編集長コラム

細川 忠宏

健全な妊娠、出産のためのカラダづくり

2008年08月31日

なかなか思うように授からない期間が長くなればなるほど、とにかく、"妊娠すること"に、気持ちや考え方、行動が、フォーカスしがちです。

ところが、"頭"で考えるのではなく、"カラダ"の側から、つまり、"カラダ"に身になってみると、ちょっと、様子が違ってきます。

生殖活動は、一つのサイクルで完結しているように、勘違いしてしまいがちであることが分かります。

たとえば、排卵される卵子は、約1年前から準備が始まり、3周期かかって、成長、そして、排卵されますし、精巣でも、精子をつくるのに、だいたい、74日かかっています。
そして、胎児が子宮の外で生きていけるようになるには、妊娠22~23週くらいかかります。

要するに、カラダの立場に立って考えてみると、妊娠の成立は、"ゴール"ではなく、"通過点"にしか過ぎないわけです。

であれば、"カラダづくり"も、観念や精神論ではなく、現実的に考えるべきなのは言うまでもないことです。

つまり、妊娠しやすいカラダづくりは、本質的には、健全な妊娠、出産のためのカラダづくりだということです。

健全な妊娠、出産のできるカラダの状態は、妊娠しやすいカラダでもあるはずだということです。

妊娠に至るプロセスには、多くのブラックボックスが存在しますが、胎児にとって良好な環境については、比較的、明解です。多くの研究報告は、妊娠前や妊娠中の食生活や生活習慣が、そのまま胎児の健康状態に直結することを教えてくれています。

ここで、学ぶべきは、何一つ特殊なこと、特別なことはないということです。

つまり、私たちに必要な栄養素を過不足なく食べ、私たちの身体に害を及ぼしそうなことは避けること、そして、よく動くことです。

ところが、いろいろな意味で、現代の社会では、そんな、当たり前なことを、当たり前に実践することが、とっても困難になっているように思えてしかたありません。

食生活で言えば、よく噛んで、ゆっくりと、時間をかけて、食事する習慣を身につけるだけで、カラダや脳への効果は計り知れないものがありますし、二人で、夫婦生活を満喫するだけで、妊娠率は高まるはずです。

今、大切なのは、特別な"妊娠術"や"妊娠法"を探し求めることよりも、当たり前なことを、当たり前に実践し、楽しむための工夫や環境であると、私たちは痛感しています。

繰り返します。

妊娠までのプロセスには、ブラックボックスが存在することから、さまざまな、特殊で、特別な"もの"や"こと"を求めがちですが、取り組むべきは、昔から言われていることを、自分たちの生活の中で、どうすれば、無理なく、継続出来るのか、そのことを、二人で、考え、実践することです。

言いかえれば、いかに、自分たちの生活を大切にし、楽しむかということです。

最近、アメリカの大学からこんな研究報告が発表されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18486203

それは、1306の家庭を対象に調査した結果、両親が野菜や果物をたくさん食べる家庭ほど、子どもの野菜や果物を食べる量が多いことが分かったというのです。

そして、そんな家庭ほど、子どもの肥満が少ないとのこと。

これも、当たり前と言えば、当たり前なことです。

カラダづくりは、健全なお子さんの成長にも寄与するということですね。