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妊娠しやすいカラダづくり 第435号 2011年10月16日発行
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お子さんを望まれるカップルを応援します。
なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
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出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。
━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼今週の更新情報
▼今月のトピックス
ストレスに強い体質をつくる
▼編集後記
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今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年10月13日 最新ニュース
妊娠前後の葉酸摂取と子どもの言語発達遅延の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2011101301.html
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2011年10月11日 編集長コラム
ストレスフリーの不妊治療のために
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20111011.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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今 月 の ト ピ ッ ク ス
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ストレスに強い体質をつくる
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ストレスは治療成績をも左右しかねないことから、不妊治療で通院するにあ
たって、ストレスをどうするかはとても大切なテーマです。
具体的な方法としては、ストレスをゼロにするのは困難なので、ストレスを
なくしたり、減らしたりするよりも、ストレスがあっても、その影響を最小
限にすることが現実的です。
そこで、今週は、ストレスに強い体質をつくる方法について考えてみます。
━ Мさんからのメール
"質のよい卵を育むための7つの生活習慣※"を実践するようになって、そ
れまでのように生理がきた後に落ちこんだり、検査や治療の結果に一喜一憂
したり、イライラしたりしなくなった、そんなメールを不妊治療をはじめて
3年になるというMさんからいただきました。
ストレスに強くなった気がするというのです。
私はМさんからのメールを読んで、『さもありなん!』、そう思いました。
なぜなら、そもそも、"質のよい卵を育むための7つの生活習慣"は、ウィ
メンズクリニック神野院長の神野正雄先生が、インスリン抵抗性の改善を目
的として考案されたもので、インスリン抵抗性とメンタルの健康は密接な関
係があると言われているからです。
━ ココロの安定をつくりだすものが私たちの体内にある
インスリンというのは、主に炭水化物(糖)の代謝を調整するホルモンのこ
とで、インスリン抵抗性というのは、そのインスリンの効き目が悪くなった
り、分泌しにくくなったりする状態のことです。
インスリンというホルモンがうまく働かなくなる、すなわち、血糖値のコン
トロールがうまくいなかくなると、ひいては、卵子や精子が悪くなってしま
うだけでなく、ココロの状態も不安定になってしまうと言われています。
私たちの身体のメカニズムというのは複雑というか、一見、関係ないように
見えることが、密接につながっているのですね。
一方、男性である私には想像だにできませんが、女性は生理前になるとイラ
イラしがちになることを、経験的に知っています。
それは、エストロゲンと脳内神経伝達物質であるセロトニンが密接な関係に
あるからだとされています。
要するに、ココロの状態が安定しているかどうかは、持って生まれたものと
いうよりも、ココロの安定をつくりだすものが多いか、少ないかで決まると
言っても過言ではないわけです。
━ 精神論や気休めではないストレスをマネージメントする方法
もしも、ココロの安定をつくるだすものを自ら増やすことができれば、スト
レスに強くなる体質を強化できるはずです。
そして、それは可能です。
不妊治療に限らず、誰しも、嫌なこと、辛いこと、悲しいことに出くわした
時、そんな状態が続いた時、ストレスを感じるものでしょう。
そんな時、同じようなことが起こっても、一時的に落ち込んでも、すぐに切
り替えて復活できる人もいれば、簡単にココロがくじけてしまう人もいます。
また、同じ人でも、その時々で、大変な状態でも、ココロの状態が柳の木の
ようにしなやかに対処できる時もあれば、ガラス細工のように粉々になって
しまう時もあるでしょう。
つまり、ストレス耐性、すなわち、ストレスに強いかどうかは、絶対的なも
のではなく、相対的なもので、その時々で、変化するものだということです。
そして、体内のココロの安定をつくりだすものがカギを握っているのです。
以下に、ココロの安定をつくるだすものを挙げ、それを増やす方法、すなわ
ち、ストレスに強い体質をつくる方法を紹介していきます。
▼血液中のブドウ糖濃度「血糖値」の安定
血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が不安定、すなわち、急激な上昇と下降
を繰り返すと、ココロの状態は不安定になり、イライラしたり、キレやすく
なったり、うつ病にかかりやすくなったりします。
血糖値の急激な上昇は大量のインスリンの分泌を招き、急激に下降し、低血
糖状態に陥るからです。
これを繰り返していると、インスリンの効き目が悪くなり(インスリン抵抗
性)、糖尿病や不妊症を招きかねません。
前述のインスリン抵抗性がメンタルな健康と密接な関係にあるゆえんです。
反対に血糖値がゆるやかに上昇し、インスリンがほどよく分泌されると、コ
コロの状態(脳の機能)も安定するというわけです。
つまり、血糖値を安定させることは、妊娠する力を高めるためにも、ストレ
スに強くなるうえでも、とても大切なテーマなのです。
◎血糖値を安定させるには?
甘いもの(砂糖)や清涼飲料水は避け、穀物は精製度の低いものを選び、食
事の際には、食べる順番に気をつけます。糖質制限食に取り組むのも方法で
す。
白砂糖はすぐに血糖値を上昇させます。特に、空腹時のお菓子やケーキは禁
物です。
血糖値をすぐに上昇させるのは(高GI食品)、たとえば、白米、餅、食パ
ンなどで、反対にゆっくりと血糖値を上昇させる(低GI食品)のは、たと
えば、野菜、海藻類、豆類、肉類、魚類、全粒粉のシリアルなどです。それ
らの中間(中GI食品)が、たとえば、うどん、玄米、ライ麦パン、さつま
いも、そば、パスタなどです。
また、食べ方(食べる順番)も重要で、低GI食品から食べて最後に高GI
食品を食べるようにします。
一方、砂糖水である清涼飲料水(ジュースやコーヒー、スポーツドリンク)
は避けるべきです。ミネラルウォーターかお茶を飲みましょう。
糖質制限食は取り組む価値がありそうです。
▼脳内神経伝達物質「セロトニン」の量とバランス
脳には、情報を伝えるためにたくさんの神経が張り巡らされていて、それら
の神経の先端からセロトニンドーパミン、ノルアドレナリンなどの化学物質
を放出し、次の神経に情報を伝達しています。
そして、これら神経伝達物質のバランスが崩れると、不安が高まったり、イ
ライラしやすくなることが知られています。
うつ病の人は、セロトニンが少なくなっていると考えられているため、最も
ポピュラーな抗うつ剤は、放出されたセロトニンが再び取り込まれるのを阻
害し、神経間にセロトニンを長く存在させるように作用します。
精神を安定させるセロトニン量を強制的に維持し、うつ病を改善しようとす
るものです。
ところが、かえって、神経伝達物質のバランスを崩し、副作用が伴うことが
あるのが難点です。
◎セロトニンの減少を防ぎ、脳内神経伝達物質のバランスをよくするには?
バランスのよい食生活を通して、良質なたんぱく質、ビタミンやミネラルな
どの微量栄養素を過不足なく摂り、食物繊維を豊富に摂って、腸内環境をよ
くします。
そもそも、脳内神経伝達物質は体内で独自に合成されるわけではなく、食事
から取り入れたアミノ酸をビタミンやミネラルの働きで、変換させ、さまざ
まな脳内神経伝達物質が合成されています。
因に、材料となるアミノ酸は、フェルニアラニンやトリプトファン、グルタ
ミン、それらを代謝、変換するのに関わるビタミンやミネラルは、葉酸やナ
イアシン、ビタミンB6、ビタミンC、鉄、銅、マグネシウムで、これらのい
ずれか一つでも不足してしまうと、気分や情緒に強く影響する神経伝達物質
が正常に合成されなくなってしまうのです。
また、その際に腸内細菌が深く関わっていることから、食物繊維や発酵食品
を豊富に摂り、善玉菌を増やし、腸内環境を整えておくことも大切です。
▼不飽和脂肪酸「オメガ3脂肪酸」のバランスと量
脂肪の構成成分である脂肪酸のうち、必須脂肪酸のオメガ6脂肪酸やオメガ
3脂肪酸は、細胞膜の材料で、脳内の神経細胞も例外ではないため、これら
の必須脂肪酸の量とそれらのバランスが脳の機能にも強く影響することが知
られています。
特に、オメガ3脂肪酸が重要で、オメガ3脂肪酸がうつ症状を緩和させたり、
精神状態の安定に寄与するとの研究報告が相次いでいます。
現代に特有の食生活では、オメガ6脂肪酸が過多になり、オメガ3脂肪酸が
不足しがちであると言われています。
◎オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスをよくするには?
植物油に豊富な代表的なオメガ6脂肪酸の過剰摂取を防ぐために、揚げ物や
炒め物などの加熱調理にはエキストラヴァージンのオリーブオイルを使いま
す。
一方、サラダなどのドレッシングには亜麻仁油やしそ油、エゴマ油などを使
い、週に3回は脂ののった魚を食べます。
また、トランス脂肪酸を含むマーガリンは食べないこと。同様にショートニ
ングを使った加工食品やスナック菓子、ファーストフードも極力避けます。
▼愛情ホルモン「オキシトシン」の量
愛情ホルモンとか、やすらぎと結びつきのホルモンなどの別名がある、オキ
シトシンには、多彩な働きがあるようですが、それらの別名があらわす通り、
不安が減り、性行動が促され、愛情を高める作用があると言われています。
授乳の際に赤ちゃんにおっぱいを吸われると、このオキシトシンの分泌が活
発になるので、母親の赤ちゃんへの愛情が高まり、母と子の結びつき(絆)
が強くなるのだそうです。
オキシトシンは、まさに、抗ストレスホルモンなのです。
◎オキシトシンの分泌を活発にするには?
前述の脳内神経伝達物質の一つであるセロトニンはオキシトシンの分泌を促
すことから、食生活が乱れることは、セロトニンの合成不足を招くだけでな
く、オキシトシンの分泌量の低下をも招いてしまうことになります。
また、リズミカルな身体へのタッチや運動がオキシトシンの分泌を促すこと
が分かっています。
そのため、パートナー同士でマッサージすること、ウォーキングなどの運動
がオキシトシンの分泌を活発にし、ストレスに強い体質をつくることに寄与
するだけでなく、パートナーとの絆が強くなるはずです。
━ すべてはつながっている
私たちの体内でココロの状態を安定させるものやことを多くするには、結局、
バランスよく食べること、健全な食べ方をすること、パートナーと仲良くふ
れあい、そして、身体を動かすことが大切なようです。
私たちの情緒や気分は、気合いや努力でどうにかなるわけではありません。
それらに強い影響を及ぼす、血糖値の動きや脳内神経伝達物質や脂肪酸、ホ
ルモンの量やバランスを整えることで、安定するようになり、ストレスに強
い体質になるわけです。
そして、それだけでなく、妊娠する力も高まることもお分かりいただけと思
います。
すべてはつながっているというわけです。
それらがよい方向に作用するのか、それとも、悪い方向に働くのか、すべて
はあなた次第と言っても過言ではないと思います。
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※質のよい卵を育むための7つの生活習慣
http://www.akanbou.com/oshiete/dr_jinno/index.html
※もっと詳しく知りたい人のための参考図書
「こころの免疫学」藤田紘一郎(新潮選書)
「オキシトシン」シャスティンウヴネースモベリ(晶文社)
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ツイッターからも情報を発信しています
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ツイッターからもさまざまな情報を発信しています。サイトに紹介するほど
でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
さい。また、皆さんの声もお聞かせいただければ嬉しいです。
・妊娠しやすいカラダづくりツイッター
http://twitter.com/ninkara
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編 集 後 記
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妊娠前後に葉酸のサプリメントを摂取すると、子どもが重度の言語発達障害
になる確率が、葉酸を摂らなかった母親の子どもに比べて低くなることがわ
かったとの研究結果が報告されています。
ノルウェーの母と子のコホート調査という、ノルウェーの国家プロジェクト
として実施された大規模な疫学調査のデータで確かめられたとのことです。
妊娠前から葉酸のサプリメントを服用することで、お子さんの脊椎二分症な
どの神経管が閉鎖してしまう先天障害にかかる確率が低くなることはよく知
られていて、そのため、厚生労働省も妊娠の可能性のある女性には葉酸のサ
プリメントを摂ることを推奨しています。
今回の研究では葉酸は子の言語能力の発達にも影響を及ぼすことがわかった
というわけですから、葉酸というのは新しい生命の誕生の際には本当に重要
な役割を担っている栄養素であることがわかります。
もちろん、言語能力の発達は葉酸だけで決まるわけではありませんが、お子
さんは健全に発育するための環境づくりの一環として、食は大切な要素だと
いうことですね。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.435
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数
・自社配信: 201部
・まぐまぐ:5,071部
・合計部数:5,272部(10月16日現在)
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