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VOL.352 体外受精の妊娠率を高める"食べ方"のヒント

2010年03月08日

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 妊娠しやすいカラダづくり 
 VOL.352
 2010年3月8日                  
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じぶんたちにあったこたえをだすために・・・

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━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報一覧

▼3月の特集
体外受精の妊娠率を高める"食べ方"のヒント

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2010年3月5日 妊娠報告
精子無力症で体質転換をはかった後の凍結融解胚移植で
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2010030501.html
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2010年3月4日 最新ニュース
酸化ストレスと胚のグレードと妊娠率との関係  
http://www.akanbou.com/news/news.2010030401.html
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2010年3月3日 トピックス
身体を動かして好循環スパイラルをつくろう!
http://www.akanbou.com/topics/topics/021.html
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2010年3月2日 最新ニュース
精子を長期間凍結保存しても運動能力は低下しない 
http://www.akanbou.com/news/news.2010030201.html
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2010年3月1日 トピックス
不妊治療で感じるストレスにどう対処すべきか
http://www.akanbou.com/topics/topics/020.html
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上記の記事についてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com


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 今月の特集
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---[この特集で伝えたいポイント]-----------------------------------

・体外受精の妊娠率の向上に寄与する食べ方のヒントが地中海料理にある。

・脂肪酸の摂取バランス → ホルモンバランスが整い、着床環境が向上。

・ホモシステイン濃度が正常化 → 妊娠率が向上、流産率が低下。

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 体外受精の妊娠率を高める"食べ方"のヒント
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誤解のないように、
最初に強調しておきたいのですが、
これを食べれば、
妊娠できるという食べ物はありませんし、
これを飲めば、
妊娠できるというサプリメントも存在しません。

もっと言うと、
最も高い妊娠率が期待できる治療法でさえ、
その成功率は半分にも及びません。

ただし、世界で初めて体外受精が成功して30年ちょっと、
本来は、母親になる女性のお腹の中で進んでいたプロセスの一部を、
体外で人為的に進めるようになったことで分かってきたことが、
いろいろ、あります。

たとえば、妊娠の確率が高くなるような受精卵の生育環境もその一つです。

卵胞液中や卵管内、そして、子宮内膜の栄養素のバランスについては、
多くの研究結果が報告されています。

卵胞液中の活性酸素濃度と抗酸化物質のバランス(※1)、
また、たんぱく質が代謝される過程でできるアミノ酸の一種である、
ホモシステインの濃度は、
胚のグレードやその後の妊娠率(※2)だけでなく、
流産率(※3)にも影響を及ぼします。

妊娠や出産のために大切なのは、バランスよく食べることです。

その上で、
もう一歩踏み込んで、
治療成績を高めるという観点で、
食生活と体外受精の治療成績との関係について、
大きなヒントとなる最新の研究報告(※4)を紹介しましょう。

★妊娠前の食生活と体外受精/顕微授精の妊娠率との関係

オランダのエラスムス大学の大学病院で、
体外受精や顕微授精を受けている161組の夫婦を対象に、
採卵か精液採取時に、食物摂取頻度調査のアンケートを渡し、
過去4週間に食べた食品とその摂取頻度について回答してもらい、
胚移植の日に提出してもらいました。

そして、食生活のパターンと、
卵胞液中の葉酸やビタミンB12、ビタミンB6、ホモシステイン濃度、
受精率や胚のグレード、妊娠率との関係を調べました。

対象者の食生活パターンに、
「健康的な食生活」パターンと、
「地中海料理」パターンへの傾向の強さを、
弱・中・強の3段階に分けました。

「健康的な食生活」パターンとは、
野菜や果物、魚、そして、無精製穀物を多く食べ、
スナック菓子や肉、マヨネーズを少なく食べるもので、
「地中海料理」とは、
植物油や野菜、魚、豆類が多く、スナック菓子が少ないパターンです。

その結果、地中海料理の傾向が最も高い食生活パターンの夫婦は、
体外受精や顕微授精の妊娠率が40%高かったのに対して、
健康的な食生活パターンへの傾向の強さには、
妊娠率の高まりは見られませんでした。

★妊娠率の向上に寄与したと考えられる2つポイント

2つの食生活パターンに共通するのは、
野菜や魚、豆類を多く食べ、スナック菓子は少ないことです。

試験を実施した研究チームは、
治療成績を高めた食生活の要因として、
地中海料理に特有な2つのポイントを挙げています。

◎脂肪酸の摂取バランス → ホルモンバランスが整い、着床環境が向上

地中海料理の大きな特徴に、
オリーブオイルを豊富に使うこと、
そして、野菜や果物、魚、豆類が多く、
赤みの肉や加工食品が少ないことがあります。

このような食べ方をすると、必須脂肪酸、
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取バランスがよくなります。

それぞれの脂肪酸は、
体内のさまざまな機能をコントロールする物質に変化し、
それぞれは、相反する働きがあります。

その結果、生殖ホルモンのバランスを整えます。

また、炎症が起こりにくくなり、
子宮内膜の着床環境が向上します。

◎ホモシステイン濃度が正常化 → 妊娠率が向上、流産率が低下

ホモシステインは、
体内でつくられるアミノ酸なのですが、
いろいろな悪さを働きます。

ホモシステインの濃度が高いと、
妊娠しにくくなり、流産しやすくなることが知られています。

このホモシステインが正常に代謝されるには、
葉酸やビタミンB6、ビタミンB12が不足しないことが条件になります。

地中海料理に特徴的な食べ方は、
いずれのビタミンもしっかりと摂取できます。

★地中海料理のエッセンスを日常に取り入れる

地中海料理の特徴を以下に挙げます。

・野菜、果物の摂取量が多い。
・全粒粉を使っている。
・脂質はオリーブオイルが中心。
・ナッツ類、ベリー類、豆類、イモ類の摂取量が多い。
・魚、鶏、乳製品を少量から中量、赤身肉の摂取は少ない。
・卵は週4回以下。
・少量から中量のワインを食事と一緒に飲む。

体外受精の妊娠率の向上に寄与したと考えられるのは、
脂肪酸やビタミンB群の摂取バランスのよさであると指摘されていますが、
大切なのは、全体の傾向でしょう。

つまり、何を食べるかだけでなく、
どう食べるかも同じくらい大切だということ。

このような食べ方をした結果、
脂肪酸やビタミンの摂取バランスがよくなるわけです。

地中海料理のエッセンスを、
私たちの日常の食生活に取り入れることが大切です。

また、現代の日本の食生活の現実を考えると、
体外受精の治療成績の向上のために、
どんな栄養成分をサプリメントで補充すべきかは、
決して、特殊で珍しい成分や食品でなく、
まずは、マルチビタミンミネラル、
その上で、DHAEPAや亜麻仁油などのオメガ3脂肪酸を補充するのが、
効果的であると考えられます。

★最後に ~ 治療計画の一環として取り組むべき

高度な治療になると、それまでの治療に比べて、
時間的、経済的、そして、精神的、肉体的負担が大きくなります。

そのため、治療前に十分な計画を立てることが大切です。

その際に、時間やお金をやりくり、
すなわち、治療を受けるための環境を整えるだけでなく、
治療効果が高くなるような環境を整えることも大切なことです。

なぜなら、治療効果が高くなることで、
早く、妊娠に至ることが出来れば、全体の負担が軽くなるからです。

つまり、治療効果を高めるために、
何を、どのように食べるのか、また、どんな栄養成分を補充するのか、
食生活やサプリメントについても計画的に取り組むべきと思います。


[文献]-------------------------------------------------------------

※1)Fertility and Sterility 2004 (81) P.973-976
※2)Human Reproduction 2009 (24) P.1059-1066
※3)American Journal of Epidemiology 2007 (166) P.304-312
※4)Fertility and Sterility Articles In Press 02 March 2010

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 編 集 後 記
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今回、紹介したオランダで実施された試験は、
初めて、食生活のパターンと、
体外受精の妊娠率との関係を調べたものではないでしょうか?

また、妊娠前や妊娠中に地中海料理を食べていた母親から生まれた子どもは、
アレルギー体質になりにくいとの報告は多数あります。

ただ、メニューとしての地中海料理にこだわる必要はないと思います。

地中海料理のエッセンスを取り入れればいいわけです。

皮肉なことに、
これだけ世界中でヘルシーフードとして、
もてはやされているのにもかかわらず、
地中海料理の本家である地域では、
若者を中心に、地中海料理離れが起こっているそうです。

赤身の肉や加工食品、ファーストフードの摂取量が増えているとのこと。

そして、それに伴い、これまでになかった、
さまざまな身体の不調を訴える人が増えているというのです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.352
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