私は、毎年、東伊豆のやすらぎの里という断食道場で身体と心をリセットするのをとても楽しみにしています。そこの小針先生に教えてもらったのがこの本です。そもそも、私たちが生きていくうえでなにより大切なものは「酸素」です。なくなれば数分で死んでしまいますからね。そんな「最も大切なもの」をどう取り入れるかは自分の命や新しい命を育むうえで鍵になることは当然のことでしょう。
息の仕方、すべてはここから
妊娠しやすいカラダづくりを考える場合、真っ先に思い浮かぶのは食事とか、運動のことでしょうか。確かにそれらは妊娠する力に影響を及ぼします。人間は食べた物で出来ていると言われれば、理屈抜きで理解できますし、運動することが健康を維持するためにとても大切であることに反対する人はいないと思います。
では、完璧な食事をして、毎日、運動しさえすれば大丈夫?と問われれば、「そういうものでもないような気がする」となると思います。
それは、もっとベーシックなところ、もっと深いところで、私たちの生きる力になっているものがあるのでは?と直感的に感じているからではないでしょうか。
人間はなにも食べなくても水を飲んでいれば2ヶ月くらいは生きていられるそうです。ところが、呼吸をやめれば数分で死んでしまいます。つまり、私たちが生きていくうえで大切なのは空気(酸素)、水、そして、食べ物(5大栄養素)という順番になります。
そして、私たちが生きていくうえで大切なものは、新しい命にとっても全く同じことです。
ですから、妊娠しやすい食生活、すなわち、妊娠のための食べ物や飲み物も、もちろん、大切なことですが、それ以上に大切なのは「妊娠しやすい呼吸法」ということになるはずです。
息の仕方、ここをおろそかにしたままで、その他の生活習慣を見直しても片手落ちと言わざるを得ないわけです。
バランスは「整える」ものではなく「整う」もの
栄養にしろ、ホルモンにしろ、免疫にしろ、自律神経にしろ、それら妊娠を進行させる身体の働きにとって最も大切なことは「バランス」です。なにかが突出しても、なにかが足らなくても、正常な働きにとって障害になってしまいます。
ところが、悩ましいことには、いくら頑張ってバランスを整えようとしてもうまくいくものではありません。ホルモンも、免疫も、自律神経も、自分の意志でコントロールできないからです。
そんな自分の意志でコントロールできない身体のシステムと自分の意志の「橋渡し」になるのが呼吸なのだそうです。
考えてみれば、普段意識することはありませんが、常に呼吸をしています。そして、その時々の状況で呼吸が早くなったり、浅くなったりしています。
そんな状態から、意識して呼吸することで自分の意志でコントロールできない身体のシステムに働きかけることができるようになるというのです。
つまり、カラダやココロの状態のあらゆるバランスは整えるものではなく、呼吸法によって整うようになるというわけです。
豊富な実践篇
この本の特長は、呼吸法を通して、カラダのメカニズムをわかりやすく解説してくれていることもさることながら、実践篇が豊富なことです。
たとえば、基本的な呼吸法から、全身が疲れているとき、あがったとき、落ち着かないとき、驚きからすばやく立ち直る、集中力を高める、やる気をおこす、イライラした気分をやわらげる、怒りを早くおさめる、不眠症を解消する、ウォーキングの呼吸法、排泄力を促進し、便秘を解消する、食欲をコントロールする、もっと深いリラクセーションをする、自然治癒力、免疫力を高める、立ったままリラックスする、などなど。
もはや、呼吸療法と呼んでもいいくらいな内容です。
多くの実践篇をやってみて、自分に合うものを習慣づけることで、知らず知らずに深いリラックスが得られるようになると思います。
そして、その結果、ココロやカラダのバランスが整い、「前向きな赤ちゃん待ち期間」を過ごせるようになっていただければと思います。
(推薦者: 細川忠宏)