ドクターにインタビュー
vol.14
30代後半、40代からの不妊治療 ~“後悔のない治療”にするための専門医からのアドバイス
吉田 仁秋 先生(吉田レディースクリニック院長)
[4]テーラーメイドな治療
テーラーメイドな治療
- 細川)
- 吉田レディースクリニックの40歳以上の体外受精の凍結胚移植の移植あたりの妊娠率を拝見すると、特に43歳以上では日本産科婦人科学会が公表している全国平均を大きく上回っているようです1)。
- Dr.)
- 40歳以上の体外受精で比較的良好な結果が得られているのは、やはり、患者さんの状況に応じて、いろいろときめ細かく工夫しているからではないかと自負しています。
- 細川)
- 新しい試みにも取り組んでおられるとのことですが。
- Dr.)
- そうですね。いろいろな研究に取り組んでいますが、もともと、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の患者さんに、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクを避けるために注射による刺激を行わずに、卵を未成熟なまま採卵し、体外で培養し、成熟させる未熟卵体外受精(IVM)を、高齢で卵巣機能が低下した女性に適用しようという試みにも取り組んでいます。まだまだ、研究段階ではあります。
- 細川)
- はい。
- Dr.)
- いずれにしても、一口に高齢による卵巣機能低下と言っても、患者さんによって、その程度や状況はさまざまです。
- 細川)
- そうですね。
- Dr.)
- ですから、すべての患者さんに有効な治療方法は存在しません。患者さんとの対話や検査データ、治療の経過や結果をベースにして、それぞれの患者さんに最適な切り口をみつけることが最も重要だと思います。
- 細川)
- はい。
- Dr.)
- そういう意味では、テーラーメイドな治療ということになると思います。
- 細川)
- 本日はありがとうございました。
年齢別体外受精治療成績
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方