編集長コラム

細川 忠宏

サプリメントについて知っておくべきこと

2021年11月08日

11月2日にBABY&MEのサイトをリニューアルしました。

この機会に、あらためてサプリメントについてあらかじめ知っておいていただきたいことをまとめました。

◎サプリメントの役割は一時的な食事の補助です
サプリメントの役割は、食事だけでは妊娠や出産に必要な栄養素を摂取できない場合、食事を改善し、食事だけで必要な栄養素を摂取できるようになるまで食事を補完することです。

つまり、サプリメントの役割は食事の補助にあります。

そのため、サプリメントの要不要は、食事内容によるということになりますので、サプリメント利用を考える場合、まず、やるべきことは、普段の食事内容をチェックすることです。

欠食や偏食がないか、バランスはどうか、振り返ります。

もしも、バランスよく食べることが出来ていればサプリメントは不要と言えます。

◎葉酸やビタミンD、鉄は例外です
ただし、食事内容にかかわらず、妊娠を希望する女性にとって、摂っておくべきサプリメントがあります。

それは、葉酸です。

なぜなら、葉酸だけは、妊娠前から必要とされる量が普段の倍以上に跳ね上がり、バランスよく食べていても、クリアするのがちょっと難しいレベルになるからです。

そのため、葉酸だけは、妊娠を意識しだしたら、食事内容にかかわらず、1日400μgをサプリメントで、最低、妊娠3ヶ月まで、出来れば分娩まで、補充すべきです。

また、ビタミンDも気をつけておきたい栄養素です。

ビタミンDの必要量のほとんどは、紫外線にあたることで皮膚でつくられるビタミンであるからです。

そのため、食事内容にかかわらず、普段、日焼け止めクリームなどで紫外線をカットしている女性は、ビタミンDが不足している可能性が高くなります。

そのため、出来れば血液検査でビタミンDを測定し、不足、もしくは、欠乏していれば、そのレベルに応じた量のビタミンDのサプリメントを補充し、充足レベルを維持することが大切です。

もしも、検査を受けることが現実的でなければ、ビタミンDが含まれる魚を意識して多く食べ、自己判断で、予防的にビタミンDをサプリメントで補充してもよいと思います。

そして、月経のある女性にとって不足する可能性が高くなるのが鉄です。

貧血があるなしにかかわらず、フェリチンを測定し、不足していれば、これも鉄の含まれる食材を意識して食べ、サプリメントを利用してもよいと思います。

◎サプリメントは一時避難的対策で本当の問題は食事の質
サプリメントが必要であるということは、食事だけで必要な栄養素が摂れていないというわけですから、問題は食事内容にあるわけです。

そして、サプリメントは一時避難的な対処であって、決して、根本的な解決にはなり得ません。

なぜなら、妊娠や出産にふさわしい体内の栄養環境はバランスよく食べることでしか実現できないからです。

サプリメント利用は、食事で必要な栄養素を摂取できるようになるためのきっかけにしか過ぎないのです。

そのため、バランスよく食べられていないのであれば、サプリメントで補充しつつ、サプリメントが不要な食事内容に改善することこそ、本当の対策になります。

そして、そのことが長期間に渡る健康や生活の質につながります。

◎サプリメントの価値は時間の短縮です
繰り返しになりますが、食事だけで妊娠や出産に必要とされる栄養素を摂取できていない場合、当然、食事を改善すべきです。

ところが、それだけでは時間がかかります。

次の周期にでも妊娠を目指している女性にとっては、それまで待てません。

そこで、食事改善と併行してサプリメントで不足している栄養素を補充することで時間を短縮することが可能になります。

つまり、サプリメントの価値は時間の短縮にあるのです。

◎補充すべき栄養素には優先順位があります 
栄養成分は、左図の通り、新しい命(卵子や精子、受精卵、胚、胎児)の正常な成育のために「絶対に必要な成分」と「個々の状況によって必要になる成分」の2つに分けられます。

また、「絶対に必要な成分」の中でも、重要度が異なります。最も重要な成分は空気であり、次いで、水、3大栄養素、2大栄養素の順になります。

そして、重要度の高いものほど、妊娠、出産に際して、不足した場合のマイナスの影響が大きくなります。

さらに、それぞれの栄養素の働きはそれらの下部に位置する(重要度がより高い)栄養素が支えています。

そのため、優先順位を間違えると、せっかく補充しても本来の働きが期待できないということになってしまいかねません。

◎栄養素はチームプレイヤー、医薬品は個人プレイヤー
サプリメント利用で大切なことは、不要なものは摂らないということ。

なぜなら、栄養素はチームプレイヤーとして協働するからです。

不足しても、多過ぎても、メンバーのバランスを悪くすることになり、パフォーマンスが低下してしまいかねません。