曇り時々雨、のち晴れますように

小倉 智子

生殖物語

2015年10月05日

こんにちは!
心理士の小倉です。

先週は有名人の結婚報告が多かったですね~。
皆様、おめでとうございます。

その際に結婚に至った経緯や
思いを話してくれる方々もいたり、
メディアのほうで
その人たちの結婚観など
調べてくれたり。

そうするといろんな方の結婚観、
人生観などがわかって
興味深いですよね。

その中できっとみなさまも
しばらくは頭でぐるぐるしている
福山さんの
「家族になろうよ」
という歌。

シンプルにプロポーズの歌なのですが、
この内容が不妊のカウンセリングで
核となる
「生殖物語」
になっています。

生殖物語とは
その人が抱く将来の家族像で
結婚すること、子供をもつこと、
孫を抱くこと、などがすべて含まれます。
よくあるのは
結婚したら子供を二人くらい産んで年をとったら
孫にかこまれて静かにくらす、
というものです。
(まさに、歌の通りです)

あるいは具体的に
男の子を二人産んで、一人は野球選手、
一人はテニスの選手にする!
女の子に洋服を作って着せてあげたい、
そして
孫にセーターを編んであげたい、
という年配の方の思いも生殖物語、と呼びます。

でもこの生殖物語があるからこそ、
不妊で悩まれている方は
苦しいのです。
こんなはずじゃなかったのに、と。

生殖物語は
2,3歳ころから作られ始めます。
自分の家族を見て、
世の中にはお父さんとお母さんと
子供と赤ちゃんがいるらしい、と知ります。
そして自分も大きくなったら
そんな役割をになってみたい、
と自然と思うのです。

ですから一方で、
自分は絶対に結婚しない、
結婚はするけど、子供はいらない、
という方もいます。
これもこの方の生殖物語、となります。

この生殖物語は誰でも持っています。
小さなこどもから80歳の方まで。
そのつど変化があったり、
追加があるものですが、
不妊の方が一番つらいのは
「書き換え」
をしないといけないことです。
子供がいる、いない、
とでは物語が全然変わるからです。

その作業はとても悲しいものですが、
この作業をしないと、
先に進めないのです。

生殖物語の書き換えは
不妊をしっかり悲しみ受け入れる
ことから始まります。
そのうえで、新しい生殖物語を
書き始めていきます。

大事なことは
自分の生殖物語を確認するとともに
パートナーの方の生殖物語を知ることです。
案外、
自分の生殖物語について曖昧だったり、
ましてやパートナーは
どんな思いを持っているのか
知らないことが多いので、
これを機に一度きいてみてもいいかもしれません。