ドクターにインタビュー
vol.19
40代の不妊治療について考える
辰巳賢一 先生(梅ヶ丘産婦人科院長)
【5】高齢でもAMHが高ければARTの治療効果が高くなる
- 細川)
- 40歳以上の高齢女性でもARTを勧められるのはどのようなケースなのでしょうか?
- Dr.)
- もちろん、タイミング指導や人工授精でも妊娠できないような理由がある場合です。たとえば、卵管に問題があるとか、重度の子宮内膜症がある場合。また、男性不妊でも高度の乏精子症や無精子症のような場合です。
- 細川)
- ARTでしか妊娠を望めないであろう原因あるカップルですね。
- Dr.)
- そうです。そのようなケースでも、妊娠率は低くならざるを得ないことは最初にきちんと説明しておくべくではあります。
- 細川)
- はい。
- Dr.)
- また、高齢でもAMHが高値であったり、PCO(多嚢胞性卵巣)などで、多くの卵子が採卵できそうな場合です。
- 細川)
- 多くの卵子が採卵できそうな場合。
- Dr.)
- そうです。採卵で卵がたくさん採れれば採れるほど妊娠率、出産率ともに高くなるからです。
- 細川)
- 採卵個数と妊娠率や出産率は比例するということですね。
- Dr.)
- はい。このことは40歳以上になっても同じで、採取卵数が多いほど妊娠率、出産率が高くなります。
- 細川)
- ARTを行う意義があると。
- Dr.)
- 高齢になると正常な卵子と出会える確率が低くなりますが、採取卵数が多くなると正常な卵子を採取できる確率も高くなるので妊娠の確率も高くなるのです。
- 細川)
- なるほど。
- Dr.)
- そのため、高齢でもAMHが高い、あるいは、PCOなど多くの卵子が採取できそうな場合には、積極的にARTを勧められると考えています。 ■この章のポイント 高齢でもAMHが高い、あるいは、PCOなど多くの卵子が採取できそうな場合には、積極的にARTを勧められる。
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方