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VOL.313 待つという選択肢もある

2009年05月31日

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 妊娠しやすいカラダづくり VOL.313 2009年5月31日配信
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                      http://www.akanbou.com
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じぶんたちにあったこたえをだすために・・・

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"ためのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。

---[目次]-----------------------------------------------------------

▼今週の更新情報一覧
5月25日から5月29日までのサイト版「妊娠しやすいカラダづくり」

▼不妊サバイバルガイド
第10回 待つという選択肢もある

▼妊カラ運営会社からのお知らせ

▼編集後記

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           今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2009年5月29日 最新ニュース
肥満女性のPCOSへの不妊治療は生活習慣の改善が最も有効 
http://www.akanbou.com/news/news.2009052901.html
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2009年5月28日 最新ニュース
不妊患者の流産後の次の自然妊娠までに要する期間   
http://www.akanbou.com/news/news.2009052801.html
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2009年5月27日 Q&A
早く体外受精にすすんだほうがよいのでしょうか?
http://www.akanbou.com/qa/qa.2009052701.html
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2009年5月26日 最新ニュース
妊娠前後のマルチビタミンミネラル摂取は妊娠高血圧腎症を予防 
http://www.akanbou.com/news/news.2009052601.html
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2009年5月25日 妊娠報告
一人目は9回のAIHの後のICSIで、二人目は凍結胚移植前に自然妊娠
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2009052501.html
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上記の記事についてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com

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           連載企画「不妊サバイバルガイド」
    
          第10回 待つという選択肢もある
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明らかな不妊の原因がみあたらない場合、
"取りあえずは"不妊治療は受けない、
別な言い方をすると、
"積極的に"待つという選択肢について、
考えてみたいと思います。

★不妊症=「Sterility」+「Subfertility」

『授からない』と一口に言っても、その程度や状況はさまざまです。

日本語では、単に、妊娠しないという結果だけをあらわす、
"不妊症"という言葉を使います。

なんか、宣告したり、されているような、きつい響きがあって、
個人的には、好きではありません。

英語では、視点が違うようで、
結果よりも状態を2つのレベルに分けてあらわしています。

一つは、Sterilityといって、
明らかに妊娠を妨げている原因が存在していて、
生殖機能が損なわれているようなケース。

両側の卵管が完全に閉塞しているとか、排卵がおこらない、
そして、男性の精液中に精子がまったくいないようなケースです。

もう一つは、Subfertilityといって、
何らかの理由で、一時的に、生殖機能が低下しているようなケース。

排卵しづらいとか、卵管が通りにくい、子宮内膜症がある、
そして、精子の数が少ない、運動率が低い、
さらには、原因がみあたらないといったケースです。

★さて、不妊治療をどうするか?

Sterilityは、お子さんを望むのであれば、
不妊治療の助けが必要ですが、
Subfertilityは、そうとは言い切れません。

Sterilityでは、自然妊娠は困難ですが、
Subfertilityでは、自然妊娠の可能性があるからです。

ましてや、原因が見当たらないケースでは尚更のこと。

ですから、Subfertilityの場合、
不妊治療を受けるかどうか、
また、受けるにしても、いつスタートするべきか、
とても悩ましいテーマになるわけです。

今回の不妊サバイバルガイドでは、
そのようなケースでは、
自分たちにとっての治療の必要性を見極めるという意味からも、
積極的に待つという選択肢があり得るということを、
いくつかの観点からお話ししてみたいと思います。

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 積極的に待つという選択肢もある
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治療成績という観点から言えば、
Subfertilityの場合は、
治療を受けた場合に妊娠に至る確率だけでなく、
治療を受けなかった場合でも、
どのくらいの確率で妊娠に至るものなのか、
知っておきたいものです。

以下は、いずれも信頼のおける研究デザインのもとで、
実施された研究報告です。

◎オランダの原因不明不妊と診断された253組のカップルの半年後(※1

※女性の平均年齢33歳

治療(人工授精+過排卵)を受けたカップル、
127組の23%の29組が妊娠したのに対して、
治療を受けなかったカップル、
126組の27%の34組が妊娠に至っています。

治療を受けなかったグループの方が高い確率で妊娠に至っています。

◎オランダの原因不明不妊と診断された2741組の1年後(※2

※女性の平均年齢32.2歳・平均不妊期間1.7年

不妊治療を受けたカップル、
1316組の37.3%の491組が妊娠したのに対して、
不妊治療を受けなかったカップル、
1425組の42.1%の600組は妊娠に至っています。

ここでも治療を受けなかったグループの方が高い確率で妊娠に至っています。

◎イギリスの原因不明不妊と診断された580組の半年後(※3

※女性の平均年齢32歳・不妊期間2年以上

排卵誘発剤(クロミフェン)を服用したカップル、
194組の14%の26名が妊娠し、
人工授精を受けたカップル、
193組の23%の43名が妊娠、
治療を受けなかったカップル、
193組の17%の32名が妊娠に至っています。

治療を受けなかったグループは、
排卵誘発剤を服用したグループよりも高い確率で妊娠に至っています。

いかがでしょうか?

もう1つ、流産後、再び、自然妊娠に至る確率について。

◎不妊症のカップル199組の流産後の累積妊娠率(※4

※女性の平均年齢33.8歳・平均不妊期間1年半

流産後12ヶ月では45%、18ヶ月では63%、24ヶ月では70%。

不妊治療を受けたカップルと受けなかったカップルで、
妊娠までに要した期間に大きな差は見られませんでした。

★待つという選択肢も十分にあり得る

このように、治療を施さなければならないような明確な原因がない場合、
望んでいるにもかかわらず、
1年から1年半の間、妊娠できなかったとしても、
すぐに不妊治療を受けても、受けなくても、
妊娠に至る確率には、それほど大きな差はないことから、
もしも、女性の年齢が35歳未満であれば、
さらに、1年から1年半くらいは、
不妊治療を受けずに授かるのを待つという選択肢もあると言えます。

その結果、不必要な治療を避けることにもなり得るわけです。

ただし、女性の年齢によっては、
待つこと、すなわち、治療を先送りすることが、
必ずしも、得策であるとは限らないのは言うまでもありません。

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 待たないと分からないことがある
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不妊症と診断されても、
あわてて、不妊治療を受けずに、
さらに、1年くらい、待ってみるということは、
自分たちにとっての不妊治療の必要性を見極めるという意味があります。

★不妊検査の精度には限界がある

人間の身体は機械ではありませんから、
1回や2回の不妊検査で、得られる情報には限りがあります。

つまり、男性、女性ともに、
それぞれに備わっている妊娠する力は、
決して、一定ではなく、
その時々で変動すると言っても過言ではないということ。

そのため、ある程度の期間をおいて、
様子をみてみないことには分からないことがたくさんあります。

たとえば、卵管が通っているかどうかについて。

子宮卵管造影検査で、
片側卵管閉塞と診断された場合でも、
おおよそ30%は、実際には、問題なく通っていて、
両側卵管閉塞と診断された場合でも、
その10数%は、問題なく通っているとの報告があります。

ですから、もしも、両側卵管閉塞との検査結果が出ても、
すぐに体外受精を受けなくても、
自然妊娠に至る可能性はあるわけです。

そもそも、卵管の長さは約10センチ、直径は細いところで1ミリ、
それに対して、初期の受精卵の直径は0.1ミリ程度と言われています。

いくら造影剤を注入したからといって、
そんな卵管の輸送能力を、
外から完全に把握するには限界があることは、
容易に想像できます。

また、ピックアップ障害があるかどうかについても同様です。

ピックアップ障害とは、
卵巣から排卵された卵子が、
卵管采に取り込まれる機能が低下している、
もしくは、損なわれていること。

卵子が卵管に取り込まれなければ、
精子と出会うことは叶いませんので、
もちろん、自然妊娠は困難で、体外受精の適応になります。

ところが、ピックアップ障害かどうか、また、障害の程度を、
完全に確かめるのにも限界があります。

★待つことでしか分からないこともある

このように、不妊治療が必要な不妊原因が存在するのかどうか、
また、存在するのであればその程度は、
不妊検査で、完全に把握するには限界があるため、
どうしても、"結果"から推測するしかないわけです。

つまり、ある一定期間以上、様子をみてみないことには、
本当に不妊治療を受けないと妊娠できないのかどうか、
判断することはできないのです。

不妊症という状態は、決して、一筋縄ではいかないものと痛感します。

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 待たないと叶わないこともある
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新しい生命の誕生のプロセスは、
さまざまな要因が、複雑に絡み合いながら、進んでいくようです。

そんな要因の中には、悲しいかな、私たちの手では、
コントロールすることが出来ないものもあるということでしょう。

たとえば、精子がつくられるのに、約3ヶ月かかると言われています。

卵子の成熟は、決して、一つの周期で完結しているわけではなく、
何周期も前から、その準備は着々と進んでいるとのこと。

つまり、あるものを右から左に動かせば、
それで、解決できるようなものでは、決して、ないということ。

それは、待たなければ叶わないこともあるということに他なりません。

私たちにできることは取りくんだうえで、
そして、"機が熟する"のを待つということではないでしょうか。


---[文献]---------------------------------------------------------

1)Intrauterine insemination with controlled ovarian hyperstimulation
versus expectant management for couples with unexplained subfertikity
and an intermediate progsis : a randomised clinical trial

The Lancet 368 216-221 2006

2)Pregnancy is predictable : a large-scale prospective external
validtion of the prediction of spontaneous pregnancy in subfertile
couples

Human Reproduction 22(2)536-542

3)Clomifene citrate or unstimulated intrauterine insemination
compered with expectant management for unexplained infertikity :
pragmatic randomised controlled traial

British Medical Journal 337 772 2008

4)Time to pregnancy after a previous miscarriage in subfetile
couples

Fertility and Sterility article in press 13 May 2009

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 編 集 後 記
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不妊の原因があやふやな場合、
不妊治療を受けるかどうか、
そして、受けるのであれば、どんな治療を受けるのか、
さらには、それは、どのくらい繰り返すのか、
本当に悩ましい限りです。

読者の皆さんからお寄せいただくご相談内容からも分かります。

特に、最近は、通院して、すぐに体外受精を勧められたとか、
一通りの検査の後、体外受精でしか妊娠することが難しいと言われた、
そんな状況に戸惑いつつ、相談されることが、
ずいぶん多くなったように思います。

不妊治療をどのように受けるのかについて、
決められたルールがあるわけではありません。

大切なことは、後々、後悔しないように、
二人で、十分に話し合い、納得のいく選択をすることだと思います。

ただ、そのためには、その都度、情報が絶対に必要です。

悲しいかな、私たちは、結果をコントロールすることができません。

でも、プロセスはコントロールすることが可能です。

であれば、とにかく、悔いのないような、
赤ちゃんの待ち方をしていただきたい、そう願うばかりです。

不妊サバイバルガイドが、少しでもお役に立てればうれしいです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.313
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◎発行部数
・自社配信: 288部
・まぐまぐ:5,425部
・合計部数:5,713部(5月31日現在)
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【編 集】 細川忠宏(不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
【監 修】 西川 浩(医師・心斎橋中央クリニック院長)  
【サイト】 http://www.akanbou.com
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