曇り時々雨、のち晴れますように

小倉 智子

不妊治療中の気持ちの持ち方

2015年09月19日

今回はカウンセリングでよく質問される
「治療中の気持ちの持ち方」について
お伝えしたいと思います。

治療をしていれば、今度こそは妊娠できるかも!
と期待を膨らませるときがあると思います。
でも結果は陰性、妊娠せず、ということになると、
その落ち込みも大きいものです。

また、妊娠反応はあっても継続できず化学流産、
胎のうや心拍の確認はできたが、
それ以上赤ちゃんが育つことができず、流産になることもあります。
そのようなときの悲しみや落ち込みは
これまで経験したことのないほど大きいことがあります。

それでも次の治療をしないことには赤ちゃんは授からない!
と頑張ることが多いのが現状です。
でも、うまくいかなかった経験があるだけに、
なかなか前向きになれませんよね。
だけど、前向きにならないと、
次こそは妊娠できる!と思わないとできないよ、
なんて言われると、前向きにならないと、
と本心とは違う気持ちにならなきゃ、でもできない、と悩む方は多いのです。

前向きにならなければ妊娠できない、というのは
科学的に根拠はありません。
ただ、ネガティブなことばかり考えたり、うまくいかなかったらどうしょう、
とばかり思うのは、実際、苦しいものです。

そのようなときに二つほど気持ちの持ち方について提案があります。

①前向きを演じる
自分の治療経験から前向きになれないのはわかっていますのから、
前向きになる、ことを「演じる」方法です。
「次は絶対に授かる!これだけ頑張ったんだから大丈夫!」
など、俳優になった気持ちで感じてみます。
悲しいから涙がでるのか、涙がでるから悲しいのか、
という時がありますよね?
同じように、無理矢理でも「前向き」に考えることで、
気持ちもなんとなく「前向き」になるかもしれません。
そうすることで、ネガティブな思考が止まったり和らぐことができるのなら、
少しは効果的かもしれません。

②ポリアンナ作戦
「少女ポリアンナ」という作品をご存知ですか?
どんなに辛いことがあっても必ずいいことがあるはず、
という信念をもって成長してく女の子のお話です。
それを参考にして、日々の中にいいこと、楽しいことを見つけます。
ポイントは、不妊や治療に関しては行わないこと、です。
たとえば
「子どもがいないからこそできる楽しみがあって幸せ」
というのは、いつの日か結果的に思えれば問題ないのですが、
今、子どもを切望している時には、
むしろむなしく響くだけです。
ですから、
たとえば
「最近寒くて嫌だけど、その分出かけないで撮りだめしていたTVをみる時間ができたわ!」
のように。
必ず何かいいことがある、という信念が必要です。
そういうクセができると、治療で辛い気持ちになっても、
少し休まる瞬間がでてくるかもしれません。


以上はあくまで提案です。
うまくいく人とそうでない人もいます。

どちらにしても、治療中の気持ちのアップダウンは誰にでもありますし、
前向きになれなくても、それは当然です。
前向きな気持ちでなければ妊娠しない、ということもありません。
ご自身の気持ちをそのまま受け止めて大丈夫です