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VOL.230 第63回アメリカ生殖医学会のハイライトから

2007年10月28日

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          妊娠しやすいカラダづくり

  2007/10/28 No.230
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http://www.akanbou.com
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このメールマガジンは、不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、
二人で話し合い、考えるうえでの道筋を整理したり、
自分たちで答えを出すためのヒントになるような、
そんな不妊に関するさまざまな情報を、出来る限り客観的な視点で、
毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。

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》今週の更新情報
》妊カラニュース:英国の不妊治療の最新状況を伝える番組のお知らせ
》今週のトピックス:第63回アメリカ生殖医学会ハイライト
》妊娠しやすいカラダづくり編集室から
》編集後記

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           今 週 の 更 新 情 報
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2007年10月27日 妊娠報告
3度目の体外受精を精巣から直接精子を採り出して
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2007102701.html
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2007年10月26日 トピックス
2005年度体外受精・胚移植等の臨床実施成績から
http://www.akanbou.com/topics/topics/004.html
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2007年10月25日 最新ニュース
精子の形成に不可欠な遺伝性が発見される
http://www.akanbou.com/news/news.2007102501.html
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2007年10月24日 最新ニュース
IVМ(未熟卵体外成熟)によるリスクの発生は認められない
http://www.akanbou.com/news/news.2007102401.html
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2007年10月23日 最新ニュース
葉酸の摂取は卵の発育環境を向上させる
http://www.akanbou.com/news/news.2007102301.html
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2007年10月22日 妊娠報告
2回の転院の後、タイミング法で
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2007102201.html
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上記の記事についてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com

http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2007102201.html
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上記の記事についてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com

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             妊カラニュース
  2007/10/28
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■イギリスの不妊治療の最新状況を伝えるドキュメンタリーが放映されます。

NHK衛生第1テレビで、イギリスの不妊治療における最新状況を伝えるド
キュメンタリー番組が放映される予定ですのでご紹介します。テーマを決め
て、治療を受けるカップルを長期間にわたり取材しながら、治療法を克明に
描くとともに、それに伴う倫理的な問題も提起しています。イギリスBBC
の制作です。

★NHK衛生第1テレビ(BS1)の世界のドキュメンタリーシリーズ

 <シリーズ 子どもが欲しい>

第1回テーマ:高齢出産 新たな可能性 
放映日時:11月5日(月)午後9:10〜10:00
年齢的に妊娠の可能性が低いとされてきた女性たちが、最新の不妊治療を受
けている模様を紹介しています。

第2回テーマ:男性不妊治療の突破口
放映日時:11月6日(火)午後9:10〜10:00
男性の不妊治療の最前線を追っています。

第3回テーマ:体外受精 限界への挑戦
放映日時:11月7日(水)午後9:10〜10:00
どうしても子どもが欲しいと極限まで不妊治療を続ける二つのケースを取材
しています。

第4回テーマ:英国女性たちの選択 前半
放映日時:11月8日(木)午後9:10〜10:00
イギリスに暮らす30代後半の女性たちの結婚という制度に縛られることな
く、様々な新しい家族の形を模索する模様を紹介しています。

第5回テーマ:英国女性たちの選択 後半
放映日時:11月9日(金)午後9:10〜10:00

▼番組のホームページ
http://www.nhk.or.jp/wdoc/

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上記の内容についてのご質問、お問い合わせ等は下記宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com

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             今週のトピックス

        第63回アメリカ生殖医学会ハイライト
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さる10月13日から17日まで、ワシントンDCにて、第63回アメリカ
生殖医学会が開催されました。

不妊治療に関する最新の研究報告が多数なされていますが、メディア向けに
発表されたハイライトから、妊カラ読者の皆さんに参考になりそうな話題を
ピックアップしてみました。
http://www.asrm.org/Media/Press/press.html

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      37歳以上の女性の体外受精や顕微授精について
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■移植する胚の数

★38歳、39歳では2個、40歳では3個、41歳以上はそれ以上

最近の傾向としては、不妊治療の最大のリスクである多胎妊娠を避けるため、
体外受精では、移植する胚の数を出来るだけ減らす傾向にあります。ただし、
胚の数を減らすことは治療の成功率を低下させてしまいかねません。

特に、高齢女性の場合は、そのことが、より切実になることから、年齢と戻
す胚の数がどのように妊娠率や多胎率に影響するのかが大変重要な情報にな
ります。

ここでは、アメリカ体外受精学会(SАRT)が、2000年から2004
年まで、37歳以上の女性の5500の高度生殖医療による治療周期を分析
した結果を報告しています。

それによりますと、38歳、39歳では、単一胚移植よりも、2個胚移植の
ほうが分娩まで至る割合が高くなりますが、戻す胚を3個以上に増やしても、
多胎率が高くなるだけで、分娩まで至る割合は変わりません。

ところが、40歳になると、3個の胚を戻すことが、多胎率を上げずに、分
娩まで至る割合を高めます。ただし、40歳以上では、胚の数を増やせば増
やすほど、妊娠率は高くなります。また、41歳、42歳では、戻す胚の数
が6個までは、多胎率はそれほど高くなりません。

■40歳以上の治療成績

★移植あたり生産率は11.3%

アルゼンチンで2004年から2006年に実施された、自己の胚を用いた
40歳以上の体外受精や顕微授精では、治療周期の23.8%は、卵巣刺激に反
応しなかった、または、受精卵が得られなかったという理由で、胚移植まで
進むことが出来ませんでした。

そして、40歳から45歳の移植あたりの生産率(分娩まで至った確率)は、
11.3%でした。また、46歳、47歳では、生産率はゼロでした。

【解 説】

アメリカでは、法律で、全国の治療成績やそれぞれの医療機関の治療成績を、
開示するように義務づけられています。そして、それぞれの治療成績は、治
療を受ける患者の年齢などの背景別の治療成績も報告されています。

ですから、単に、年をとると妊娠しにくくなるという漠然とした情報ではな
く、年齢別の治療成績のような具体的な情報を参考に、自らの治療方針を検
討すべきだと思います。

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          単一胚移植による治療成績
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■単一胚移植による体外受精・顕微授精の累積生産(分娩まで至る)率

★6周期以内に3分の2の女性が分娩に至る

ベルギーで、2003年から2005年末までに実施された1074周期の
単一胚移植による体外受精や顕微授精の累積生産率は、、初めての治療周期
で22%、2回目の周期で39%、3周期目で48%、4周期目で52%、
5周期目で59%、そして、6周期で65%でした。

そして、多胎(双子)率は8.2%、また、治療成績は女性の年齢によって、
大きく左右され、36歳未満の4周期目の累積生産率が65%だったのに対
して、36歳以上のそれは28%でした。

【解 説】

体外受精における最大のリスクである多胎妊娠を防ぐために、移植する胚の
数を限りなく1個に近づけることは、世界的な傾向です。

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        子宮内膜症と体外受精の治療成績の関係
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■チョコレート嚢腫の大きさと体外受精の治療成績の関係

★軽度の子宮内膜症は体外受精の治療成績に影響を及ぼさない

第3期と第4期の子宮内膜症と診断され、小さなチョコレート嚢腫があって、
体外受精を受ける79名の女性を、チョコレート嚢腫の大きさによって、3
つのグループ(1〜2cm、2〜3cm、そして、3〜4cm)に分けて、
比較対照グループとして子宮内膜症のない体外受精を受ける27名の女性の
治療成績を調べました。治療は全て、体外受精による2日目胚を2〜3個移
植しました。

その結果、4つのグループ間の卵巣刺激に要した排卵誘発剤の量や14ミリ
以上に発育した卵胞の数、採卵数、子宮内膜の厚さには、顕著な差は見られ
ませんでした。

そして、臨床妊娠率は、14.3%(1〜2cm)、24%(2〜3cm)、
19.2%(3〜4cm)、そして、比較対照グループでは18.5%と、
妊娠率においても、グループ間の差は確認できませんでした。

【解 説】

軽度の子宮内膜症やチョコレート嚢腫と不妊の関係は明確ではないようです。
ですから、子宮内膜症やチョコレート嚢腫があるからといって、不妊症では
ないかと過剰に心配する必要はないようです。

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     原因不明不妊でのステップアップの考え方について
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■AIHからIVFへの移行のタイミングと治療成績の関係

★IVF移行前のAIHの回数を減らすことは時間の節約になる

503組の不妊期間1年の原因不明のカップルを無作為に2つのグループに
分けて、一方のグループは、アメリカの標準的な治療ステップ、具体的には、
クロミフェンによる過排卵を伴うAIHを3周期、それでも妊娠しなかった
場合には、注射(FSH)による過排卵を伴うAIHを3周期受けて、それ
でも妊娠しなかった場合には6周期の体外受精を受けました。そして、もう
一方のグループは、クロミフェンによる過排卵を伴うAIHを3周期受けて、
それでも妊娠しなかった場合は、体外受精にステップアップし、注射による
過排卵を伴うAIHを省きました。

その結果、いずれのグループも最終的に妊娠に至った割合は、75%と78
%よ、ほとんど変わりませんでした。ところが、妊娠に要した期間は、早く
体外受精にステップアップしたグループのほうが短く、最初の1年間では、
体外受精に早くステップアップしたグループのほうが40%多く妊娠に至る
ことが出来たとのこと。

結局、アメリカの標準的な治療ステップを受けたグループは、妊娠するまで
平均11ヶ月かかったのに対して、注射によるAIHをスキップして早めに
IVFにステップアップしたグループは、妊娠するまで平均8ヶ月、かかっ
たことになります。

【解 説】

単一胚移植による体外受精が推奨されるようになって、体外受精における多
胎妊娠率が劇的に低下したことから、注射によって、たくさんの卵子を排卵
させて実施する人工授精における多胎妊娠が問題視されている背景があるよ
うです。

アメリカでは、自然周期の人工授精はほとんど行われないようで、全て、排
卵誘発剤で複数の卵子を排卵させて実施されているからです。

日本でも、自力で排卵があっても、人工授精時には必ず排卵誘発剤で過排卵
させる、アメリカ式の治療方針のクリニックが多いようですから同じ問題が
あります。

対策として、今回の報告のように、人工授精の回数を6回から3回に減らし
て、早めに体外受精にステップアップすれば、妊娠に至る期間が早くなるの
は当然のことと思われます。

ただし、それによって短くなる期間は、平均して11ヶ月から8ヶ月ですか
ら、それよりも、自然周期による人工授精のステップを設けたり、軽い排卵
誘発剤を使う人工授精の回数を増やすことを検討してもよいように思えます。

また、コスト比較も報告されていますが、コストについては、アメリカと日
本での状況が大きく異なりますので、省きました。

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      男性の妊娠させる力に影響を及ぼすものについて
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■禁欲期間と精液の質との関係

★禁欲期間を短くするほど精子のDNAの損傷度は低くなる

オーストラリアの大学で、DNA損傷精子が多いため奇形率が高く、男性不
妊と診断された42名の男性の7日間、毎日、射出した精子と3日間の禁欲
後に射出した精子を比較したところ、37名の男性で、禁欲期間がない時の
精子のほうがDNA損傷精子が少ないことが確認されました。

このことから、毎日、射出することによって、DNAの損傷を低下させるこ
とが出来るとしています。

また、ブラジルの試験では、体外受精や顕微授精を受けている夫婦の男性の
禁欲期間を7つのグループに分けて、受精卵の質や妊娠率を比較したところ、
最も受精卵の質と妊娠率が高かったのは、1日の禁欲後に精子を採取したグ
ループだったことが分かりました。

【解 説】

これまでは数日の禁欲期間を設けることが精液の質がよくなると考えられて
いましたが、男性不妊の男性では禁欲期間を短くすることを検討する価値が
ありそうです。

■クラミジア感染と精液の質との関係

★クラミジアは精液の質を低下させる

スペインの研究チームは、143名の子どもができないクラミジアに感染し
ている男性の精子を、最新の顕微分析技術で調べたところ、クラミジアに感
染している男性の精子は、健康な男性のそれに比べて、3倍以上のダメージ
を受けていることを確認、精子数や運動能力も低く、奇形率も高かったとの
こと。

そして、95名のクラミジアに感染している不妊男性に抗生物質による治療
を施したところ、4ヶ月後には36%の男性の精子DNAへのダメージが回
復しました。

また、治療期間中に13%のカップルが妊娠し、治療終了後に妊娠したカッ
プルは86%になったとのこと。

【解 説】

クラミジア感染は男女の妊孕性を低下させるようです。早期に治療すること
が大切です。

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ご意見、ご感想等は下記宛にお寄せ下さい。
info@akanbou.com

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        妊娠しやすいカラダづくり編集室から
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編 集 後 記
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今週はアメリカ生殖医学会のハイライトから、
いくつかのトピックスを抜粋してご紹介しました。

アメリカでは、高齢のため、
自分の卵子では妊娠できなくなったり、
卵が採れなくなった女性が、
普通に、卵子の提供を受けたり、
妊娠率を高めたり、男女の産み分けのための着床前診断もまた、
普通に実施されていて、
生殖医療に関しては、とにかく、何でも有りな印象があります。

ところが、実際のところ、
アメリカ生殖医学会の各委員会は、
たとえば、未受精卵の凍結融解技術は、
未だ完全に確立されているわけではないことから、
ガン治療などのケースは別として、
妊孕性の保存のために安易に卵子を凍結保存することを戒めていますし、
着床前診断にしても、
難病などの遺伝病の子どもへの遺伝を防ぐには有効だけれども、
たとえば、高齢女性の妊娠率を高めたり、
習慣性流産の予防については、
有効性を証明する確かな証拠がないことから、
治療法としては、到底、標準化できないと明確に主張しています。

このように、お金さえ出せば、どんな治療も受けられる一方で、
情報開示も徹底されていて、
個人個人が自らの責任のもとで取捨選択しなさいということのようです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] No.230
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◎発行部数
・自社配信: 1,002部
・まぐまぐ: 5,355部
・合計部数: 6,357部(10月28日現在)
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◎「妊娠しやすいカラダづくり」のバックナンバーはこちらから
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000116311
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【発 行】 株式会社パートナーズ内
[妊娠しやすいカラダづくりプロジェクト]
【編集長】 細川忠宏(不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
【監 修】 西川 浩(医師・心斎橋中央クリニック院長)
荻田浩司(医師・医学博士)  
【WEB】 http://www.akanbou.com
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