ドクターにインタビュー
vol.25
精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
菅藤 哲 先生(かんとうクリニック院長)
【6】あるべき不妊治療を考える 〜 精子をよくしてパートナーの妊娠率の向上を目指す
- 細川)
- ここまでのお話をお伺いして、男性側に目を向けて、男性不妊専門医による適切な診察や治療の大切さがよくわかりました。
- Dr.)
- 不妊のおおよそ半数に男性側に原因とされていますが、無精子症でなければ、そのままパートナーの女性にART治療が行われているのが現状です。
- 細川)
- はい。
- Dr.)
- そのため、男性側への原因の探索や治療がなされないまま、妊娠率の低い治療が繰り返されたり、たとえ、治療が行われてもそのタイミングが遅くなると、それまで不要な治療をパートナーの女性に行われてしまうことになりかねません。
- 細川)
- 男性不妊については、マスコミで取り上げられることも多くなり、ある程度知られるようになりましたが、診察や治療についてはほとんど理解されていないということですね。
- Dr.)
- そもそも、男性不妊の専門医が圧倒的に少ないということがあります。生殖医療専門医は649名いますが、その内、泌尿器科医は、わずか51名なのです。それも、そのほとんどが関東と関西に偏っています。
- 細川)
- 数が少ない上に地域格差もあると。
- Dr.)
- また、不妊治療は最終的には女性に施されるわけですから、不妊治療クリニックや婦人科医師との連携という問題もあります。
- 細川)
- なるほど。
- Dr.)
- ただ、だからといって現在進行形で多くのカップルが男性への適切な診察や治療機会が得られずに、苦労されていらっしゃるわけですから、我々、泌尿器科医としても手をこまねいてみているわけにはいきません。
- 細川)
- はい。
- Dr.)
- 男性不妊の診療や治療の環境の向上につとめるとともに、出来うる限り情報を発信し、カップルが自らあるべき治療環境を求められるようにサポートしていきたいと考えています。
- 細川)
- 本日は、貴重なお話しをいただきありがとうございました。
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方