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妊娠しやすいカラダづくり 第406号 2011年03月06日発行
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お子さんを望まれるカップルを応援します。
なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。
━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼今週の更新情報
▼今月の特集
不妊予防という考え方(前半)
▼妊カラ編集室から
▼編集後記
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今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年3月02日 最新ニュース
食事からビタミンB1やB2の摂取が少ない女性ほどPMSになりやすい
http://www.akanbou.com/news/news.2011030201.html
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2011年3月01日 トピックス
血液の循環をよくして妊娠しやすいカラダをつくる
http://akanbou.com/topics/topics/040.html
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2011年2月28日 最新ニュース
治療前のストレスがその周期の体外受精の治療成績に及ぼす影響
http://www.akanbou.com/news/news.2011022801.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
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今月の特集
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不妊予防という考え方
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不妊予防と聞くと、不妊を予防すること、すなわち、不妊症にならないよう
に気をつけることと思ってしまいがちです。
ですから、既に、不妊症と診断されれば、予防よりも、治療なのではないか
と。
私も、そのように、漠然と思っていました。
ところが、予防医学には、一次、二次、三次予防があるというのです。
不妊予防で言えば、一次予防は不妊症にならないように予防することですが、
二次予防として、重症化の予防、すなわち、不妊症と診断された後でも早く
妊娠するための取り組み、さらには、三次予防として、不妊治療を終えて次
のステージに移行する際のバックアップまで、意味としては含まれると言い
ます。
そして、日本不妊予防協会は、2007年に不妊予防の研究や研修を主な目的
として、設立されました。
理事長の久保春海先生は、これまで40年間に渡り、東邦大学医学部産婦人科
教授として、日本の不妊治療をけん引してこられた著名な先生です。
現在、不妊治療を受けていても、受けていなくても、妊カラの読者の皆さん
には、是非、"不妊予防という考え方"を知っていただきたいと思い、久保春
海先生にインタビューさせていただきました。
今週と来週もの2回に渡って、ご紹介したいと思います。
今週掲載のテーマ
【1】不妊や不妊の重症化は予防できる、予防すべき
【2】何をどのように取り組めばいいのか?
来週掲載のテーマ
【3】夫婦生活の回数と満足度が高いほど妊娠率も高くなる
【4】妊娠できさえすればそれでいいというわけではない
【1】不妊、不妊の重症化は予防できる、予防すべき
細川)久保先生は、長年、日本の不妊治療の第一人者として、多くの患者さ
んの治療にあたってこられただけでなく、研究分野でも、また、専門医の育
成においてもリーダーシップを発揮してこられた、大変著名な先生です。
そのような先生が、"不妊は予防することが大切である"とのお考えから、日
本不妊協会を立ち上げられたということは、不妊症の原因として、生活習慣
やライフスタイルなどの好天的なものが多いということでしょうか?
Dr.)その通りです。実際のところ、先天的な問題で防ぎようのない不妊は
ごく僅かで、生活習慣や生活環境など、後天的な理由による不妊がほとんど
で、全体の80%以上をしめています。
細川)そんなに多いのですか。
Dr.)はい。ただし、そのことを知っている人はほとんどいませんね。
細川)"避妊を止めればすぐに妊娠できると思っていた"、"なんで私たちの
ところには赤ちゃんがやってきてくれないのかわからない"、不妊に悩んで
おられる方々は口を揃えてそのようにおっしゃいます。
Dr.)そうです。普段から病気がちな人であればまだしも、健康な女性や男
性は、自分たちだけは望めばいつでも子どもをつくることができる、不妊で
あるはずがない、そう思い込んでいます。
細川)はい。
Dr.)ところが、不妊症というのは現在の自分の健康状態と無関係な原因に
よって起こる、やっかいな病気なのです。
細川)現在の自分の健康状態と無関係な原因とおっしゃいますと?
Dr.)喫煙や飲酒習慣、性感染症、特にクラミジアの感染が若い人の間で大
変増えています。肥満や過度のダイエット、子宮内膜症や子宮筋腫など、さ
らには、晩婚化に伴う年齢の問題など、これらすべてが不妊の原因になり得
ます。
細川)まさに現代に特有の生活習慣だと言えますね。
Dr.)現代社会は、不妊予備軍をどんどん増やしていると言っても過言では
ないのです。
細川)そこで、啓蒙や意識改革が必要だということですね。
Dr.)そうです。不妊は予防できる、つまり、防ぎようがあるのです。
いくら頑張っても妊娠できないという精神的な辛さは当事者にしか分からな
いものでしょう。
また、これまでの生殖医療の進歩には目を見張るものがあり、高度な生殖補
助医療によって、それまで子どもをあきらめざるを得なかったカップルでも
妊娠が期待できるようになりましたが、必ずしも全てのカップルに妊娠、出
産を保障できるものではありません。
その上、肉体的、精神的、経済的負担も決して小さいものではありません。
とにかく、不妊にならないに越したことはないのです。
細川)よく分かります。
Dr.)また、残念ながら不妊になってしまったとしても早く妊娠するに越し
た
ことはありません。
細川)それも不妊予防の範疇になるのでしょうか?
Dr.)もちろんです。不妊の重症化を予防するということです。予防医学で
いうところの二次予防です。
細川)このサイトの会員の方々にとって、最も関心の高いテーマだと思います。
Dr.)そうでしょうね。ところが、現在の生殖医療は治療中心で、予防に取
り組んでいるとはとても言えません。そこで、不妊予防というわけです。
細川)よく分かりました。
【2】何を、どのように取り組めばいいのか?
細川)それでは、現在、なかなか授からないご夫婦にとっての不妊予防、す
なわち、不妊症の重症化の予防のために、どんなところに気をつければいい
のでしょうか?
Dr.)不妊予防協会では、女性用、男性用、それぞれのチェックリスト※を
作成しています。不妊のリスク要因になり得るものを挙げています。
もしも、未だ治療を受けていらっしゃらない方で、1つでもあてはまるもの
があれば、早めに検査を受けることをお勧めします。また、不妊予防協会で
無料相談を受け付けてもいます。
細川)影響の大きいのはどのようなものでしょうか?
Dr.)まずは、タバコですね。お子さんを望まれるカップルでタバコを吸わ
れる方は、女性はもちろんのこと、男性も禁煙すべきです。
細川)現在、不妊治療を受けている方でも今から禁煙しても遅くはないので
しょうか?
Dr.)遅いなんていうことはありません。たとえば、体外受精の治療成績を
みてみると、タバコを吸わないカップルは、タバコを吸うカップルよりも妊
娠率が明らかにいいわけです。ですから、タバコを止めれば妊娠率がよくな
るということが言えますね。
細川)これは希望の持てるお話しです。
Dr.)また、タバコを吸う男性は、精子のDNAの断片化率が高いとの報告
もあります。
細川)遺伝情報が損傷を受けるおそれがあるということですね。ところで、
精子のDNAの損傷度は、精液検査では分からないものなのでしょうか?
Dr.)精液検査は精子濃度や運動率、奇形率など、すなわち、精子の数や運
動能力、形態などは分かりますが、DNAの損傷度は分かりません。DNA
の断片化検査を受ける必要があります。
細川)ということは、たとえ、精液検査で問題がなくても、安心出来ないと
言えなくもないわけですね。
Dr.)そういうことです。お子さんを望まれる男性も禁煙すべきです。
細川)女性も、男性も、タバコを吸われるのであれば、禁煙すべしというこ
とですね。
Dr.)また、若い女性の"やせ"願望は、将来の不妊を招きやすくなります。
これは、特に日本は諸外国と比べても顕著です。
細川)そうなのですか。
Dr.)最も病気になりにくく、そして、妊娠の確率が高いBMIは22とさ
れていますが、10代、20代で、BMIが18.5以下の女性は30%も
いるのです。痩せすぎも太り過ぎも不妊のリスクになります。
また、社会生活におけるストレスの問題もあります。
細川)目に見えない不妊のリスク要因ですね。
Dr.)原因不明不妊で、不妊治療を繰り返しても妊娠に至らなかったのに、
治療を休んだり、止めたりした途端、妊娠にしたり、お一人目のお子さんは
体外受精で授かったのにもかかわらず、二人目のお子さんは自然妊娠したり
というケースが決して少なくないのは、それまでのストレスから解放された
からでしょう。
細川)本当によく聞きます。
Dr.)たとえ、ストレスで卵巣機能が低下し、月経が止まってしまうという
ところまでならなくても、ストレスは免疫バランスにマイナスの影響を及ぼ
したり、末端の血流を悪くしたりします。
細川)妊娠の障害になり得るということですね。
Dr.)こういうケースでは、からだ全体のバランスを整えることが大切です。
お)具体的にはどのような対策を講じればよいのでしょうか?
Dr.)適度に身体を動かすこと、運動習慣をもつことは大切なことですね。
また、レーザー治療で血行障害が改善されるとの報告があります。リフレク
ソロジーのような代替医療なども試してみる価値がありそうですね。そして、
それらに加えて、サプリメントを摂るのもよいでしょう。
細川)自分にあったものをみつけることが大切ですね。
Dr.)そうですね。
次号に続く。
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日本不妊予防協会
http://www.jrha.org/top.htm
※チェックリスト(女性)
http://www.jrha.org/check-female.html
※チェックリスト(男性)
http://www.jrha.org/check-male.html
渋谷橋レディースクリニック
http://shibuyabashi-ladys.com/
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記事についてのお問い合せは下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
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妊 カ ラ 編 集 室 か ら
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お勧めの本(1)
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これから不妊治療を受けることを検討している方、既に、不妊治療を受けて
いる方に、"教科書"としてお勧めした本です。
私が読んで感じたこと。
・不妊治療について偏りのない情報が得られます。
・カップルの状況に応じた情報が得られます。
・難しいこと、複雑なことを、分かりやすく説明されています。
書名:最新不妊治療がよくわかる本
サブタイトル:原因、検査、治療からこころのサポートまで
著者:梅ヶ丘産婦人科 院長 辰巳賢一先生
定価:1365円
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http://p.tl/8CRg
※梅ヶ丘産婦人科のサイト
http://koshida-cl.or.jp/
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お勧めの本(2)
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私が知る限りにおいて、唯一の不妊治療を専門とする漢方医である、大阪の
越田クリニックの志馬千佳先生が書かれた本です。
読んでみて、漢方のPRではなく、どのように妊娠を目指せばいいのかとい
う観点で書かれているため、結果として、漢方のよいところがとてもよく分
かりました。
漢方薬は西洋医学の治療で起こる副作用を防ぐこと、西洋医学の治療がより
効果的になるようにサポートすること、西洋医学にはない効果が発揮できる
ものであるとの説明で、漢方薬の正しい使い方が理解できました。
書名:妊娠力をつける漢方レッスン
サブタイトル:不妊治療とのダブルパワーで妊娠に近づく!
著者:越田クリニック 志馬千佳先生
定価:1365円
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※越田クリニックのサイト
http://koshida-cl.or.jp/
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株式会社パートナーズ運営サイト
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私たちはお子さんを望まれるカップルを応援しています。
▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/
▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 〜 ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/index.html
▼医師がサポートするサプリメントセレクトショップ
→「ネイチャーズギフト」
http://www.nature-g.com/
▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html
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ツイッターからも情報を発信しています
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ツイッターからもさまざまな情報を発信しています。サイトに紹介するほど
でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
さい。また、皆さんの声もお聞かせいただければ嬉しいです。
・妊娠しやすいカラダづくりツイッター
http://twitter.com/ninkara
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編 集 後 記
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読者アンケートには多くのご協力をいただきましてありがとうございました。
締め切り後に抽選の上、ささやかなプレゼントをお送り致します。お役立て
いただければと思います。
さて、ストレスって、やっかいなものですよね。うまくコントロールできば
いいんでしょうけど、簡単なことじゃないし、発散すればいいんでしょうけ
ど、それもできないくらいなのでストレスがたまっているなんてこともざら
にあるでして。
その上、ストレスが妊娠に悪いなんて言われると、ちょっと勘弁してよって
感じですよね。
そんなところにストレスと体外受精の治療成績を調べた研究結果が発表され
ています。
詳しくは編集長コラムを見て欲しいのですが、治療に入る前のストレスのレ
ベルとその周期の体外受精の妊娠率には関連性はなかったというのです。
要するに、治療前にストレスがあろうがなかろうが、妊娠率には関係ないと
のこと。
ちょっと驚きましたね。
ストレス云々ではなく、やっぱり、妊娠することって、複雑というか、神秘
というか、私たちが"こうだろう!"って思うことがあてはまるほど単純な世
界ではないんですね。
もちろん、その周期の妊娠率しか調べていないので、治療を繰り返すうちに、
どう影響が出てくるのかは分かりません。
そして、ストレスがいいとも思いませんし、うまくマネージメントするに越
したことはありません。
ただ、思うのは、もしかしたら、あれこれ心配しても、取り越し苦労ってこ
とが意外に多いのかも、ですね。
ついつい、心配してしまうんですけどね。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.406
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数
・自社配信: 201部
・まぐまぐ:5,168部
・合計部数:5,369部(3月6日現在)
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