編集長コラム

細川 忠宏

女性は「リズム」、男性は「長さ」がカギになる

2019年05月07日

睡眠は、女性にとっても、男性にとっても、生殖能力に大きな影響を及ぼすことがわかってきています。

ボストン大学の研究で、睡眠障害がある女性はない女性に比べて、自然妊娠の妊娠率が低下するという報告がなされてたり、ワシントン大学の研究では、毎日、一定の時間に眠りにつく女性は、バラバラな女性に比べて、妊娠しやすいことを報告していて、眠りにつく時間のバラツキが67分未満の女性は、138分以上の女性に比べ、妊娠率が2.39倍だったというのです。

月経周期のリズムが生殖機能のベースにある女性の場合、やはり、睡眠のリズムが妊娠しやすさに影響を及ぼすようです。

一方、男性についても睡眠と生殖機能についていくつもの研究報告がなされています。

たとえば、中国の男子大学生7を対象にした研究で、1日の睡眠時間が7〜7.5時間より長くても、短くても、精子をつくる働きが低下するという報告がなされています。

また、カナダのマニトバ大学の研究では、男性の睡眠時間が短くなるほど男性ホルモン値が低下するという報告がなされています。

驚くべきことに、男性ホルモンの低下から見ると、睡眠時間が1時間短くなることはおよそ12歳年をとることに相当し、睡眠不足は男性の老化を早めるというのです。

このように、睡眠と生殖能力については、女性は「リズム」、男性は「長さ」がカギを握ることがこれまでの研究で明らかになっています。

◎日本人、特に30代、40代の男女は眠れていない
睡眠は男女の生殖機能と密接につながっているにもかかわらず、日本人の30代、40代の男女は質的にも、量的にも、十分な睡眠がとれていません。

平成29年度国民健康・栄養調査によりますと、30代40代の男女の半数弱が1日の睡眠時間が6時間未満、そして、3人に1人が睡眠で休養が十分にとれていないと感じています。

また、OECDの調査で、日本人の平均睡眠時間は男女とも、先進国の中で最も短いこともわかっています。

皆さんの睡眠はいかがでしょうか?

睡眠は生殖機能のベースを支えていると言っても、決して、過言ではありません。

睡眠の質や量が不十分な状態では、最先端の生殖医療の助けを得ても、その効果が限定的にならないとも限りません。

◎命が芽吹く春から夏にかけては睡眠障害のリスクが高まる時期でもある
これから春から夏に向かう時期は、日照時間が長くなり、同じく、生殖機能のベースを支える「ビタミンD」の体内での産生量が増え、妊娠、出産に有利な時期になります。

ところが、その一方で、朝晩の気温の変化のため自律神経が乱れやすく、寝付きが悪くなったり、熟睡できない状態になってしまいがちです。

また、今年のゴールデンウィークは10日間の大型連休で、生活リズムが乱れることから睡眠不足を引き起こしやすいと考えられます。

せっかく、1年で最も過ごしやすい時期であり、またとない大型連休です。

うまくリフレッシュするか、睡眠の問題を抱えてしまうかは大きな差です。

◎運動と光で、深く眠り、さわやなか朝を迎えたい
睡眠のリズムや時間は、いくつもの生活習慣が反映された結果そのものです。

そのため、睡眠の質を高めるのに、これまで、いろいろなアドバイスがなされていますが、私たちのおススメは、いたってシンプルです。

まずは、運動です。

運動習慣のある人は、ない人よりも睡眠が深く、良質の睡眠をとれているという研究報告がなされています。

出来れば、朝、早く起きて、30分程度の早歩きが理想的です。

そして、光です。

朝、起床後、すぐに太陽の光を浴びることを日課にします。

そして、夜は暗くする。特に、スマホやPCを見ることは大敵です。夜になるとPCとスマホを遠ざけて、目と脳を休めることがとても大切です。

妊活のベースは睡眠、女性は「リズム」、男性は「長さ」がカギになります。