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妊娠しやすいカラダづくり
VOL.387
2010年11月7日
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じぶんたちにあったこたえをだすために・・・
なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。
━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼今週の更新情報
▼今月のトピックス
アメリカ生殖医学会ハイライトから(2)
▼妊カラ編集室からのお知らせ
▼編集後記
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今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2010年11月5日 最新ニュース
不妊症が子どもの脳性小児マヒのリスクを高めることはない
http://www.akanbou.com/news/news.2010110501.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
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今月のトピックス
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アメリカ生殖医学会ハイライト(2)
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先週に引き続き、アメリカ生殖医学会のハイライトです。
さる10月23日から27日まで、コロラド州デンバーにて、第66回アメ
リカ生殖医学会が開催されました。
学術集会で発表された最新の研究報告から、皆さんのお役に立ちそうなテー
マをピックアップして、ご紹介しようというものです。
今週は「治療成績」のこと。
不妊治療について、それぞれの治療法に固有の妊娠率や出産率を知っておく
ことは、治療法を選択したり、治療回数を検討するうえで、とても大切なこ
とだと思います。
ここで、アメリカにおける高度生殖補助医療の治療成績の情報開示システム
について、簡単に触れておきます。
アメリカでは、疾病管理センター(CDC)という政府機関が、アメリカ生
殖医学会(ASRM)の関連団体である、高度生殖補助医療学会(SART)
に対して、全米の各クリニックの体外受精や顕微授精の治療成績のデータを
収集、チェックすることを命じています。
そして、CDCは、毎年、体外受精や顕微授精の全国統計とそれぞれのクリ
ニックの治療成績を公表しています。
最近、ようやく全国統計が公表されはじめた日本に比べると、はるかに、患
者のための情報環境が整っています。
今回、紹介する研究報告の中でもSARTのデータを分析した報告が1つあ
りますが、個々のクリニックのデータではなく、全米のデータによる研究で
すから、当然、信頼性も高くなります。
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体外受精や顕微授精の累積出産率
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⇒ 高度生殖補助医療による治療周期あたりの出産率は、初回が35.9%
と最も高く、以降は徐々に低下していく。累積出産率は、徐々に上昇し
ていくが、5回目以降で頭打ちになる。
▼ミシガン州立大学の研究チームによる試験
◎対象者は?
2004年から2008年の5年間のSARTのデータ(306565名の
518496周期)
◎どんな方法で?
治療回数毎の出産率と累積出産率を算出
◎結果は?
・治療回数毎の治療周期あたりの出産率は初回が35.9%で最も高い。
・2回目が29.8%、3回目は29.1%、4回目は27.2%と、徐々
に低くなっていく。
・2回の累積出産率は47.8%、3回で52.6%、4回で54.5%、
5回で55.3%で、それ以降は頭打ちになる。
▼コメント
不妊治療の治療成績をみる場合、妊娠率もさることながら、出産率が大切で
す。なぜなら、不妊治療の成功は、妊娠ではなく、出産であるからです。
また、人工授精や体外受精の治療成績は、たいていは、治療周期あたりであ
らわされることが多いのですが、どれくらい続けるのかを検討する場合には、
累積の妊娠率や出産率でみる必要があります。
この報告では、全米のデータから回数別累積出産率を算出しています。
それによると、5回目以降は頭打ちになっています。
このことから、体外受精にステップアップする場合には、少なくとも、3回
から5回くらいは治療を続ける心づもりで臨むことが大切なのかもしれませ
ん。
ただし、それは、比較的年齢が若く、卵管閉塞などの体外受精が必要な明ら
かな原因がある場合で、高齢に伴う卵子の老化によって、妊娠までに時間が
かかっている場合には、この限りではありません。
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体外受精へのステップアップの時期による治療成績の比較
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⇒ 標準的なステップアップでも早いステップアップでも妊娠に至る確率は
大きく変わらない
▼ボストンIVFの研究チームによる試験
◎対象者は?
不妊期間が1年以上の原因不明不妊のカップル503組
◎どんな方法で?
ランダムに2つのグループに分けて、一方のグループ(233名)は、標準
的なステップアップ法(クロミフェン刺激を伴う人工授精を3周期、FSH
刺激を伴う人工授精を3周期、体外受精を6周期)、もう一方(256名)
は、早い段階で体外受精にステップアップし(クロミフェン刺激を伴う人工
授精を3周期、体外受精を6周期)、それぞれの治療成績を比較した。
◎結果は?
・標準的なステップアップ法では、クロミフェン刺激を伴う人工授精3回で
233名中55名が妊娠に至り(23.6%)、次のFSH刺激を伴う人
工授精3回で、さらに49名が妊娠、累積妊娠率は44.6%でした。そ
して、体外受精6回で、さらに95名が妊娠に至り、最終の累積妊娠率は
85.4%でした。
・FSH刺激を伴う人工授精を経ずに体外受精にステップアップしたグルー
プでは、クロミフェン刺激を伴う人工授精3回で、242名中67名が妊
娠に至り(26.2%)、さらに体外受精6回で145名が妊娠に至り、
最終的な累積妊娠率は82.8%でした。
▼コメント
原因不明不妊の場合には、どのタイミングで体外受精にトライするべきなの
か、判断が難しいものです。
アメリカでは、クロミフェン+人工授精を3回繰り返し、それでも妊娠に至
らなければ、さらに、FSH+人工授精を3回繰り返し、それでも妊娠に至
らなければ、体外受精を6回繰り返すというのが標準的な治療方針とされて
います。
今回の報告では、FSH+人工授精のステップを経ずに体外受精にステップ
アップした場合との治療成績を比べています。
その結果、標準的な治療ステップを踏んでも、早くステップアップしても、
妊娠に至る確率には大きな違いはないようです。
もしも、年齢が35歳以下であれば、ある程度、自然妊娠にこだわるという
選択肢もあり得るわけです。
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採卵した卵子の受精率と胚への生育率、及び出産率
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⇒ 採卵した卵子が、妊娠、出産に至る確率は4.3%で、人間は、そもそ
も、妊娠しづらい生き物であると言わざるを得ない。
▼Shady Grove Fertility Centerの研究チームによる試験
◎対象者は?
2004年から2008年の14324治療周期
◎どんな方法で?
採卵した卵子192991個の受精率、胚への生育率、出産率を算出した。
◎結果は?
・採卵した卵子が受精するのは57.5%
・受精後に移植可能な段階の胚まで生育するのは39.9%
・移植した胚が着床し、妊娠、出産に至るのは18.9%
・採卵した卵子が最終的に出産に至るのは4.3%
・受精卵が最終的に出産に至るのは7.5%
▼コメント
体外受精を受けると、それまではうかがい知ることが出来なかった、母親に
なる女性のお腹の中で進んでいたプロセスを、全て、目で確認出来るように
なるために、それぞれのプロセスの状況に一喜一憂してしまいかねません。
この報告の結果をみると、採卵した卵子が受精するのが6割、受精卵が移植
までいけるのが4割、移植した胚が赤ちゃんにまで育つのが2割という計算
になります。
そして、そもそも、体外受精で採卵できた卵子が、妊娠、出産できるだけの
生命力を備えている割合は、4.3%で、驚くほど低い確率です。
もちろん、年齢によって、この割合は大きく異なります。母親になる女性の
年齢別の割合は以下の通りです。
◎年齢別採卵した卵子が出産まで至る確率
・35歳まで 5.2%
・35~37 4.4%
・38~40 3.3%
・41~42 1.8%
・42歳以上 1.2%
体外受精の治療プロセスで、採卵した卵子が受精しなかったり、受精卵の成
長がストップしてしまったり、移植しても着床しなければ、治療が"失敗"
してしまったかのように受け止めてしまいがちです。
ところが、この報告をみると、その多くは、"失敗"や"異常"なことでは
なく、"そうなっている"ものなのかもしれません。
もしも、そうであれば、必要なのは、原因を突き止め、そして、"治療"す
るというよりも、人間の生殖のメカニズムについて正しく理解し、そして、
"待つ"ということになります。
ただし、成功の確率を高めるために、適切な数の卵子を、出来るだけストレ
スなく採卵し、そして、出来るだけ卵管や子宮内に近い環境で培養できるだ
けの高い医療技術を備えた医師やクリニックにかかることは、高度生殖補助
医療では必須であるとは思います。
以上、66回アメリカ生殖医学会の学術集会にて発表された、不妊治療の治
療成績に関する報告を3つピックアップしてご紹介しました。
初めての体外受精が成功してから30年以上がたち、日本では年間10数万
周期の治療が実施されるようになり、これまでの治療データの蓄積は、私た
ちにさまざまなことを教えてくれています。
データが、そのまま、自分たちの答えを教えてくれるわけでは、決して、あ
りませんが、自分たちにふさわしい答えを出すための参考になることは間違
いありません。
また、自分たちの結果が、果たして、全体からみてどうなのかを知ることは、
感じる不安や心配のレベルが違ってきます。
皆さんの参考になればと願うばかりです。
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編 集 後 記
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たまたまですが、昨日と今日、2続けて、「農家の台所」というお店でラン
チを食べました。
http://www.noukanodaidokoro.com/
無農薬や減農薬、有機栽培などで育て、栽培した新鮮な野菜が食べられるの
ですが、そんな野菜を食べると、もしかしたら、これまで、本当の野菜の味
や野菜の食べ方を知らなかっただけかもしれないと、つくづく、思いました。
とにかく、野菜の甘みや苦み、そして、食感のメリハリも効いていて、野菜
だけで、十分に満足できます。
最近、野菜嫌いな子どもが増えていると耳にしますが、間違いなく、本当の
野菜の味を知らないだけだと思います。
もう一つ、すべての野菜の生産者が写真入りで紹介されているのですが、そ
れを見ていると、美味しい野菜をつくるのが本当に好きなんだろうかと感じ
ます。
無農薬で野菜を栽培するのは、草や虫取りだけでも、大変な労力がかかると
聞きます。
農業をビジネスととらえ、効率を優先すれば、法的に許されている農薬や肥
料を使うことは、"正解"なのでしょう。
ところが、自分のブランドで、こだわった美味しい野菜をつくり、提供し、
喜んでもらうことを、自分の喜びとし、そこに価値を見出せば、"間違い"
になるのでしょう。
本当に美味しものを、喜んでいただくことが、自分にとって、そして、未だ
見ぬ赤ちゃんにとっても、生命力を高めるに違いありませんね。
そう実感できます。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.387
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・合計部数:5,589部(11月7日現在)
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【編 集】 細川忠宏(不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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