ドクターにインタビュー

vol.11

【2】ふたりが同じベクトルをもつ

三室 卓久 先生(みむろウィメンズクリニック院長)

三室 卓久

【2】ふたりが同じベクトルをもつ

ふたりが同じベクトルをもつ

三室先生)
ふたりが納得のいく治療を受けたり、ライフスタイルを見直したりするうえで、ふたりでよく話し合い、協力しあうことが大切なのは、当然のことですよね。
細川)
そうですね。
三室先生)
ところが、「夫がわかってくれない」とか、「協力的でない」という声をよく耳にすることも、また、現実です。
細川)
はい。
三室先生)
ただ、よくよく考えてみると、動物としてのオスとメスは子孫を残すうえで、その役割が違うのですね。 そのことを忘れてはいけないと思うんですよ。
細川)
オスとメスの違い。
三室先生)
そうです。ほにゅう類は、子孫を残すうえでメスの負担が大きく、排卵し受精してからも、子宮で胎児を育て、産んでからも赤ちゃんに母乳を飲ませます。そもそも、ほ乳類は、子づくりにおいて、オスメスの役割は極端に不公平に進化してしまったのです。
細川)
なるほど。
三室先生)
ですから、お互いにわかるわけがないのですよ。
細川)
わからなくて当たり前だと。
三室先生)
当然です。オスとメスは違うということを認識することから始めるべきだと思うんですよ。
細川)
はい。
三室先生)
ただ、誤解しないでほしいのは、そういうふうになっているから我慢しろと言いたいわけではないということ。 そうではなくて、まずは、ほ乳動物としてのオスとメスでは担っている役割や本能が違うということを認識し、受け入れた上で、どのように不妊治療に臨むのかをお互いに話し合い、考えるわけです。
細川)
本能の違いを理性で補えと。
三室先生)
そうです。お互いに同じ意識を持つことを求めるのではなく、役割や本能が違うオスとメスが、どのようにタッグを組めばいいのかを考えるのです。ふたりのベクトルを合わせる、すなわち、役割と意識は違っても、新しい家族を迎えたいという思いや方向を合わせるのです。
細川)
違うことを嘆くのではなく、違うからどうするのかを考えるということですね。
三室先生)
そうです。

ドクターに訊く

ドクターにインタビュー