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妊娠しやすいカラダづくり
VOL.378
2010年9月5日
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じぶんたちにあったこたえをだすために・・・
なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。
━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼今週の更新情報
▼今月の特集
エビデンスに基づいた妊娠しやすい夫婦生活とは?
▼編集後記
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今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2010年9月3日 妊娠報告
ICSIで妊娠するも流産、転院後AIHにステップダウンして
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2010090301.html
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2010年9月2日 最新ニュース
BMIや喫煙習慣が体外受精の治療成績に及ぼす影響
http://www.akanbou.com/news/news.2010090201.html
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2010年8月31日 妊娠報告
一人目は4年間の不妊治療の末に授かり、二人目は自然妊娠で
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2010083101.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
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今月の特集
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エビデンスにもとづいた妊娠しやすい夫婦生活とは?
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今週は、言ってみれば、前々号の「夫婦生活を最適化する」の"実践編"と
もいうべき内容で、「エビデンスにもとづいた妊娠しやすい夫婦生活」につ
いて特集したいと思います。
夫婦の夜の営みは、そのやり方について、正しいとか、間違っているなんて
ことはないわけで、それぞれのカップルで好きにやればいいわけです。
ただし、妊娠しやすいかどうかということになると、これまでの多くの研究
によって、妊娠の確率が高くなる夫婦生活のやり方が明らかにされています。
それにもかかわらず、さまざまな誤解や思い込みがあるようです。
そもそも、夫婦の夜の営みは"秘め事"なわけですから、致し方ないことか
もしれません。
そこで、妊カラでは、これまでいろいろな機会に、夫婦生活についての情報
を発信してきましたが、改めて、特集してみたいと思います。
今回ご紹介する内容のベースにさせていただいたのは、さる、8月28日~
29日の2日間、横浜で開催された「産婦人科臨床懇話会セミナー不妊治療
2010」というドクター向けのセミナーで、梅ヶ丘産婦人科院長の辰巳賢
一先生が講演された内容です。
辰巳先生には、妊娠しやすいカラダづくりのサイトのQ&Aにおいて、医学
的な観点から監修いただいております。
梅ヶ丘産婦人科では、もちろん、最先端の生殖医療も実施されていらっしゃ
いますが、「それぞれの患者さんの必要最低限の治療で妊娠を成立させるこ
と」を基本方針に、一般不妊治療(人工授精までの不妊治療)において、高
い治療成績をあげていらっしゃいます。
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エビデンスにもとづいた妊娠しやすい夫婦生活とは?
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自然妊娠の可能性がゼロでなければ、エビデンス(証拠)にもとづいた妊娠
しやすい夫婦生活を実践することで、妊娠の確率が高くなります。
誤解や思い込み、デマに惑わされ、時間やエネルギーを無駄にしないように
したいものです。
■女性の月経周期中の妊娠の可能性のある時期
⇒ 妊娠可能な日は排卵日からさかのぼって6日間
英語では「Fertile Window」と表現されるように、妊娠への窓はいつも開い
ているわけではありません。
女性の頚管粘液が精子を迎え入れる状態になっていて、精子と卵子が受精能
力のある間に出会える期間のみ妊娠が可能になります。
精子の生存日数は5日、卵子の生存日数は1日で、排卵日からさかのぼって
6日間、すなわち、排卵5日前、排卵4日前、排卵3日前、排卵2日前、排
卵前日、排卵日が妊娠可能な日となります。
■妊娠しやすい性交の日
⇒ 排卵日の3日前から排卵日までが妊娠しやすい日
⇒ 最も妊娠率が高いのは排卵前日と排卵2日前の性交
⇒ 排卵日当日の妊娠率はすでに低下している
最も妊娠しやすい性交の日は排卵日ではありません。
排卵日よりも、排卵日の前日、2日前に性交したほうが妊娠の確率は高くな
ります。
それは、女性の頚管粘液は精子の貯蔵庫として働き、射精された精子は頚管
粘液の中に蓄えられ、持続的に卵管に送り出されるからではないかと考えら
れています。
■妊娠しやすい性交の頻度
⇒ 毎日性交した場合の周期あたり妊娠率は37%
⇒ 隔日性交した場合の周期あたり妊娠率は33%
⇒ 週に1回性交した場合の周期あたり妊娠率は15%
毎日性交すると妊娠率が最も高くなります。
毎日、もしくは、隔日の頻度で性交するのが妊娠率が高くなりますが、週に
1回のペースになると、妊娠率が低くなります。
■射精の頻度と精液の質
⇒ 毎日射精しても精液の質、精子濃度、運動率に変化はない
⇒ 乏精子症でも精子濃度や運動率は毎日射精した場合に最も高くなる
⇒ 5日以上の禁欲は精子濃度の低下をもたらす
毎日射精すれば、精液の質が低下すると誤解されていることが多いようです
が、毎日射精するほうが、新鮮な精子が増え、精液の質が高まるようです。
反対に長い禁欲期間は精液の質を悪化させます。
■排卵日の予測
⇒ 頚管粘液の変化をみるのは排卵日の推定に安価でよい方法である
⇒ 頚管粘液は排卵が近づくと、透明になり、つるつるしてくる。
⇒ 頚管粘液は排卵の2、3日前に最も多くなり、最も妊娠しやすくなる
頚管粘液の変化をみて、妊娠しやすい性交の日を知るのが最もよい方法です。
基礎体温表からは、その周期の排卵日を知ること、予測することは出来ませ
ん。また、基礎体温が最も下がった日が排卵日ではありません。
性交の回数の少ないカップルにとっては、尿中LH測定キット(排卵検査薬)
を使うメリットがあります。
その場合でも、排卵日に性交するよりも、排卵前日、排卵2日前と思われる
日に性交するのが最も妊娠しやすくなります。
■性交の方法
⇒ 性交後しばらく仰臥位でいると妊娠の可能性が上がるということはない
⇒ 性交時の体位と妊娠率には関係がない
⇒ 女性のオーガズムは妊孕性を向上させるかどうかは不明
射精後、精子はすみやかに子宮頚管に移動しますから、性交時の体位や性交
後の姿勢が、妊娠率を左右することはありません。
女性のオーガズムによって、精子が卵子と出会いやすくなるとの報告もあり
ますが、実際に、妊娠率の向上に寄与するのかどうかは不明です。
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まとめとして
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妊娠しやすい夫婦生活については、誤解していることや思い込みが少なくあ
りません。
通院をはじめると、まずは、タイミング指導からはじめられるのが普通です
が、ドクターでさえ、排卵日に夫婦生活をもつように指導されることが珍し
くないようです。
たとえば、数日間禁欲して精子をためて、排卵日と思われる日に性交し、性
交後はしばらく仰向けの姿勢を保つというやり方は、明らかに正しくありま
せん。
よくお分かりいただけたかと思います。
もしも、通院していないカップルにとっての妊娠しやすい夫婦生活は以下の
通りです。
★月経周期が正常な女性の場合
⇒ 月経終了後頃から毎日、もしくは、1日おきに性交する。
★月経周期が不順な女性の場合
⇒ 頚管粘液の量が増え、透明になり、つるつるしだしたら、毎日、もしく
は、1日おきに性交する。
いかがでしょうか?
排卵日を特定することや排卵日に性交することにこだわるのは、さほど意味
がないようです。
妊娠のためのエビデンスや原則を知って、あとは、自分たちの環境にあわせ
て工夫するのがいいように思います。
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以下は、辰巳先生が院長をつとめていらっしゃる梅ヶ丘産婦人科のサイトで
す。サイト内では、いろいろな有用な情報が紹介されています。
▼梅ヶ丘産婦人科のサイト
http://www.u-m-e.com/index.html
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編 集 後 記
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体外受精や顕微授精などの高度な治療の実施数は、年々、大変な勢いで増加
しています。
9月1日に公表された最新のデータでは、2008年の体外受精や顕微授精
で生れた子どもの数は、いよいよ2万人を突破し、2万1704人だったと
のこと。
同年の出生児数は109万1156人と報告されていますので、全体の2%、
新生児の50人に1人は体外受精児なのです。
また、最新の国際データによると、2006年に先進国で実施された高度生
殖補助医療は約85万周期で、日本は約14万周期で世界最高、2位はアメ
リカ合衆国、3位はフランス、そして、ドイツ、スペイン、オーストラリア、
イギリスと続いています。日本は世界一、それも、人口で3倍近いアメリカ
よりも多くの体外受精が実施されているのは驚きました。
一方、避妊具のメーカーが実施した調査では、年間平均セックス回数は日本
は45回で最下位。世界平均が100回を超え、ブービーのシンガポールが
73回とのことなので、断トツ、最下位です。
つまり、世界で最もセックスの回数が少なくて、世界で最も多くの体外受精
が実施されているのが、日本というわけです。
このことを関連づけて、大層なことを主張するつもりは毛頭ありませんが、
いろいろなことを考えさせられます。
もちろん、妊娠するには、どうしても体外受精が必要なカップルも少なくな
いでしょうし、人生の目的がセックスだとは思いません。
ところが、日本だけが突出して、体外受精を受けなければ、お子さんを授か
ることができない夫婦が多いのでしょうか?
また、日本では、セックスよりも、パートナーとの生活を謳歌できる時間の
使い方がたくさんあるのでしょうか?
よく分かりませんが、事、不妊治療という観点から言えば、不妊クリニック
を訪れるカップルの性交回数は、概して、少ないという報告があります。
要するに、性交回数が少ないことが妊娠しづらいことの原因の1つでもある
と考えられるわけです。
もちろん、回数の少なさを人工授精や体外受精で補うというのも現代的な方
法なのかもしれませんが、妊娠の可能性を高めるためにも、「セックスどこ
ろではない」という生活について、本当にそれでよいのかどうか、ちょっと、
考えてみることも大切なことなのかもしれません。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.378
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・まぐまぐ:5,361部
・合計部数:5,570部(9月5日現在)
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