不妊治療専門クリニックにおける栄養カウンセリング

4専門家が、個々の患者さんに応じたアドバイスを提供する

花田
インターネット上にはさまざまな妊活情報が溢れています。特に、SNSが普及し、それに拍車をかけています。自分に出来ることは、なんでもやりたいという心情から、妊活情報のすべてに自分をあてはめて考えてしまわれるようなのです。
パートナーズ
すべてに自分をあてはめる?
花田
そうです。これをしないと妊娠できない!というような情報に接すると、自分はどうかとあてはめて考え、これをしていない私を感じて、不安になってしまうということです。
パートナーズ
そのような受け取り方をされると。
花田
そうです。妊活情報の中には、魅力的で大袈裟な表現がされているものも多く見受けられます。なかでも食や栄養に関する情報は皆に共通のテーマなので、共感性が高くなります。ただでさえ、妊娠に近づくための努力を惜しまないという心情の人にとっては刺激が強く、すべて自分にあてはまることだという錯覚に陥ってしまうのだと思います。ところが、現実には自分ではやっていないことがほとんどなので、そのような情報に接すれば接するほど、不安が増大することになってしまいます。
パートナーズ
なるほど。情報の多さが役に立つどころか、かえって不安を大きくしているわけですね。
花田
はい。そこで、私たち専門家が、これはあてはまるけれども、これはあてはまらないというふうに、食や栄養に関して正しい情報を、個別に提供することで、不安が軽減され、安心につながればと考えています。
パートナーズ
専門家による個別対応だからこそ、安心につながると。
花田
たとえば、妊活レシピ集がほしいと希望される患者様がいらっしゃいますが、全ての患者様にふさわしいレシピなどないと考えています。そこに嫌いなもの、苦手な食材があれば、活用してもらいにくいですし、料理に時間や手間をかける余裕のない方もいらっしゃるので。
パートナーズ
一般的なレシピであればネット上でたくさん紹介されていますからね。
花田
そうです。食生活の改善の場合、患者様の個々の事情に応じて、簡単に出来る工夫やコツを提供したいと考えています。
パートナーズ
それは嬉しいですね。
花田
患者様の問題解決や安心感に必要なのは一般論ではなく、自分はこれから何をどうしていけばよいのかという、正しく、適切な情報です。そのような理由で、個別対応がとても大切だと考えています。
パートナーズ
なるほど。栄養カウンセリングがこころのケアにもなることがよくわかりました。
花田
実際、栄養のご相談からスタートし、いつのまにか、不安なことや心配なことについてのお気持ちを打ち明けられ、患者様が、「栄養カウンセリングなのに、こころの話になってしまい、すみません・・・」となることもありますが、そんな時は「こころの栄養も大事ですよ!」とお話しするようにしています。
パートナーズ
こころの栄養も大切だと。
花田
そのことによって、不安が安心になり、治療にプラスの影響を及ぼすことが出来ればと思います。
パートナーズ
それが妊娠という結果につながれば、言う事はないですね。
花田
当院を卒業された患者様へのアンケートで、栄養カウンセリングを受けて管理栄養士さんと話せてよかった、役に立ったというお言葉をいただけると、本当に嬉しく、やりがいを感じます。
パートナーズ
素晴らしいですね。
花田
不妊治療のゴールは妊娠ですが、患者様にとっては、出産や育児のスタートでもあります。栄養カウンセリングによって食生活を改善されたことが、妊娠だけでなく、安全な出産や健全な育児にまで役立てていただけると信じています。
パートナーズ
不妊治療クリニックにおける栄養カウンセリングだからこそ提供できる価値なのかもしれませんね。
花田
そうですね。
パートナーズ
食や栄養に関するエビデンスに基づいた情報や個々の患者様に応じた実行可能なアドバイスの提供が、不妊治療において患者様のサポートになることがよくわかりました。そして、それがきっかけで、患者様が、その後の人生で多くの情報を取捨選択し、役立てられるようになれば、栄養カウンセリングの価値は計り知れないですね。本日はありがとうございました。