ドクターにインタビュー
納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
林 伸旨 先生(岡山二人クリニック理事長)
今回は、「納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える」というテーマで、岡山二人クリニック理事長の林 伸旨先生にお話しをお伺いしました。
不妊治療においては、どんな治療をどのくらい続けるのか、当事者であるカップルが主体となって決める必要があります。その選択や決断には、医学的な根拠もさることながら、本人たちの価値観が反映されるべきであるからです。
そして、そのためには、当然のことですが、“情報”が必要です。ただし、関連する情報を集めさえすればよいというわけではありません。集めた情報を整理し、理解を深め、知識としてその時々の自分たちの選択や決断に活かすことができなければ意味がありません。
「知らない」というだけでなく、「よくわからない」、「誤解しているかも」、「勘違いしている」ままでは、自分たちにふさわしい選択や決断どころか、余計な心配を抱えたり、不要な混乱をきたしたりしてしまいかねません。
この意味で、不妊治療患者にとって、自分たちの納得のいく選択や決断は通院する医療機関による適切なサポートなしには実現できないと言っても過言ではありません。そして、そのベースになるのが医療側との「情報共有」です。
昨今、女性の不妊患者の年齢が高くなり、限られた時間と費用の中で後悔のない選択を迫られる現状を見れば、その重要性も、益々、高まっていると言えます。
そこで、開院以来20年間、よりよい医療を提供するための「情報の共有化」を徹底してはかるべく、情報共有システムを構築され、現在、生殖医療に携わるドクターをはじめとする医療関係者が全国から見学に訪れるほど注目されている岡山二人クリニックの理事長である林 伸旨先生にお話しをお伺いしました。
林先生のお話しが、これから不妊治療をはじめようとしているカップルだけでなく、現在進行形で頑張って治療を続けているカップルの「納得のいく不妊治療」の実現のための助けになればと願っています。
vol.23 インデックス
- [1]よりよい医療を提供するための院内情報共有システム
- [2]治療成績の開示は年齢別の採卵あたりの生産率(生児獲得率)が大切
- [3]プロセスこそ大切
- [4]チーム医療の実現
- [5]信頼は情報の共有から
- [6]"卒院証"が意味すること
岡山大学医学部卒業、岡山大学病院や岡山中央病院などを経て、1996年5月に岡山二人クリニックを開院。
岡山二人クリニック理事長。医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、生殖医療学会功労会員。現在、JISART副理事長、岡山大学医学部保健学科非常勤講師、岡山県立大学非常勤講師、青少年健全育成促進アドバイザー、学校保健支援チーム、学校保健支援チーム専門家、未来のパパママを育てる出前講座講師。
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方