ドクターにインタビュー

vol.25

精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る

菅藤 哲 先生(かんとうクリニック院長)

菅藤 哲

今回は、「精索静脈瘤と男性不妊」というテーマで、かんとうクリニック院長の菅藤哲先生にお話しをお伺いしました。

不妊の原因は、男性側、女性側、それぞれ、半々の割合とされていますが、2016年に実施された「我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究」では、男性不妊の原因のほとんどは造精機能障害、すなわち、精子をうまくつくれないというもので、その36%を占めるのが精索静脈瘤となっています。

このように、精索静脈瘤は、男性不妊の原因の中で大きなウエイトを占めています。

ところが、それにもかかわらず、そのことが不妊治療患者にはほとんど知られていないことも、調査で明らかになっています。

日本では不妊治療は女性主体に進められ、男性不妊症を専門に診察できるクリニックが少なく、たとえ、男性側に原因があっても男性への適切な診察や治療の機会が極めて限られていることが背景にあると考えられます。

つまり、男性不妊が疑われる男性に対して、その原因を調べたり、治療したりすることがないまま、パートナーの女性に体外受精や顕微授精を行い、妊娠を目指すことが少なくないというわけです。

精索静脈瘤は治療方法やその有効性が確立されている数少ない男性不妊原因の一つであることを考えると、精索静脈瘤の治療機会が得られにくいという現状は不妊治療カップルにとって極めて不利な状況を強いていると言っても過言ではありません。

そこで、男性不妊症を専門とする泌尿器科医領域の生殖医療専門医であり、精索静脈瘤のエキスパートでいらっしゃる、かんとうクリニック院長の菅藤哲先生にお話をお伺いしました。

あるべき治療環境をカップル自らが求めるきっかけになればと願って止みません。

vol.25 インデックス

★菅藤 哲先生 プロフィール

かんとうクリニック院長、医学博士。
日本泌尿器科学会認定専門医指導医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医。
秋田県出身。東北大学医学部卒業後、男性不妊に関する基礎医学研究、臨床医学研究に20年以上にわたって携わり、これまでに診療した男性不妊症例は10000人以上、顕微鏡手術執刀件数は2500件以上に至る。
泌尿器科専門医としては日本で初めて高度生殖医療施設常勤医師として女性不妊治療と男性不妊治療の双方を実践し、非閉塞性無精子症に対するmicrodissection TESE-ICSIによる妊娠率を国内で初めて論文発表した泌尿器科専門医による男性不妊診療のTRAIBLAZERとしても知られる。

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