編集長コラム

細川 忠宏

光と食事と運動で、老化を遅らせる

2020年03月03日

妊娠や出産に至るプロセスは、あらゆることが適切なタイミングで起こることが、とても、とても重要です。

不妊治療は、たいてい、カップルに適切な性交のタイミングを指導されることからはじまります。

また、ほとんどの女性の不妊検査しかり、治療が始まれば、あらゆる治療には施されるタイミングが決められています。

さらに、タイムラプスインキュベーターの普及で、培養器の中の胚の分割スピードの適切なタイミングがあること、遺伝子解析技術の進歩で胚移植に個々に適切なタイミングもわかるようになりました。

そして、このタイミングのベースになるのが女性の身体のサイクルです。

つまり、妊娠や出産は女性の身体が奏でるリズムが進めていると言えるわけです。

では、なにがこのリズムをつくりだしているのでしょうか?

答えは「体内時計」です。

この体内時計が、睡眠やホルンモン、神経活動、免疫など、さまざまな生理現象にリズムをもたらしているのです。

そして、体内時計の乱れが積み重なると、生活習慣病やがんにかかりやすくなることが知られていますが、生殖機能は、もっと直接的な影響を受けるであろうことは想像に難くありません。

そのため、体内時計が本来のリズムを奏でるようにメンテナンスしておくことが妊活のベースになるのです。

それでは体内時計はどのように整えればよいのでしょうか?

光、食事、運動が鍵になります。

具体的には、朝に光を浴びること、朝にたんぱく質を含む朝食を食べること、規則正しい時刻に食事をとること、そして、適度な運動、それも、リズミカルに行うこと、さらに、毎朝同じ時間に起床し、同じ時間に就寝することです。

つまり、光を浴びること、栄養素を摂取すること、そして、自ら動くことで身体のリズムをつくりだすことで、時間遺伝子を介して体内時計が整えられることになるのです。

当然、反対のこと、たとえば、夜(不適切な時刻)に光を浴びること、朝食を取らなかったり、朝食にたんぱく質を食べないこと、バラバラな時刻に食事をとること、そして、身体を動かさないこと、起床就寝の時間にバラツキがあることは、体内時計を乱してしまうということになります。

そして、もう一つ、直接的にも、体内時計への影響を介して間接的にも、さまざまな身体のリズムの変化を引き起こすと考えられているものがあります。

それは、加齢、すなわち、年をとることです。

そのため、年齢が高くなれば、なるほど、意識的に光、食事、運動で体内時計をメンテナンスすべきなのです。

反対に若い頃と同じような生活を続けていると、老化が早く進むということになります。

光、食事、運動を意識して、身体のリズムを守りたいものです。