ドクターにインタビュー
vol.06
質のよい卵を育むための生活習慣〜高齢不妊との正しい戦い方
神野正雄 先生(ウィメンズクリニック神野院長)
【1】高齢不妊にどのように対処すべきか
- 細川)
- ここ数年、不妊患者さんの高齢化が進んでいます。 そこで、皆さんの一番の関心事である、 よい卵子を育むためにはどうすればいいのかについて、 神野先生にアドバイスをいただきたいと思います。 まずは、高齢によって妊娠しづらくなったことに対して、 どのように対処すればいいのか、 神野先生のお考えをお聞かせください。
- Dr.)
- まずは、簡単にあきらめないことです。
加齢により妊娠率は低下しますが、
だからといって妊娠できなくなるわけではありません。
卵巣予備能検査で、卵の数が少なくなったことは把握できますが、
その質まではわかりません。
妊娠に重要なのは、卵の"数"ではなく、"質"です。
つまり、妊娠率の低下は診断できますが、
妊娠できないと断定することはできないのです。
高齢という理由だけであきらめなければならないわけではありません。
そして、早期に診断し、効率的な治療を実施することです。 妊娠するのに年齢が若いほど有利であることは言うまでもありません。 効果的な治療機会を逃さないためには、 卵巣機能の低下を出来るだけ早い段階で診断し、 年齢や不妊原因を考慮した上で、 早めに最も効率的な高度生殖補助医療を実施することが大切です。
また、治療可能な原因を取り除く、もしくは、軽減することです。 加齢による老化で卵の数が少なくなったり、 質が低下してしまったりするのはどうしようもありません。 ただし、卵巣機能が悪くなっている原因は、必ずしも加齢だけではありません。 例えば、PCOSや生活習慣不良によるインスリン抵抗性、肥満や低体重、子宮内膜症、卵管水腫など、 往々にして、治療可能な原因が存在するものです。 であれば、それらの原因を取り除いたり、軽減したりすることで、 卵質を改善し、妊娠率を高めたり、卵巣の老化を遅らせることは可能です。
そのうえで、最適な卵巣刺激法を選択し、治療を施すことです。
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方