ドクターにインタビュー

vol.13

不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?

春木 篤  先生(春木レディースクリニック院長)

春木 篤 

ドクターに訊く、今回は、「不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が必要なのか」というテーマで、NBMと呼ばれるナラティブベイスドメディスンについて話しをお伺いします。

不妊治療に限らず、現在の医療では、それぞれの患者に有効な治療法の選択は、エビデンス(科学的根拠)に基づいて行われるのが、“あるべき”医療とされています。英語のEvidence-Based Medicineの頭文字を取って、「EBM」、日本語に訳すと「科学的根拠に基づく医療」と呼ばれています。

根拠のあいまいな慣習や経験、勘、或いは、権威者の意見に基づく医療ではなく、臨床研究などの科学的データに裏付けられた、確かな根拠(証拠)に基づいた医療ということです。

その一方で、不妊治療は、よく「出口の見えないトンネル」にたとえられます。“先の見えない不安”が伴うというわけですが、それは、エビデンスをもってしても、今、受けている治療方法が、本当に自分たちに有効なものなのか、そして、この治療方針で自分たちは報われるのかを見極めることは、決して、簡単ではないということでしょう。時間やお金に限りがある中では、尚更のことです。

私たちのところにも多くの相談が寄せられますが、そのほとんどは、“自分たちにふさわしい治療方針や治療方法”に関するものです。

そんな中、「エビデンス(evidence;根拠)にはじまり、ナラティブ(narrative;対話)におわる医療」を治療方針に掲げたクリニックが大阪の心斎橋にオープンします。

私たちは、ナラティブ、すなわち、「対話」にこそ、大きなヒントがあるのではないかと感じ、春木レディースクリニック院長の春木篤先生に「ナラティブベイスドメディスン(NBM)」について、お話しを伺ってまいりました。

vol.13 インデックス

★春木 篤 先生 プロフィール

大阪府堺市生まれ。平成5年山梨大学医学部卒業後、横浜市立大学医学部附属病院産婦人科入局。平成12年、横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター助教。平成18年、IVFなんばクリニック医長、IVF大阪クリニック副院長をへて、平成25年、春木レディースクリニック開院。現在に至る。

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