メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれています。暗くなるとメラトニンが分泌され、身体に"眠りなさい"という信号が送られ、明るくなると、その分泌が止まります。夜になると眠くなり、明るくなると目覚めるのは、「メラトニン」というホルモンが演出しているからです。そして、睡眠の質は、私たちの健康状態、そして、妊娠力をも左右します。つまり、メラトニンを大切にすることは睡眠の質を高めるだけでなく、健康状態や妊娠力をも高めることになるのです。この本は、その方法をわかりやすく、かつ、具体的、網羅的に教えてくれています。
睡眠ホルモン、メラトニン
私たち、人間は、太陽がのぼり、明るくなると、活動的になり、日が沈んで、暗くなると、眠くなるという、"昼行性動物"です。私たちの生活は、太陽の光に支配されているというわけですが、そこには、"睡眠ホルモン"と呼ばれる「メラトニン」が介在しています。暗くなったことを目から察知すると、脳の中の松果体からメラトニンが分泌され、身体に"眠りなさい"という信号が送られます。そして、朝になり、明るくなると、その分泌が止まります。つまり、夜になると眠くなり、明るくなると目覚めるのは、「メラトニン」というホルモンが演出しているのです。
この「メラトニン」が、妊娠力をも高めるのではないかと注目されるようになったのは山口大学医学部産婦人科の研究がきっかけでした。
メラトニン摂取で体外受精における受精率、妊娠率が上昇
前回の体外受精が不成功に終わり、受精率が50%未満であった115名の女性を2つのグループに分けて、一方のグループには、採卵前周期の月経5日目から採卵日の前日まで、1日3mgのメラトニンを摂取してもらい、もう一方のグループはメラトニンは摂取せず、変性卵率や受精率、妊娠率を前回の体外受精と比較しています。
その結果、メラトニンを摂取したグループでは、前回と比べて、変性卵率が低下し、受精率が上昇、19.6%の妊娠率であったのに対して、メラトニンを摂取しなかったグループでは、受精率の改善は見られず、妊娠率が10.2%だったとのこと。
研究グループは以下のことを確認しています。
・排卵過程において、酸化ストレスが生ずると卵の成熟を妨げる。
・メラトニンが卵胞内で抗酸化物質として働き、卵を保護している。
・メラトニン投与が実際に卵の質を改善、受精率や妊娠率の向上につながる。
メラトニン=睡眠の質=身体を掃除=卵を保護
メラトニンが卵の発育の過程で、質が低下しないように守ってくれているというわけですが、よくよく考えてみると、そのことは当たり前なことと言えなくもありません。
なぜなら、メラトニンは睡眠の質を高めるのに働くわけで、睡眠の大切な役割の1つに身体を掃除し、修復することがあるからです。
そのため、寝る子は育つわけで、寝ると卵も育つというのもよくわかります。
メラトニンは生活習慣と密接に関わっている
そのメラトニンの分泌ですが、生活習慣と密接に関連しているというのです。
ですから、メラトニンそのものをホルモン剤(アメリカではサプリメントですが)として摂取しなくても、メラトニンの分泌を活発にするような生活の仕方をすればよいのです。
この本には、どのような生活をすれば、メラトニンが、しっかり、分泌されるようになるのか、わかりやすく、かつ、網羅的、具体的に書かれています。
おまけに、そのメカニズムも解説してくれていますので、意識が高まります。
この本で紹介されている「メラトニン快眠プログラム実践編」、朝のメニュー5つ、夜のメニュー9つ、合計14のメニュー、それに加えて、食事編、効果倍増編も一緒に実行すれば、睡眠の質が高まり、妊娠、出産を強力にサポートしてくれるはずです。
ただ、悲しいのはアマゾンでも新刊が買えない状態になっていることです。中古品でも取り寄せて、読んで、実践することをお勧めします。
(推薦者: 細川忠宏)