編集長コラム

細川 忠宏

妊娠しやすいカラダづくりは可能なのか?

2025年01月07日

2025年がはじまりました。

新しい年のスタートにあたり、あらためて、妊娠しやすさ、すなわち、妊娠力について考えてみたいと思います。

具体的には、妊娠力はなにで決まるのか、つまり、妊娠する力、妊娠させる力は、どの程度遺伝で決まるのか、環境はどの程度の割合で影響するものなのかということです。

もしも、ほとんどが遺伝で決定するのであれば、生活習慣を見直したり、サプリメントを摂ったりすることも、あまり、期待できないということになってしまいます。

もちろん、どちらもそれなりに影響しているとは思いますが、どの程度の割合なのかを調査した、大変、興味深い研究結果が、アメリカ生殖医学会誌に掲載されています。

デンマークの2640組の双生児ペアを対象にした全国規模の調査で、妊娠するまでに要した期間を妊娠しやすさの指標とし、それに対して遺伝的な因子と環境的な因子の寄与率を算出しています。

その結果、女性の妊娠力を決めるのは、遺伝因子が28%、環境因子が72%によるもの、また、男性の妊娠させる力は、遺伝因子が4%、環境因子が96%だったというのです。

遺伝因子はコントロール出来ませんが、環境因子は可能で、女性でも約7割、男性に至っては96%がコントロール可能な因子が妊娠しやすさに影響しているというわけです。

もう一つ、大変、勇気づけられる研究があります。それは、ライフスタイルの改善で生物学的年齢が若返るかどうかを確かめた研究です。

因みに生物学的年齢とは暦(実)年齢とは異なり、身体の細胞の状態や機能を反映した年齢で、実際の若々しさや健康寿命を反映した年齢のことで、唾液から抽出したDNAのメチル化レベルで測定するそうです。

研究は、43名の健常男性を2つのグループに分け、一方のグループは、8週間、食事改善、サプリメント(植物性ポリフェノールとプロバイオティクス)服用、定期的な運動(1日30分以上の運動を週5回)、7時間の睡眠、ストレスマネジメント(1日2回の呼吸法)を実施し、もう一方のグループは通常通りの生活で、前後の生物学的年齢を比較しました。

その結果は、驚くべきもので、食事や生活習慣への8週間の改善によって、生物学的年齢が1.96年減少した一方、なにもしなかったグループでは1.27歳増加し、3.23歳の差が出たというのです。

約2ヶ月間の食事改善やサプリメントの摂取、運動や睡眠といった生活習慣の改善で、生物学的に若返ることが明らかになったというわけです。

生活環境をコントロールすることで妊娠しやすいカラダづくりは可能であることをこれらの研究結果は示唆しています。

そして、それだけでなく、その後の若々しい人生の可能性も広がることでしょう。