。
その一方で、この領域の医学の進歩は著しく、30年前は不育症のほとんどは原因不明とされていましたが、現在では不育症の約7割になんらかのリスク因子が突き止められ、適切な治療を受けることで高い確率でお子さんを授かることができるようになっています。
であれば、まずは、自分たちで正しい情報に接し、自分たちで適切な治療環境を求めることがとても大切になってきます。
著者の杉俊隆先生は、日本で数少ない不育症の専門医の一つであり、数少ない不育症専門クリニック、横浜市の杉ウイメンズクリニックの院長でいらっしゃいます。
まずは、この本で正しい知識を得ることからはじめることをお勧めします。
(推薦者: 細川 忠宏)