これから夏にかけて、こまめな水分補給が大切な季節になりますが、ソフトドリンク、その中でもジュースや、コーヒーなどの砂糖入り清涼飲料水は、飲み過ぎないように注意する必要があります。
砂糖入り飲料をよく飲むカップルは妊娠するまでに時間がかかるという研究報告がなされているからです。
たとえば、1日に1本以上の砂糖入り飲料を飲む女性は飲まない女性に比べて周期あたりの妊娠率が19%、1日に1本以上の砂糖入り飲料を飲む男性は飲まない男性に比べてパートナーの女性の妊娠率が22%も低下したというのです。
また、体外受精の治療成績にも悪影響を及ぼすという研究報告もなされています。
砂糖入り清涼飲料水を多く飲むほど、採卵数や良好胚数が少なく、1日に1本以上飲む人は飲まない人に比べて出産率が16%も低かったとの報告もなされています。
砂糖入り清涼飲料水は、高血糖やインスリンの増加を招き、卵や精子の発育によくない影響を及ぼすのではないかと考えられているようです。
そのため、飲料はミネラルウォーターやお茶のように砂糖もカフェインも入っていない飲料がベターです。
ただし、妊娠準備という観点から考えた場合、砂糖入り清涼飲料水さえ我慢すればそれでよいのでしょうか?
そんな単純なお話しではないことを教えてくれる研究報告がなされています。
それは日本人女性、約4,000人弱を対象とした研究で、過去1ヶ月間の食事内容を調査し、砂糖入り清涼飲料水と食生活との関係を調べています。
その結果、わかったのは、砂糖入り清涼飲料水をよく飲む女性ほど、油脂やお菓子をよく食べ、反対に魚介類や果物、野菜、大豆食品の摂取量が少ないということです。
そして、栄養素の摂取状況をみてみると、砂糖入り清涼飲料水の摂取量は、たんぱく質やカルシウム、食物繊維の摂取量と反比例しています。
要するに、砂糖入り清涼飲料水をよく飲む女性は栄養素摂取量のバランスが悪いというわけです。
おそらく、砂糖入り清涼飲料水をよく飲む人は妊娠しにくかったり、不妊治療の治療成績が低かったりするのは、砂糖入り清涼飲料水のせいだけではなく、食事全体のバランスの悪さがよくない影響を及ぼしているはずです。
私たちが実施した妊活カップルへの調査でも、朝食を食べない人は、食べる人に比べて、魚や大豆食品を食べる頻度や量が少ないことがわかりました。
これらの研究報告から言えるのは、特定の食品や栄養素がいいとか、悪いとかだけでは、大切なことを見落としてしまうということです。
大切なことは、食べ方、すなわち、食生活全体のバランスから食事を考えるということではないでしょうか。