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妊娠しやすいカラダづくり 第413号 2011年5月15日発行
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お子さんを望まれるカップルを応援します。
なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
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━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼今週の更新情報
▼今月の特集(2)
後悔しない体外受精の病院選びについて
▼妊カラ編集室から
▼編集後記
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今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年5月12日 最新ニュース
体外受精では採卵個数15個がその後の出産率が最も高くなる
http://www.akanbou.com/news/news.2011051201.html
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2011年5月11日 最新ニュース
精巣内採取精子による顕微授精で生れた子どもの健康状態
http://www.akanbou.com/news/news.2011051101.html
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2011年5月9日 編集長コラム
コースを知り、ペースを配分し、持久力を養いながら
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20110501.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
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今 月 の 特 集 (2)
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後悔しない体外受精の病院選びについて
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2010年のノーベル医学生理学賞は、体外受精技術を開発し、世界で初め
て体外受精で妊娠、出産に成功した、イギリスのロバート・エドワーズ博士
に授与されました
このことは、体外受精という生殖補助医療技術が広く普及し、多くのカップ
ルに貢献したことが評価されたということ、そして、この治療法が、もはや、
当たり前で、安全性のほぼ確立された、赤ちゃんの授かり方であることが認
められたということだと、私たちは理解しています。
ところが、初めての治療周期で出産まで至ることが出来る確率は決して高い
とは言えません。
また、最先端の高度生殖補助医療をもってしても、不妊に悩むすべてのカッ
プルに妊娠、出産が保障されているわけでもありません。
一方、高度生殖医療は保険診療ではなく、自由診療であり、規格化された診
療ではありません。
その上、日本では、現在、全国で500以上もの病院で高度生殖補助医療が
実施されていて、人口が約3倍のアメリカの施設数を大きく上回る数です。
このことは、治療方針について医師や施設間でさまざまな考え方があるとい
うこと。また、特に高度生殖医療では、施設間の技術格差が大きいというこ
とに他なりません。
つまり、体外受精を計画しているカップルにとって、納得のいく治療、後悔
しない治療を受けるためには、自分たちにあった病院を選ぶことがとても大
切になってくるというわけです。
そのためには、選ぶ際の「基準」や「目安」をもっておくことが大切です。
そこで、高度生殖医療では日本の第一人者のドクターである、名古屋の浅田
レディース名古屋駅前クリニック院長の浅田義正先生にお話しをお伺いしま
した。
■体外受精について知っておいて欲しい、知っておくべきこと
■どんな基準や目安で病院を選べばいいのか、選ぶべきなのか
■納得感を大切にしたい
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体外受精について知っておいて欲しい、知っておくべきこと
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細川)本日は、体外受精の病院選びについて教えていただければと思います。
Dr)まず、皆さんに知っておいていただきたいのは、医療のレベルは「ど
こも同じ」ではないということです。
特に、体外受精や顕微授精は、保険診療ではありませんので、何の基準もな
く、厚生労働省が保障した薬剤、機材、培養液などもありません。
また、技術レベルだけではなく、治療方針、すなわち、考え方もさまざまで
す。
いわば、いろいろな流儀、いろいろな流派の体外受精や顕微授精が施されて
いるというのが現実なのです。
細川)であればこそ、高い技術を有するだけでなく、自分たちにあった先生
や病院との出会いは、益々、大切になってくるというわけですね。
Dr)そうです。医療についての正しい情報を得て、患者さんご自身で判断
し、その上で、どこで、どのような治療を受けるのか選択してほしいですね。
細川)それでは、どんな基準や目安で病院を選べばいいのか、選ぶべきなの
かについて教えていただければと思います。
Dr)そのために、まずは、体外受精とはどのような治療法なのか知ってお
く必要があります。
体外受精の一番の特徴は何でしょうか?
それは、卵子を体外に採り出して、精子と受精させ、3~5日間育てるとい
うことです。
要するに、受精や受精卵から胚への発育が、"女性のお腹の中"でおこるの
か、"クリニックの培養室の中"でおこるのか、ここが、体外受精とタイミ
ング法や人工授精などの一般不妊治療との最大の違いだということです。
細川)"女性のお腹の中"か、"培養室の中"かの違いということですね。
Dr)そういうことです。
ですから、体外受精において求められる技術とは、質の良い卵子を、出来る
だけストレスなく体外に取り出し、女性の生殖器官内に近い環境で培養する
技術なのです。
そして、それはとりもなおさず、体外受精の成功の鍵になるというわけです。
このことを理解すれば、病院を選ぶポイントも自ずと見えてくるのではない
でしょうか?
細川)質の良い卵子を取り出す技術、そして、培養技術というわけですね。
【この章のポイント】
・体外受精は自由診療であり、医療レベルや治療方針は施設間格差が大きい。
・体外受精の最大の特徴は体外で受精させ、受精卵を2~3日間育てること。
・医療レベルのポイントは「質の良い卵子を取り出す技術と培養技術」。
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どんな基準や目安で病院を選べばいいのか、選ぶべきなのか
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細川)それでは、具体的な病院選びの基準や目安について、お聞きしたいと
思います。
★それぞれの患者に最適な方法で卵巣刺激を行っているか
~ 質の良い卵子を得るために
Dr)まずは、「それぞれの患者さんに最適な方法で卵巣刺激を行っている」
かどうかということです。
体外受精や顕微授精で妊娠、出産できるかどうかは、質の良い卵子を得るこ
とが出来るかどうかにかかっています。
そのために医療に出来ることは、それぞれの患者さんに最適な方法で卵巣刺
激を行い、複数の卵子を採卵することです。
細川)複数の卵子を育て、採卵することで、妊娠できるだけの力を備えた卵
子と出会える確率を高めるということですね。
Dr)そうです。
細川)最近、読者の方々から「どの刺激法がベストなのか」とか、「やはり、
自然に近い方法がよいのか」とのご相談が本当に多く寄せられています。
Dr)卵巣を刺激する方法の優劣や自然に近いかどうかを論じてもさほど意
味がありません。
なぜなら、最も重要なことは質のよい卵子に出会える可能性の最も高い方法
を採用することであり、そのためには、患者さんの状態に最適な方法を選択
すべきであるからです。
細川)決して、"方法論ありき"ではないということですね。
Dr)そういうことです。
もしも、方法論を優先したことによって妊娠の可能性を小さくしてしまうよ
うなことになると、本末転倒です。
細川)とてもよく分かりました。
ここのところは、大切なことであるにもかかわらず、誤解されていることが
多いように思います。
Dr)そうですね。
最適な方法を採用するうえで、最良の指標となるアンチミューラリアンホル
モン(以下、AMH)のこともお話ししておきましょう。
細川)はい。
Dr)それぞれの患者さんに最適な卵巣刺激法を知るには、それぞれの患者
さんの卵巣予備能、すなわち、卵巣にどれくらい卵子が残っているのかを把
握する必要があります。
また、それ以前に、卵巣にどれだけ卵子が残っているのか、すなわち、卵巣
年齢を知ることは、治療方針を立てる上でもとても重要になってきます。
お)卵巣年齢を知ることは、治療方針を立てるうえでも重要だと。
Dr)そうです。もしも、実際の年齢の割に卵巣年齢が高ければ、治療のス
テップアップを早めるのが得策です。反対に卵巣年齢が若ければ、それほど
慌てる必要はないと言えます。
細川)患者さんの意志決定のためにも大切な指標になるのですね。
Dr)はい。そのため、当院では、不妊治療の開始に際して、必ず、AMH
を測定し、卵巣予備能を調べたうえで、それぞれの患者さんに最適な治療法
や卵巣刺激法を選択しています。
そもそも、AMHは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。そ
のため、このホルモンの値は未成熟な卵胞から発育する卵胞の数を反映する
と考えられています。つまり、卵巣内の未成熟な卵胞が少なくなってくると、
AMHの値も低くなるというわけです。
細川)AMHが卵巣にどれだけ卵子が残っているのかを知る目安になるゆえ
んですね。
Dr)はい。従来、卵巣予備能検査は、生理3日目のFSHの基礎値を測定し、
目安にするのが一般的でしたが、その時々で変動が大きいというデメリット
がありました。ところがAMHは月経周期にかかわらず、あまり変動しない
ため最もよい指標になるのです。
細川)よく分かりました。年齢が高くなるほどAMHを測定し、卵巣年齢を
知ることが大切になってくるということですね。
★ラボワーク(培養技術)
~ 受精卵の健全な生育のために
Dr)また、体外受精の成功は、採卵した卵子を受精、或いは、顕微授精さ
せ、受精卵を培養(人工的な環境下で育てること)する、ラボワーク(培養
技術)にも左右されます。
健康な母体内で健全な生命が育まれるわけですから、体外受精においては、
ラボラトリー(培養室)の実力、すなわち、設備やエンブリオロジスト(胚
培養士)の技術のレベルの高さが求められるというわけです。
細川)よく分かります。
Dr)私は、「培養室の質の向上は、妊娠率の向上につながる」との信念を
持っていますが、高い水準のラボワークにこだわり、どれだけ人材や設備を
整えているのかも見ておきたいところですね。
細川)培養環境の向上にどれだけ取り組んでいるのかということですね。
Dr)一方、培養室のハード面は、お金をかけることである程度は整えるこ
とが出来ますが、そのハードを運用して成果を出す力、すなわち、ソフト面
については、やはり経験がものを言います。
細川)そうですね。どれくらいの症例数を目安にすればいいのでしょうか?
Dr)あくまでも目安ですが、年間300回以上の採卵を実施しているとい
うところでしょうか。
★説明
~ 納得の行く治療を受けるために
細川)生殖補助医療におけるドクターの考え方や力量、そして、培養室の実
力というところですね。その他についてはどうでしょうか?
Dr)治療に入る前、そして、治療のプロセスにおいて、きちんとした説明
がなされているということでしょうか。
細川)読者の皆さんから寄せられる質問や相談の内容をみていると、多くは
スタッフの方が忙しそうにしていて聞きづらいとか、説明がよく分からない
からという理由で尋ねてこられる場合が多いですね。
Dr)治療実績や治療成績を開示しているかどうも大切なところですね。
治療成績については、単なる妊娠率という数値だけではその病院の実力をは
かれません。
年齢の高い患者さんが多い病院ほど、治療成績は悪くなるからです。ですか
ら、年齢別の妊娠率や出産率を確認しておきたいものです。
また、高齢の患者さんにとっては、移植あたりの妊娠率よりも、採卵あたり
の妊娠率を参考にすべきだと思います。
細川)適切な卵巣刺激を施して、確実に採卵が行われているかどうかの目安
になるということですね。
【この章のポイント】
・それぞれの患者に最適な方法で卵巣刺激を行っているか
・ラボワーク(培養技術)が高い水準であるか
・治療に入る前や治療のプロセスできちんとした説明がなされているか
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納得感を大切にしたい(最後に)
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不妊治療を始める場合の病院選びについてのアドバイスはよく見聞きします
が、体外受精を受けるにあたっての病院選びについては、それほどではない
ように思います。
体外受精は、それまで一般不妊治療(タイミング指導や人工授精)を受けて
いた病院で、そのまま体外受精にステップアップするケースが多いからなの
かもしれません。
また、体外受精を受けるために転院する場合でも、単に、有名だから、人気
があるからといった理由だけで選ぶことが多いように思います。
いずれにしても、体外受精を受ける施設を選ぶ際のきちんとした基準や目安
は、案外、知られていないと言えます。
ところが、一般不妊治療と体外受精や顕微授精では、求められる技術や経験
が全く異なりますし、施設間の技術格差もなくはありません。
ですから、体外受精へのステップアップにあたって、改めて、信頼のおける
技術を有し、自分たちにあった病院を選び直してみることが大切です。
はじめから信頼のおけるドクターと出会えるという、幸運なケースもあるで
しょうし、納得の行く治療を受けるために転院を繰り返し、次第に"見る目"
が養われ、素晴らしいドクターと出会えたというケースもあるでしょう。
いずれにしても、選ぶのはあなたです。
1日も早く望みが叶えられることを願ってやみません。
浅田先生には深くお礼申し上げます。
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★浅田正義先生 プロフィール
浅田レディースクリニック院長
医学博士。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。
名古屋大学医学部卒業、名古屋大学医学部附属病院産婦人科を経て、アメリ
カで最初の体外受精専門施設に留学、主に顕微授精の基礎的研究に従事。帰
国後、名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。以後、辞職
まで名古屋大学の顕微授精症例の全症例を自ら担当。1995年、精巣精子を用
いたICSIによる妊娠例の日本初の報告。1998年ナカジマクリニック不妊セン
ター開設。2004年浅田レディースクリニック開院。2010年浅田レディース名
古屋駅前クリニック開院。
★赤ちゃんは待ってくれない
インタビューにお答えいただいた、浅田レディースクリニック院長の浅田義
正先生のご著書をご紹介します。妊娠する力に最も影響を及ぼすのは女性の
年齢です。30代半ばを超える年齢の女性が不妊治療に臨む場合、このメカ
ニズムを理解しておくことがとても大切です。そのために知っておきたいこ
と、知っておくべき、とても深い内容を、マンガでわかりやすく解説されて
います。
▼赤ちゃんは待ってくれない
http://p.tl/qKRj
★浅田レディースクリニックサイト
http://ivf-asada.jp/
※浅田レディース名古屋駅前クリニック
http://nagoya.ivf-asada.jp/
※浅田レディース勝川クリニック
http://kachigawa.ivf-asada.jp/
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編 集 後 記
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体外受精などの高度生殖医療に限らず、不妊治療においては、初めての治療
周期で妊娠に至る確率はそれほど高くはありません。
なぜでしょう?
それは、不妊治療のスタート時点において、不妊の原因をはじめとする、適
切な治療を施すために必要な情報を、全て把握することが難しいからです。
「やってみなければ分からないこと」がどうしてもある、と言えるかもしれ
ません。
体外受精においては、卵巣刺激法をはじめとして、治療の進め方において、
選択すべき項目が少なくありません。
そのため、多くのケースでは、(残念ながら妊娠に至らなかった)治療を繰
り返す中で、それまで分からなかった状況が徐々に明らかになり、それに伴
い、それぞれのカップルにとって、より効果的な選択が積み重ねられること
になるのだと思います。
この、不妊治療の宿命的な特殊事情を理解すれば、選ぶべき病院やドクター
の条件も自ずと明らかになってくるはずです。
それは、回を重ねるごとに、それぞれのカップルにふさわしい治療、すなわ
ち、より妊娠に近づけるような治療が施されるようになるということではな
いでしょうか。
決して、ベルトコンベアー式の治療、決して、画一的、マニュアル的な方法
を繰り返すだけの治療では、望むべくもないことです。
私は、このことも含めての医療技術と考えます。
今回のインタビューを通じて、そのことを痛感しました。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.413
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数
・自社配信: 201部
・まぐまぐ:5,126部
・合計部数:5,327部(5月15日現在)
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