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VOL.331 不妊治療の長期的なリスクについて

2009年10月04日

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 妊娠しやすいカラダづくり VOL.331 2009年10月4日配信
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                      http://www.akanbou.com
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じぶんたちにあったこたえをだすために・・・

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
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           今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2009年10月2日 Q&A
夫の禁欲期間について
http://www.akanbou.com/qa/qa.dr.tsuji-001.html
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2009年9月30日 妊娠報告
8年目に奇跡の自然妊娠!
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2009093001.html
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2009年9月29日 Q&A
着床時期にセックスしても問題ないのでしょうか?
http://www.akanbou.com/qa/qa.2009092901.html
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2009年9月28日 編集長コラム
夫婦プロジェクト、発進!
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20090928.html
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news-master@akanbou.com


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            今 週 の 特 集

    不妊治療を受けることで受ける長期的なリスクについて
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生殖医療の進歩、普及は、
お子さんを望んでいるにもかかわらず、
妊娠することが困難、あるいは、不可能とされた夫婦に、
大きな希望と可能性をもたらせてくれました。

ただし、医療が高度化し、
介入の度合いが高まれば高まるほど、
妊娠の可能性が高まるのに反して、
さまざまなリスクも伴うようになります。

つまり、治療を受ける側にとっては、
期待と同時に不安も抱くことになるわけです。

期待が大き過ぎると、
ダメだったときの失望が大きくなりますし、
不安が大き過ぎると、
治療から受けるストレスが強くなってしまいかねません。

不妊治療では、メンタルな状態が、
治療成績に影響を及ぼす可能性が指摘されることがあります。

また、結果として、長期化してしまうことが少なくありません。

大切なことは、
不妊治療に臨むにあたっては、
期待や不安とうまく付き合うことでしょう。

そのためには、正確で、客観的な情報が不可欠です。

今週は、不妊治療を受けるに際して、
漠然とした不安を抱いてしまいがちな長期に渡る副作用について、
その主なものをみてみたいと思います。

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         不妊治療による長期的な副作用について
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不妊治療で、こんなにも薬を飲んだり、
注射を打つとは思ってもみなかったとはよく言われることです。

お薬や注射のほとんどは、排卵誘発剤です。

不妊治療では、
無排卵や排卵障害の治療に、
また、複数の卵子を排卵させて妊娠率を高めるために、
排卵誘発剤を使用します。

ホルモンの分泌を促したり、
ホルモンそのものを注射することから、
不妊治療で長期間に渡って排卵誘発剤を使うことで、
将来、婦人科系のガンの発症リスクを高めることにならないか、
そんな懸念を指摘する声があります。

実際はどうなのでしょうか。

★排卵誘発剤の使用と婦人科系のガンの発症リスクの関係

デンマークで大規模な追跡試験が実施されています。

デンマークがん協会の研究者をリーダーとするチームは、
1963年から1998年の間に、
不妊治療を受けた54362名の女性を対象に、
4種類の排卵誘発剤の使用と卵巣がんリスクへの影響を調べた結果、
関連は認められませんでした(※1)。

同じデンマークがん協会の研究チームは、
排卵誘発剤と乳がんの発症リスクとの関係をも調査しています。。

さまざまな要因の影響を排除したところ、
クロミフェンやその他の4つの人工ホルモン剤の使用で、
その後の乳ガンの発症リスクが高くならなかったとしています(※2)。

さらに、オランダがん協会の研究チームは、
1980年から1995年に、
体外受精を1回以上受けた18970人の女性と、
不妊治療経験のない7536人の女性の、
乳がんの発症について調査したところ、
体外受精を受けたことで、
乳がんの発症リスクが高まらないことが分かったとのこと(※3)。

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排卵誘発剤の次は、
体外受精や顕微授精などの医療的な介入による影響についてです。

これについても、
実際に、体外受精や顕微授精で生まれたお子さんについて、
出生時点での健康状態や成長に伴う心身の発育状況を、
追跡するしかありません。

体外受精による妊娠、出産が成功して35年、
現在までの追跡調査の結果は、概ね、良好なようです。

★体外受精や顕微授精で生まれた子どもへ影響

体外受精に伴い、未熟児や低体重児、死産、流産、
そして、妊娠合併症や異常妊娠のリスクが増加することが知られています。

ロンドン大学の研究者らは、
1980年から2005年までに発表された、
体外受精や顕微授精に関するデータを収集、分析した結果、
高度な治療に伴って増加するさまざまなリスクは、
体外受精や顕微授精という治療方法そのものが原因ではなく、
それに伴い増加する多胎妊娠や母親の加齢が、
根本的な原因であると結論づけています(※4)。

また、体外受精による出生児の長期的な影響については、
現在、15~16歳時点までの追跡調査結果が報告されています。

ベルギーの大学の研究者グループは、
過去に、体外受精で生まれた子供と自然妊娠で、
生まれた子供の2歳時点での精神的な成長について、
比較し、体外受精によるマイナスの影響が認められなかったことを、
確かめています。

そして、その時の家族のうち、
体外受精で子どもを授かった24家族と、
自然妊娠で授かった21家族を、
子どもが15~16歳の青年期になった時点で、
精神的な成長や親の子育てのスタイルなどを比較しました。

その結果、青年期においても、
体外受精で生まれた子供と、
自然妊娠で生まれた子供の精神的な成長について、
特に変わりはなかったとしています(※5)。

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体外受精や顕微授精の際に、
さらに、受精卵を凍結後に保存し、
融解して胚移植する技術が一般的になりました。

先月発表された日本産科婦人科学会の発表によりますと、
2007年の体外受精の新鮮胚移植総回数が27729回、
顕微授精では28504回に対して、
凍結胚を用いた移植総回数は43452回だったとのこと。

凍結胚移植が普及することで、
当然、採卵あたりの妊娠率が高まることになり、
女性の身体への負担が軽減されたり、
重度のOHSS(卵巣刺激症候群)が激減したりと、
凍結胚移植の高度治療への貢献度はとても大きいと言えます。

また、最大の副作用である多胎妊娠を避けるために、
移植する胚の数を出来るだけ1個に近づけるようになったため、
凍結保存は不可欠な技術です。

ところが、生命のはじまりである胚を凍結することについて、
心理的な抵抗感を訴えるカップルも少なくありません。

★胚を凍結保存して、融解胚移植することの出生児への影響について

デンマークで1995年から2007年までに、
凍結融解胚移植で生まれた子ども(単胎児)957人と、
新鮮胚移植で生まれた子ども(単胎児)10329人の、
出生時の体重や妊娠期間、先天異常の発症率などを、調べたところ、
平均の出生時体重は凍結融解胚移植による子どものほうが、
新鮮胚移植による子どもよりも205グラム大きく、
低出生体重児や早産のリスクも低かったとのこと(※6)。

そして、先天性欠損や神経障害、悪性腫瘍、遺伝性疾患の発症率については、
差は見られなかったとしています。

また、ヨーロッパの研究チームは、
1984年から2008年9月に実施された、
凍結融解胚を移植して生まれた子どもの健康状態を調べた、
21の研究報告を分析した結果、
凍結融解胚移植によって生まれた子どもは、
早産や低体重児、そして、先天異常のリスクについて、
新鮮胚移植によって生まれた子どもに比べて変わらなかったとしています。

試験によっては、かえって、良好な結果が得られているとのこと。

このことから胚を凍結保存したり、
融解して、移植することの子どもへの影響は見られないと、
結論づけています(※7)。

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★最後に

不妊治療の長期間に渡るリスクについて、
排卵誘発剤の使用と婦人科系ガンの発症リスクの関係、
体外受精や顕微授精による出生児へのマイナス影響について、
そして、凍結胚移植による出生児へのマイナスの影響について、
それぞれ、最新の研究報告によりますと、
概ね、重大なマイナスの影響はみられないとの結論を出しています。

これらの影響については、
時として、心理的な抵抗感から、
過度に心配するようになることが少なくありません。

これらの治療による恩恵とリスクを正しく知って、
自分たちに必要なのかどうかを判断することが大切です。


---[文献]---------------------------------------------------------

※1)
Use of fertility drugs and risk of ovarian cancer: Danish population
based cohort study British Medical Journal 2009;338:b249 Allan Jensen

※2)
Risk of Breast Cancer After Exposure to Fertility Drugs: Results from
a Large Danish Cohort Study Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2007;16(7)
:1400 Allan Jensen et al

※3)
ASRM conference in San Francisco 2008

※4)
Outcome of assisted reproduction The Lancet VOL.370:P.351-359 Alastair
G Sutcliffe et al

※5)
Adolescents conceived by IVF: parenting and psychosocial adjustment
Human Reproduction VOL.23 P.2724-2730 H. Colpin et al

※6)
Infant outcome of 957 singletons born after frozen embryo replacement:
The Danish National Cohort Study 1995?2006 Fertility and Sterility
Article in press 2009 Anja Pinborg et al

※7)
Children born after cryopreservation of embryos or oocytes: a systematic
review of outcome data Human Reproduction VOL.24 P.2158-2172
U.-B. Wennerholm et al

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