超加工食品を食べ過ぎると、メンタルが不安定になりやすいという研究報告がなされています(1)。
超加工食品とは、その名前の通り、加工食品の中でも最も加工度の高い食品のことで、たとえば、ファストフードやインスタント食品、清涼飲料水、スナック菓子、菓子パン、おかずパン、スウィーツ等です。
研究は、アメリカ国民健康・栄養調査のデータから、1万人以上の成人を対象に、軽いうつやメンタルが不安定な日数、不安を感じる日数と超加工食品の摂取量との関係を調べたものです。
超加工食品の摂取量で被験者を5つのグループに分けたところ、最も多く食べていたグループでは、最も少なかったグループに比べて、軽度のうつやメンタルが不安定な日、不安を感じる日が多く、反対に、そんな日がゼロという人の割合が低かったというのです。
不妊治療にはストレスがつきもので、うつっぽくなりやすいということが言われていますが、そうなりやすいかどうかは、食べ物も影響するというわけです。
同じように治療を受けていても、超加工食品をよく食べているかいないかで、メンタルへの影響度も違ってくるかもしれません。
ストレスは治療成績にマイナスの影響を及ぼすという研究報告もなされているので、超加工食品は避けるに越したことはありません。
ただし、そうは言っても、超加工食品って、やはり、便利で、特に、忙しくて買い物や調理にかける時間がないような時には、本当にありがたい食品です。
なので、極端に、超加工食品は、一切、口にしないというのは非現実的でしょう。
大切なことは、超加工食品を食べないことではなく、付き合い方、すなわち、食べ過ぎないように賢く利用することです。
まずは、加工度に目を向けて、可能であれば、加工度の低いものを選びましょう。
食品の加工度をグループ1からグループ4の4段階に分けたNOVA分類が目安になります。
まず、グループ1は、未加工、もしくは、最低限加工した食品で、植物種子や果実、葉、茎、根、動物の肉、卵、水等で、これらに乾燥、ボイル、冷蔵、冷凍、真空パックなどの加工をしたものになっています。
たとえば、野菜や果物、穀物、肉や魚の切り身です。
次のグループ2では、加工した料理素材で、 圧縮や精製、製粉などの加工で作られたものです。具体的には、自宅やレストランのキッチンで、グループ1を用いて調理する際に使う食材とされています。
たとえば、精製塩や植物油、バターです。
グループ3が加工食品で、グループ1にグループ2を加えて作る比較的単純な食品で、加工度の低い加工食品という感じでしょうか。
たとえば、缶や瓶詰めの野菜、果物、豆類、味付けナッツ、チーズ、燻製肉などです。
そして、グループ4が超加工食品で、5種類以上の素材を含み、工業的に加工されたものです。加工食品に用いられる素材に加えて、超加工食品にしか使われない素材を含み、グループ1を含む割合は少ないとされています。
たとえば、ファストフードやインスタント食品、1食まるごとの冷凍食品、清涼飲料水、スナック菓子、菓子パンなどです。
こうしてみると、現代の食環境では、全く、加工していない食材のほうが珍しいのかもしれません。
超加工食品のデメリットは、タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラル、そして、ポリフェノールなどの植物化学物質が少ないこと、その一方、砂糖や飽和脂肪酸、塩分、そして、香料、着色料、乳化剤、その他の添加物が多く含まれていること、すなわち、栄養素に偏りがあり、バランスが崩れていることです。
そのため、平日の忙しいときには、スピードや手間をかけないことを優先し、超加工食品を選び、平日でも時間的余裕fがあるときや3食のうち、1食、もしくは、2食は、未加工や加工度の低い食品を選び、全体のバランスを維持しましょう。
文献)
1)Public Health Nutr. 2022 doi: 10.1017/S1368980022001586.