妊娠前からマルチビタミンミネラルのサプリメントを服用していた女性は、葉酸のみを服用していた女性に比べて、妊娠初期の胚発育が良好で、低出生体重児のリスクが低いという研究報告がオランダからなされています。
妊娠前からの葉酸サプリメント摂取は胎児の神経管閉鎖障害の予防に有効であるというエビデンスは既に確立していて、世界中で妊娠前からの葉酸サプリメント摂取が推奨されています。
ただ、葉酸だけで十分なのか、そのことを確かめるためにオランダのエラスムス医科大学で1,076名の妊婦を対象とした研究が実施されたというのです。
妊娠前から摂取していたサプリメントの種類を調査し、妊娠中の胎児の頭からお尻までの長さや体積、発達段階、出生児体重を記録し、葉酸サプリメントを補充していた女性とマルチビタミンミネラルを補充していた女性の胎児の成育状況を比較しました。
その結果、マルチビタミンミネラルを服用していた女性は、葉酸のみを服用していた女性に比べて妊娠初期の胎児の発育が良好だったとのことです。
この時期の発育状況はその後の長期に渡る健康に関係することがわかっていますので、妊娠前後のマルチビタミンミネラルの摂取の重要性が示されたことになります。
受精時の体内のビタミンやミネラル濃度は妊娠率や妊娠、出産の合併症発症リスクだけでなく、胎児の成育、そして、お子さんの一生の体質に影響を及ぼすことが、これまでの研究で明らかになっています。
論文には受精前後に必要とされるビタミンやミネラルがイラストで示され、それぞれのプロセスで重要な栄養素が異なることがわかります。
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そのため、妊娠を望むカップルはビタミンやミネラルを必要とされる量を摂取することを心がけねばなりませんが、推奨される量に足りていないからといって、はじめからサプリメントだけで補充するという方法は得策ではありません。
なぜなら、ビタミンやミネラルは、本来は食事から摂取すべき栄養素であるからです。
そして、ビタミンやミネラルの摂取量が推奨量に達していないということは、食べ方に問題があるということであり、その影響はビタミンミネラルの不足にとどまらず、糖質やたんぱく質、脂質などの栄養素の摂取バランスにも及んでいる可能性が高いからです。
もちろん、それらの摂取バランスの乱れは、新しい命の成育のための栄養環境を損ないます。
マルチサプリメント服用は極めて重要ですが、バランスのよい食生活というベースがあってこそです。