腸内だけでなく、子宮内や膣内にも、いろいろな種類の細菌が棲んでいて、私たちと共生していることが知られています。
そして、どんな細菌と共生しているかが、健康や生殖機能を維持する上でとても大切で、極々、簡単に言ってしまえば、よい細菌、いわゆる、善玉菌ですね、これが多いと有利で、反対に悪玉菌が多いと不利になると考えられています。
このように、ヒトの健康に、それもカラダだけでなく、ココロの健康も含めて、どんな細菌と共生関係にあるのかが密接な関係にあることが、さまざまな研究でわかってきました。
なので、日々の生活で、善玉菌と共生する、すなわち、よい菌と仲良くなることがとても、とても大切です。
そして、そのために、一番大切なテーマは、食事であることは、皆さんもよくよくご存知のことと思います。
ところがです、ほとんどの関心事は「なにを食べるか」ではないでしょうか。
どの研究者も口を揃えて、動物性脂肪を控え、大量生産された食品や加工食品を避け、なるべくなら、有機栽培のものを食べること、また、発酵食品や乳酸菌などのプロバイオティクスを摂取することを推奨しています。
もちろん、ヒトと細菌は共生関係を築いています。
具体的には、腸内細菌は宿主が食べて、消化しきれなかった、すなわち、難消化性の栄養素を食べて生きているわけです。
そのため、食習慣が細菌のバランスや腸内環境を決定すると言っても決して過言ではありません。
ただし、その一方で、「なにを食べるか」だけでは、片手落ちと言わざるを得ません。
それと同じくらい、「どう食べるか」が細菌の構成に影響を及ぼすという研究報告がいくつもなされているからです。
具体的には、強いストレスを受けているとき、怒っているとき、悲しいときに分泌されるストレスホルモンが善玉菌を抑制し、細菌のバランスを変えてしまう可能性があります。
さらに、それらの細菌がつくる物質が、脳に悪影響を及ぼす可能性まであり、悪循環を招くことになりかねないのです。
それほど腸と脳の関係は密接です。
そのため、強いストレスを受けているとき、怒っているとき、悲しいときのは食事を控えるのが無難です。
反対に、良好な関係にある人と、喜び、楽しく、食事をすると、なんと!脳から腸に、善玉菌をも、喜ばせるようなシグナルが発せられるというのです。
実際、地中海食の健康効果の一部は、摂取する栄養素そのものだけではなく、社会的な絆やライフスタイルも寄与している可能性が高いという研究報告もなされています。
同じ生活するなら、同じ食事をするなら、生活や食べることを、目一杯、楽しみ、喜びたいものです。
そして、そのことが、さまざまなメカニズムを通して、私たちの健康や生殖機能を支えてくれているようです。
なんの因果なのかわかりませんが、私たちの身体には、私たちが、普段、意識することのない何百兆個もの細菌が共生していて、私たちのカラダやココロの健康を支えてくれています。
どんな細菌と共生するかは鏡のようなものです。
まさに、類は友を呼ぶ、です。
参考)
腸と脳 エムラン・メイヤー著(紀伊國屋書店)