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VOL.414 35歳以上の妊娠、出産戦略を考える

2011年05月22日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第414号 2011年5月22日発行

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お子さんを望まれるカップルを応援します。

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。


━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報

▼トピックス
35歳以上の妊娠、出産戦略を考える

▼妊カラ編集室から

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年5月18日 ドクターに訊く
不妊予防という考え方
http://www.akanbou.com/oshiete/dr_kubo/index.html
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2011年5月17日 トピックス
現代の食をとりまく環境について
http://www.akanbou.com/topics/topics/044.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


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 ト ピ ッ ク ス
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 35歳以上の妊娠、出産戦略を考える
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日本では晩婚化、晩産化が進行していると言われています。

このメルマガは2003年の9月にスタートしました。スタート当初の読者
の平均年齢は30歳だったのが、2007年には35.3歳、2009年に
は36.6歳、そして、今年は38.5歳になりました。

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 とにかく妊娠、出産年齢が高齢化している
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 ━ 妊娠希望年齢の高齢化

厚生労働省による出生に関する統計をみると、2009年に、はじめてのお
子さんを出産した母親の平均年齢は29.7歳で、2000年の28.0歳
から2歳も高くなっています。

年齢別出生数をみると、35~39歳で出産した女性の割合は、2000年
から2009年に、11.8%から22.5%に、また、40歳以上で出産
した女性は、1.2%から2.9%に、それぞれ、倍増、もしくは、それ以
上に増えていることが分かります。

WHO(世界保健機構)では35歳以上の初めての出産を高齢出産と定義し
ていますが、医学的見地から妊娠に適しているとされているのは20~30
歳代前半です。

つまり、日本では、生理的に妊娠に適していると考えられている年齢と、実
際に妊娠を希望する年齢のギャップが、年々、大きくなっていて、高齢妊娠
や高齢出産が、もはや、当たり前になっているということです。

そして、統計にあらわれる迄に時間がかかりますから、これまでの推移をみ
ると現時点では、この傾向に拍車がかかっていることは間違いありません。


 ━ ART治療件数の急増と治療成績の悪化

不妊治療専門クリニックでは、初診患者の平均年齢が、年々、高くなってい
ると、どのドクターも口にされます。

そして、妊娠希望年齢と妊娠適齢期のギャップが大きくなる一方で、不妊治
療では、体外受精や顕微授精(ART)の治療件数が、年々、増えています。

日本産科婦人科学会の統計によると、2002年のARTの総治療周期は、
83651周期だったのが、2008年には190613周期と228%も
増えています。

その一方、成功率、すなわち、出産に至った確率は、2002年は18.2
%だったのが、2008年には11.4%と大きく落ちています。

このことは、年をとって妊娠する力が低下してしまえば、ARTによる治療
効果には限界があるということを教えてくれています。

そして、生理的な妊娠適齢後期から妊娠を望む女性が増え、高度な不妊治療
への期待が高くなり、体外受精や顕微授精の治療数が増加しているものの、
治療効果がそれほど高くないために、負担の大きい治療が何回も繰り返され
ている現実が見えてきます。

妊娠を先送りしても、いざとなったら体外受精を受ければいいという考えは、
現実には通用せず、悲しいかな、後悔することになってしまいかねないと言
えるわけです。

年齢が治療成績に及ぼす影響を詳しくみてみましょう。


 ━ 年齢と妊娠率の関係

1)妊娠する力は35歳を境に急速に低下する

同じく日本産科婦人科学会の統計で、2008年の体外受精や顕微授精によ
る年齢別治療周期あたりの出産率の推移は以下の通りです。

28歳 17.4%
30歳 17.7%
35歳 14.7%
37歳 12.5%
38歳 10.9%
39歳  8.4%
40歳  6.9%
42歳  2.9%
44歳  0.7%

ARTによる治療成績は年齢が高くなるに従って低下していくこと、また、
35歳を超えるとそのスピードが速くなることが一目瞭然です。

このことを、梅ヶ丘産婦人科院長の辰巳先生は、35歳までは妊娠する力の
低下が比較的ゆっくりにすすむ「低速低下期」、36歳以上になると妊娠す
る力の低下するスピードが早くなる「高速低下期」と表現されています。

2)治療成績低下の主な原因は卵子の老化

さて、ARTやそれに伴う治療オプションで、ほとんどの不妊の原因はクリ
アできるはずです。

それでも、年齢とともに治療成績が下がっていくのはなぜでしょう?

それは、年齢とともに卵子も一緒に年をとり、老化が進むことが避けられな
いからです。

その証拠にアメリカで盛んな卵子提供による体外受精の治療成績をみてみる
と、若い女性から卵子の提供を受けた場合、年齢が50歳を超えても、驚く
ことに、治療成績は低くなりません。

男性は毎日精子をつくり続けていますが、女性は生まれたときから卵巣内に
すべての卵子がすでにあって、以後、新たにつくることはなく、少なくなる
一方であるという宿命にあります。

そのため、卵巣内の卵子は、女性の年齢とともに、数が少なくなり、質も低
下していくため、妊娠する力が年齢とともに低下してしまうのが避けられな
いのです。

女性が年をとると、染色体に異常のある卵子が排卵される頻度が増えるため、
自然妊娠の確率が低くなり、たとえ、不妊治療で卵巣を刺激しても、それに
反応して成熟する卵子の数が少なくなるために、妊娠できる力を備えた卵子
に巡り合える確率が低くなってしまうというわけです。

3)妊娠できたとしても・・・

まら、たとえ妊娠できたとしても、その後、流産してしまう確率が年齢とと
もに高くなっていきます。

2008年の体外受精や顕微授精による年齢別治療周期あたりの流産率の推
移は以下の通りです。

28歳 17.9%
30歳 17.4%
35歳 20.7%
37歳 25.7%
38歳 27.2%
39歳 32.0%
40歳 33.9%
42歳 49.7%
44歳 66.8%

これも染色体異常のある卵子が増えることが主な原因だと考えられています。

また、頻度は低いものの、お子さんの先天異常のリスクが高くなったり、妊
婦の健康状態によっては妊娠や出産に伴う合併症も起こりやすくなります。


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 35歳からの妊娠、出産戦略の3つの柱
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それでは、このような状況を踏まえて、35歳からの妊娠や出産戦略を考え
てみましょう。

その柱は3つあります。年齢別不妊治療戦略とクリニック選び、そして、卵
巣のアンチエイジングです。


1)年齢別不妊治療戦略

年齢別に不妊治療で気をつけることを整理します。

◎母親になる女性が35歳未満の場合

妊娠力の低速低下期にあたるため、通常のペースで治療に臨めばいいのです
が、年齢以上に卵巣が年をとっている場合には、治療のスピードを上げるの
が得策です。

そのためには、アンチミューラリアンホルモンを測定して、卵巣年齢を知っ
ておくことが大切です。

◎母親になる女性が35~39歳の場合

妊娠力急速低下期においては、いずれは体外受精を受けようと考えている場
合には、早めにステップアップするのが得策です。

ただし、不妊期間が半年未満であれば、体外受精を受けなければクリアでき
ない不妊原因がなければ、適切な期間、タイミング指導や人工授精にチャレ
ンジする選択肢も十分にあり得ます。

ただし、そのような場合でも、治療のスタート時にアンチミューラリアンホ
ルモンを測定し、自分の卵巣年齢を知っておくことは大切なことです。

◎母親になる女性の年齢が40歳以上の場合

体外受精でなければクリアできない不妊原因がなければ、体外受精の治療効
果はそれほど高くありません。

それよりも、妊娠できる力を備えた卵子に巡り合えるかどうかが最も重要に
なります。

そのため、体外受精を受けていても、治療を受けない周期も自然妊娠や人工
授精でチャレンジし、排卵機会を逃さないことが大切になってきます。

40歳を超えたからといって、体外受精でしか妊娠できなくなってしまうわ
けではありません。


2)自分にあったクリニックを選ぶ

高齢になればなるほど、子宮筋腫や子宮内膜症、受精卵の表面が硬くなった
りと、不妊の原因になる病気にかかりやすくなります。

そのため、有効な治療方針を立てることは簡単にはいかくなるケースが増え
てきます。

また、卵子の老化が伴うため、1回あたりの不妊治療の効果も低くならざる
を得ません。

ARTが普及するに伴って、治療オプションが増えました。また、ドクター
やクリニックによる治療方針や技術レベルの違いも顕著になっています。

そのため、それぞれの状況に応じた治療オプションを選択し、出来るだけ効
果的な治療を受けられるかは、クリニック選びにかかっていると言っても過
言ではありません。

治療の不成功の原因を年齢や卵子の老化だけのせいにして、漫然と同じ治療
を繰り返すのは、肉体的にも、精神的にも、経済的にも、大きな負担です。

そのため、自分たちに最も効果的な治療方針や治療を提案してくれて、それ
を実施するだけの技術をもっていて、納得のいく治療を受けられるクリニッ
クを選ぶことが大切です。


3)卵巣のアンチエイジング

卵巣のアンチエイジングと言いましたが、自分たちで出来ることは積極的に
取り組みましょうということです。

まずは、年齢とともに、また、不妊治療を始めるとともに、性交回数が少な
くなる傾向にあり、そのことが妊娠率の低下に拍車をかけています。

出会ってから結婚までの期間だけでなく、結婚してから妊娠を意識するまで
期間も長くなってしまった現代では切実な問題です。

ですから、もう一度、熱い夫婦関係を取り戻すように工夫し、性交回数を増
やしましょう。

不妊治療と違って、"嬉しい"副作用が伴う可能性があります。

一方、卵子の老化を逆転させる治療法は、残念ながら存在しません。

ところが、卵子をとりまく環境である卵巣という臓器の健康は、本人の努力
次第で改善することが可能です。

そのためのアンチエイジング的な発想がとても大切です。

特に、若い女性から卵子提供を受けることが標準的な治療オプションになっ
ていない日本では尚更のことでしょう。

抗加齢医学会では、卵巣のアンチエイジングのポイントとして、バランスの
よい食生活や適度な運動習慣、ストレスのマネージメント、質の高い睡眠、
そして、サプリメントによる良質な栄養素の補充を挙げています。

また、代替医療とよばれる、鍼灸やヨガ、アロマテラピーなどでココロとカ
ラダのバランスを整えることも大切です。

自分にあった方法を、自分でみつけることです。


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 さいごに
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新しい命を授かるということは、タイムリミットのあることですし、自分た
ちの力ではどうにもしようのない領域で進むものです。

結局、必ず、望みが叶うとは限りません。

ですから、最も大切なことは、後々、後悔のないようにするということだと
思います。

そのためには、正しい現状認識と正しい情報に接すること、そして、ふたり
の"納得解"をみつけるというか、導くということになるのではないでしょ
うか。

情報化社会になって、つくづく思うことに、"百聞は一見にしかず"だとい
うことです。

ふたりで、時に辛い思いをし、時に悲しい思いをしながらも、ふたりでとこ
とん話しあい、迷いながらも、前に進むことが、ふたりが望む人生を切り開
く力が自然と備わるようになることを信じて疑いません。


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 編 集 後 記
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はじめから年をとってから妊娠、出産を計画しているカップルはいないと思
います。

いろいろなことがあって、そうなったのだ、ということですね。

それは、いろいろなことがあって、今のパートーナーがいて、今があるとい
うことでもあるわけでしょう。

高齢でお子さんを出産した女性ほど長生きする傾向にあるという研究報告が
いくつもあります。

また、体外受精や顕微授精で生れたお子さんほど、知的な能力に優れている
との報告もあります。

人生は、思うようにならないことだらけですが、それは、同時に、何が災い
するかわからないだけでなく、何がどう幸いするかわからないということで
もあります。

結局、お子さんを授かっても、授からなくても、不妊治療を通じて、夫婦の
精神的な関係が強くなり、幸福な人生を送るようになったとの報告は、私た
ちをとても勇気づけてくれるものです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.414
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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