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VOL.008 不足している脂肪とは

2003年10月25日

                         
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□■□       ◆妊娠しやすいカラダづくり◆
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◇           《毎週土曜日配信》        VOL.008

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》》》》》》》「自然療法による不妊改善」が、テーマです《《《《《《《
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 受精→着床→妊娠はとても複雑な過程をたどります。このプロセスのどこ
かがうまくいかなくなると、なかなか妊娠出来ません。不妊症になるおそれ
があります。

 まずはこの状態を病気と捉えるのではなしに、たまたま、うまくいかない
ところをセルフケアによる、自然な方法で、本来、私たちに備わっている生
殖能力を取り戻すことにチャレンジしませんか?

 そんなチャレンジを私たちは応援させて頂きます。

 このメルマガの内容に関してのご感想、ご意見、または不妊改善に関する
ご相談や体験談等をお寄せ下さい。お待ちしています。下記メールアドレス
宛にお送り下さい。

◆メールアドレス:info@nature-g.com

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皆さん、こんにちは。いつもご購読ありがとうございます。
また、この号から購読を始められた方、数あるメールマガジンの中から
当マガジンを選んで頂いてありがとうございます。
よろしくお願いいたします。

今週は、妊娠しやすいカラダづくりのための食事改善、その2です。

「食」を通じて妊娠しやすいカラダをつくることを、
もちろん、目的としています。
これまでの食生活や食習慣の問題なところを理解、認識し、
そして、実践、です。

たとえ、不妊治療を受けても
生殖「補助」医療です。
肝心なのは、主体となるカラダです。
そして、そのカラダをつくるのは、「食」というわけです。

ただし、食事を改善することで、
何らかの効果がカラダにあらわれてくるのは、
早くても、3ヶ月から半年くらいかかります。
実は、多くのメールで感想やご相談をいただきます。
中でも多いのは、即効性を求められる方です。
お気持ちは十分にお察しします。
でも、機械の不具合を修理するわけにはいきません。
長年のさまざまな生活や食の習慣によって、培われた体質は、
一朝一夕には変わらないものです。
ご自身の健康という得られる「おまけ」を考えても、
じっくりと取り組む価値は計り知れません。

多少の努力が必要です。
ところが、継続することで、
きっと妊娠しやすいカラダへと変わっていくと思われます。

それでは、今週のテーマのスタートです。

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 》》》 妊娠しやすいカラダづくりのための食事改善 〜 その2
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 脂肪です。実は、この脂肪ほど誤解されている栄養素もないでしょうね。
恐らく、今、特に女性の間では、脂肪は目の敵です。脂肪=肥満、脂肪=か
らだに悪い、という感じでしょうか。スーパーに行くと、低脂肪○○なんて
いう食品がずらり並んでいるのが何よりの証拠で、取りあえず、出来るだけ
脂肪を取らないようにと心掛けているようです。あと、オリーブオイルなん
かの植物性の脂質はカラダに良いけども、動物性の脂質がカラダに良くない
という図式でしょうか。

 実は、身体に不足している脂肪酸があって、それがさまざまな慢性疾患や
身体の不調の原因になっているのです。

 脂肪に関する食事改善というテーマの結論を言います。2つあります。脂
肪と一口に言っても様々な種類があります。詳しくは後述しますが、ある種
の脂肪を取り過ぎていて、ある種の脂肪が不足しているのです。脂肪の摂取
バランスの問題、これが一つです。

 もう一つは、脂肪の中で、明らかに体に悪さを働いている脂肪があります。
この悪い脂肪の摂取を直ぐに止めることです。

 この2つの問題によって、さまざなな体の不調を引き起こしています。そ
れもやっかいな不調が多いのです。なかなか妊娠しづらいということもその
内の一つである可能性が大です。

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 》》》 もっと取るべき脂肪、
           もっと減らすべき脂肪、
                   とってはいけない脂肪  》》》
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 このように書くと大変分かりやすいのですが、食に関してのマニュアル的
な理解はとても危険です。行き過ぎた○○は、○○に良いというような情報
の氾濫が、脂肪に対する誤解や偏見を生み出している一因でもあります。大
切なのは、基本を正しく認識、理解し、あとはご自分の判断で取捨選択する
という姿勢です。

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脂肪にもいろいろある
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■脂肪=中性脂肪
 私たちが、日常、脂肪と呼んでいる脂肪というのは、中性脂肪のことです。
脂肪は、脂肪酸(酸性)と、グリセロール(アルカリ性)がくっついて、中
和した形なので中性脂肪といわれます。

■脂肪酸
 簡単に言えば、脂肪の成分が脂肪酸です。よく耳にするリノール酸とか、
オレイン酸とか、リノレン酸というのは、全て脂肪酸の種類です。少し、難
しいお話になるかも知れませんが、脂肪酸にはこんな種類があるということ
だけは覚えておいて下さい。脂肪酸は分子構造からいうと、炭素が連なった
構造をしており、そのなかの二重結合の数で大きく3つに分類されます。

★飽和脂肪酸
 二重構造を持たない脂肪酸です。この飽和脂肪酸は、動物性の脂肪に多く
含まれます。常温では固体です。バターやステーキの赤身のまわりの白い脂
肪がそうです。

★不飽和脂肪酸
 飽和脂肪酸に対して、二重結合を持つ脂肪酸です。このうち、二重結合が
ひとつだけあるものを一価不飽和脂肪酸、2つ以上あるものを多価不飽和脂
肪酸と呼んでいます。

◎一価不飽和脂肪酸
 常温では琥珀色です。冷蔵庫の中では固まります。オリーブオイルなどに
多く含まれるオレイン酸が代表的です。

◎多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)
 常温では透明な液体です。冷蔵庫の中でも固まりません。サフラワー油や
コーン油、魚油が代表的なものです。リノール酸やαリノレン酸、青魚に多
いと言われるEPAやDHAなどがあります。

 食べ物に含まれる脂肪は、これらの3つの脂肪酸が混じり合い、そのうち
のどれかが主要成分となっています。牛の脂肪は、大部分が飽和脂肪酸です
が、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸もいくらか含まれます。同じよう
にオリーブオイルはほとんどが一価不飽和脂肪酸から成り、多価不飽和脂肪
酸とわずかに飽和脂肪酸も含まれています。また、コーン油は、ほとんどが、
多価不飽和脂肪酸で、一価不飽和脂肪酸とわずかに飽和脂肪酸を含むといっ
た感じです。

 問題になる脂肪の摂取バランスは多価不飽和脂肪酸です。多価不飽和脂肪
酸は、体内では作る事が出来ないので必須脂肪酸とも言われます。この多価
不飽和脂肪酸については、もう少し詳しく見ていきます。この脂肪酸は、さ
らに大きく二つのグループに分けられています。

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多価不飽和脂肪酸
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 多価不飽和脂肪酸は、その二重結合の位置によって、オメガ3系とオメガ
6系のふたつの系列に分類されます。

○オメガ3系例
 ・αリノレン酸:亜麻仁、豆、菜種、カノーラ油、ナッツ類
 ・EPA(エイコサペンタエン酸):冷水に住む魚
 ・DHA(ドコサヘキサエン酸):魚

○オメガ6系列
 ・リノール酸:コーン油、大豆油、その他の植物油
 ・γリノレン酸:マツヨイグサ、黒スグリ
 ・アラキドン酸:肉、動物性脂肪、動物性食品

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ホルモン様物質エイコサノイドのバランス
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 ここからが大切なところなんですが、この多価不飽和脂肪酸は、体内で代
謝されて、エイコサノイドを生成します。エイコサノイドなんていう名前は
初めて耳にされる方も多いと思いますが、多価不飽和脂肪酸が代謝されて細
胞膜でできる最終の物質で、その細胞や付近で強力なホルモンのような働き
をする物質なのです。ホルモンと同じような物質と考えていただいてよいか
と思います。プロスタグランジンはこのエイコサノイドの一種です。

 このエイコサノイドの作用は多彩なのですが、一言で言えば、身体の調節
です。神経作用、睡眠、眼圧、血液凝固、血液拡張・収縮、血圧、利尿、生
殖(妊娠)、体温、胃液分泌、皮膚再生、ガン細胞抑制、免疫力増強、炎症
抑制、各種ホルモンの産生、その他です。

 このようの身体のさまざまな機能の調節に関わっています。数多くのエイ
コサノイドは、互いに逆の作用を持ちながらバランスを保っています。例え
ば、あるエイコサノイドは、血管の拡張を促進しますが、あるエイコサノイ
ドは、血管の収縮を促進させるというものです。どちらの作用も人間の身体
にとっては必要ですから、どちらか一方が優勢になれば問題が生じてしまい
ます。要はバランスの問題です。

 そして、そのバランスは、エイコサノイドの原料となるオメガ3系列とオ
メガ6系列の必須脂肪酸のバランスに影響を受けるのです。オメガ3系列の
脂肪酸から代謝されて生成されるエイコサノイドは、オメガ6系列の脂肪酸
から代謝されて生成されるエイコサノイドとは、互いに逆の作用を持ってい
ます。ですから、オメガ3系列とオメガ6系列の脂肪酸の摂取バランスが大
切なのです。

 日頃はなかなか、このようなエイコサノイドのバランス等は意識すること
さえありません。医師と言えども、勉強不足の医師はさほど関心を示さない
ようです。ところが、驚くほど多くの慢性疾患や身体の不調の根本原因が、
このエイコサノイドのバランスの崩れからきていることが、最近の研究で明
らかになってきたのです。

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オメガ3とオメガ6
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 現代の食生活において、脂肪摂取の最大の問題は、オメガ6系列の脂肪酸
ばかり摂取して、オメガ3系列の脂肪酸をほとんど摂らなくなってしまった
ことなのです。

 オメガ6系列の代表選手は、リノール酸です。実は、このリノール酸は、
一時期、コレステロールを低下させたり、血圧を低下させる作用があるとい
うことで、多く摂取することを勧められたのです。専門家もそのように考え
ていたようです。ところが、栄養学で脂肪酸の代謝やエイコサノイドの研究
が進むにつれて、評価が逆転してしまったのです。リノール酸を多く摂取す
ることには問題があるというふうに。

 リノール酸の1日の必要量は1〜2gですが、ご飯2杯半で、取れてしま
うのです。ところが、実際には、サラダ油、てんぷら油をふくめ、必要量の
10倍以上は摂取しているようです。

 1960年の日本人の脂質の全摂取量は1日24.2gで、1975年には、55.2gと
2倍以上に増えて、現在も同じ程度だそうです。ところが、動物性脂肪の摂
取量は、20〜27gのあいだを変動するだけで、40年前とほとんど変わって
いないのです。ということは、意外にもこの40年間の脂肪の摂取の伸びは、
ほとんどが植物性脂質の摂取量の増加によるもので、おそらく、ほとんどが
オメガ6系列のリノール酸であると思われるのです。

 このリノール酸の摂取量の増加に伴って、増えたのが、アトピー性皮膚炎、
花粉症、喘息、リウマチ、不妊症、というわけです。

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有害な脂肪
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 次に身体に悪い脂肪について、です。私たちの身体の不調の原因は、多価
不飽和脂肪酸の摂取のアンバランスだけではありません。油の製造過程や使
われ方にも問題があります。

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マーガリンに代表される人工脂肪酸
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 マーガリンやスナック菓子などに使用されているショートニングは植物性
油脂を水素添加という方法で半固体状にしたもので、バターよりも化学的な
加工度はかなり高いと言えます。この過程で出来るのがトランス型脂肪酸で、
加工の過程で脂肪酸の一部の分子構造が天然のシス型から非天然のトランス
型に変ってしまいます。

 このトランス型脂肪酸がエコサノイドのバランスを崩します。ヨーロッパ
では発売禁止になっている国もあるほどです。一応、国際脂肪酸・脂質学会
はトランス型脂肪酸の摂取量を1日2g以下にすることを勧告しているよう
です。アメリカやカナダなど、20g前後も摂取しているのに比べて、日本
人のトランス型脂肪酸の摂取量は1日1g以下と推定されてはいるものの、
マーガリンやスナック菓子、ファーストフードを食べる機会の多い人は要注
意です。

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保管
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 透明な容器に入れられた食用油は、光りによって酸化が促進されます。光
りによる酸化は、酸素による酸化以上に早く進みます。

 また、加熱によって、過酸化脂質などの有害な物質が生成されます。揚げ
物は、たとえどんな油を使ったとしても、油が変質し、身体には有害です。

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 脂肪酸の取り方 〜実践マニュアル
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★オメガ3とオメガ6をバランス良く摂取するために

■リノール酸(オメガ6)の摂り過ぎに注意する
 食用油には、脂肪酸の割合に注意する。ラベルをチェックして、オレイン
酸が最も多く、リノール酸が最も少ないものを選ぶ。サフラワー油(べに花
油)、コーン油は避け、オリーブオイルを使うのが無難。

■週に2回以上、青魚を食べる
 青魚には、オメガ3が豊富。青魚とは、背の青い回遊魚のことで、イワシ、
サバ、ニシン、ブリ、カツオ、マグロ、サケなどです。

※その他のオメガ3脂肪酸を摂取する方法
 フラックスシード(亜麻の種)オイルには、オメガ3のαリノレン酸が豊
富に含まれています。と言ってもさほど出回っていないし、知られていない
ですね。今後は徐々に出てくると予想されますが。とても酸化されやすいの
で要注意です。調理用としてではなく、ドレッシングで。また、ナッツ類を
おやつにするとよいでしょう。

★悪い脂肪を摂取しないために

■マーガリンは食べない
 植物性と言えども、人工的に変型された脂肪酸で、身体には大変悪い成分
です。絶対に使わないようにしましょう。また、スナック菓子やファースト
フードも食べ過ぎないようにしましょう。

■外食するときには、炒めたり、揚げたりしたものは避ける
 どんな油が使われているか分からないという意味で。そういう観点では、
外食でも和食が無難です。

■砂糖は極力控える
 砂糖は必要以上に摂ると分解され、再合成されて脂肪になります。これも
エイコサノイドのバランスを崩します。

◎抗酸化対策を忘れない----------------------------------------------

 脂肪については、このように摂取量よりも、そんな脂肪酸を摂取するかが
重要です。さらに、気に留めておかなければならないのは、身体に必要な必
須脂肪酸である、不飽和脂肪酸は、酸化しやすく、身体に悪さを働く、活性
酸素や過酸化脂質を作りやすい性質があるのです。

 プラスチックのボトルではなく、ビンに入っているものを必ず、購入する
こと。プラスチックボトルは一度ふたをあけると酸化が進み、どんどん自然
界に存在しない化学構造に変化していきます。
 
 あと、もったいないけれども一度使った油は二度と使わないこと。これも
揚げ物などして一度使って保存したら同じように酸化が進みます。

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■編集後記 
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 いかがでしたでしょうか?脂肪っていろいろな種類があって、ややこしい
というイメージがあります。なんで、取りあえず、あまり摂り過ぎることの
ないように気を付けるという感じが一般的なところでしょう。

 ところが、摂取量ではなく、どんな脂肪を摂るかなんですね。これ、とて
も大切で、アトピーや花粉症の増加もこの辺りに原因だとしている研究者も
多いようです。妊娠しやすいカラダづくりを目指す上でも、脂肪酸の摂取は
大きなポイントです。直ぐに改善しましょう。
 
 尚、今回の脂肪の摂取に関して、特に、酸化対策の部分は、イギリスのロ
ンドン在住で、セラピストでいらっしゃる青山佳代さんにアドバイスを頂き
ました。この場を借りてお礼申し上げます。

 青山さんは、バッチフラワーやアロマセラピー、ヨガ、リフレクソロジー、
さらにリフレと霊気ヒーリング等、さまざまな手法を通して、不妊改善のカ
ウンセリングにも携わっていらっしゃいます。生活スタイルや食生活の改善
等もアドバイスをされるようです。一説によると、不妊症と言われる方々の
80%は、治療が必要な要因ではなく、一時的なカラダの不調や精神的なス
トレス等が原因であるとも言われています。であれば、薬や治療といった、
いわゆる不妊治療よりも、青山さんのようなカウンセラーに相談の上、可能
な範囲のセルフケアに取り組むのが正解ではないでしょうか。

 青山さんは栄養学も修めていらっしゃるそうです。日本でも青山さんのよ
うな専門のカウンセラーがもっともっと増えることを切に期待します。

 皆さんからのご意見、ご要望、ご感想等どしどしお寄せ下さい。

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妊娠しやすいカラダづくり LCN [Life Care News] No.008
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【発行】 株式会社ライフケアマネージメント
【編集】 細川忠宏
【監修】   荻田浩司(内科医・医学博士)
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