ドクターにインタビュー

vol.11

【1】主体的にとりくむ

三室 卓久 先生(みむろウィメンズクリニック院長)

三室 卓久

【1】主体的にとりくむ

主体的に取り組む

細川)
今回のドクターに訊くは、「妊娠しやすい思考ってあるの?」をテーマに三室先生にお話しをお伺いします。まずは、そもそも、「妊娠しやすい思考」というものがあるのでしょうか?
三室先生)
あると思いますね。不妊治療に臨むにあたって、女性特有の体の仕組みや妊娠のメカニズム、検査や治療方法のことなど、知っておくべき知識があるということはわかると思います。
細川)
はい。
三室先生)
ただ、不妊治療は妊娠というゴールにたどり着くのに、いくつもの方法があるんだけど、どの方法を選ぶのかを決めるのは、医師ではなく、患者さんなんです。だから、"自分たちはどうしたいのか"について、ふたりでよく考える必要がありますよね。
細川)
そうですね。
三室先生)
もちろん、"お子さんが欲しい"ということなのですが、もしかしたら、患者さんは「不妊治療を受けさえすれば妊娠できる」と、漠然と考えていらっしゃるかもしれません。けれども、生殖医療が進歩したと言っても、限界があり、決して、万能ではないのです。それどころか、まだまだ、わからないところも多くて、こうすれば確実に妊娠できる方法を予め知ることは難しいのです。
細川)
はい。
三室先生)
そのため、医者にまかせておけば、治療のベルトコンベアにのっていれば、妊娠できるだろうという考えでは心もとないというか、後々、後悔することになってしまわないわけです。ですから、ふたりが納得できる治療を受けること、そして、そのために、 "先生まかせ"ではなく、ふたりで主体的に治療に取り組むことが大事なのです。
細川)
納得のいく治療を受ける、そして、そのためには主体性が大切だということですね。
三室先生)
特に、最近のように患者さんの年齢が高くなるにつれて、卵子の老化が主な不妊の原因になってくると尚更のことです。残念ながら、卵子の老化に対する効果的な治療法はありませんので、少しでも妊娠の確率が高くなるようなアプローチを試みます。それぞれの患者さんにあった方法を選択するのですが、その際には、患者さんの身体の状態だけでなく、おふたりが"どうしたいのか"ということが大切な要素になってくるのです。
細川)
よくわかりました。
三室先生)
また、妊娠する力は、ライフスタイルにも左右されます。
細川)
そうですね。
三室先生)
ですから、すべて治療頼みではなく、自分たちのライフスタイルを見直すことも大切です。当院では、不妊治療のスタートにあたって、知っておくべき情報を提供するとともに、患者さんとよく話し合ったうえで、治療の方針を決定しています。
細川)
主体的にとりくめるような環境を整えていらっしゃるわけですね。
三室先生)
そういうことです。

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