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VOL438 妊娠しやすいカラダをつくる食べ方を考える

2011年11月06日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第438号 2011年11月6日発行

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お子さんを望まれるカップルを応援します。

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。


━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報

▼今月の特集
妊娠しやすいカラダをつくる食べ方を考える

▼妊カラ編集室から
Fine祭りに参加しました

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年10月31日 トピックス
第67回アメリカ生殖医学会ハイライト
http://www.akanbou.com/topics/topics/051.html
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 今 月 の 特 集
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 妊娠しやすいカラダをつくる食べ方を考える
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私たちは、食べて、身体やエネルギーをつくっています。

ですから、何をどう食べるかによって、身体の"質"や"活力"が左右され
て当然です。

妊娠する力についても例外ではありません。

そのため、私たちは、これまで、食と妊娠する力の関係について、大きな関
心をもって情報の収集につとめ、多くの研究報告や専門家の見解を紹介して
きました。

そこから学んだことは、「問題の解決に有効なのは、特定の食材ではなく、
食べ方、もっと言うと、生活のスタイルである」ということです。

ついつい、"何を"食べるのかということが気になりがちですが、それより
も、"どのように"食べるのかにこだわるべきだということ。

つまり、どんなに健康によいことがわかっている食品でも、そればっかり、
食べるだけでは、あまり意味がなく、反対に、食のパターンが偏って、マイ
ナスの影響を及ぼしてしまいかねません。

それよりも、全体でどんなバランスで食事をしているかが大切なわけです。

そして、どんな食べ方が、健康体質をつくり、若さを保つうえで、有効なの
か、現時点での専門家の結論の一つは、「地中海式食事法」です。

ただ、地中海式食事法がベストというわけではなく、これまで、たまたま、
大規模な疫学調査が実施され、その有効性が科学的に確かめられているとい
うことです。


━ 地中海式食事スタイルの威力

地中海式食事法の凄さを強烈に印象づけた研究結果が2004年に発表され
ました(*1)。

70~90歳の2339人の男女の食生活と健康状態を10年間追跡調査し
たところ、地中海式食事法を続けることで、狭心症や心筋梗塞で死ぬリスク
が39%、がんで死ぬリスクが10%、そして、全ての原因で死ぬリスクが
23%も低くなるというのです。

不妊症のリスクについてはどうでしょう。

スペインの大学を卒業した2万人以上の女性を対象にした疫学調査の中から、
さまざまな条件を揃えた2154名の女性に、何をどれくらいの頻度で食べ
ているのか、食生活の傾向を調べ、地中海式食事法にどれだけ近いか、4段
階のグループに分けたところ、最も地中海式食事法に近い食生活の女性は、
最も遠い食生活の女性に比べて、不妊症のリスクが44%も低かったとのこ
と(*2)。

また、子どもの先天異常の発症リスクとの関係についても。

全米先天異常予防研究から、神経管閉鎖障害の子どもの母親936人、口唇
口蓋裂の子どもの母親2475人、そして、比較グループとして、健康な子
どもの母親2475人を対象に、妊娠前後の食生活についてアンケートを実
施しています(*3)。

その結果、地中海式食事法に近い食生活の母親の子どもほど、神経管閉鎖障
害や口唇口蓋裂の発症が少なかったというのです。

中でも、無脳症と食事の質との相関関係が最も強く、食事の質が最も高いグ
ループでは最も低いグループに比べて、無脳症の子の発症リスクが51%低
く、口唇口蓋裂では、食事の質が最も高いグループでは最も低いグループに
比べて、口蓋裂が伴わない口唇裂の子の発症リスクが34%低く、口蓋裂を
伴う口唇裂の発症リスクは26低いことがわかりました。

さらに、出生後の子どもの健康にも影響するようです。

地中海式食事法の本場、ギリシャの460人の子どもを対象に、妊娠中の母
親の食生活の地中海式食事度(スコア)や出生後の子どもの地中海式食事ス
コアと子どもの6歳半時点での健康の関係を調べています(*4)。

その結果、妊娠中の食生活の地中海式食事スコアが高かった母親の子どもは、
ぜんそくにかかるリスクが78%、アトピーにかかるリスクは45%、それ
ぞれ低いことがわかりました。

一方、出生後の子どもの食生活とぜんそくやアトピー発症リスクには関連性
がみられなかったとのこと。

このように女性の食生活と不妊症リスク、そして、子どもの先天異常発症リ
スク、さらには、子どものアレルギーの発症リスクにまで影響を及ぼすこと
が明らかになっています。


━ 地中海式食事法とは?

そもそも、地中海式食事法とは、1960年ごろの南イタリアやギリシャな
どの南ヨーロッパに人たちの生活スタイルにあった食事のことを言います。

要は、その時代に、その地域でつくられ、獲れた食材を、その地域に伝統的
な方法で調理された食事法なわけです。

具体的には、全粒粉(無精製)のシリアルやパスタ、パン、芋類を主食とし、
野菜や果物、豆類、ナッツ類などの植物性食品を多くとり、オリーブオイル
を主な摂取脂肪とし、ヨーグルトなどの低脂肪の乳製品や魚介類、鶏肉を週
に数回、反対に獣肉が少なく、お酒はワインを飲むスタイルです。

以下に、地中海食事法ピラミッドを参考に、食べる頻度を多い順に挙げてき
ます。

◎毎日食べるもの

・無精製、もしくは、精製度の低いパンやパスタ、お米などの穀物。
・果物、豆類、野菜
・オリーブオイル
・チーズ、ヨーグルト

◎週に1~2回

・魚
・鶏肉
・卵
・お菓子

◎月に1~2回

・獣肉


━ 毎日の運動習慣も含めての生活スタイルなのですが・・・

地中海式食事法ピラミッドの最も広がった最下部には、日々の身体活動と書
かれています。

地中海式食事法は、毎日、身体を動かすことがベースになっているのです。

単に、何をどう食べるのかということだけではなく、まさに、生活スタイル、
そのものなわけです。

前述の通り、地中海式食事法とは、現代のものではなく、約50年も前のも
のです。

そして、その頃の人々は、決して、健康のために意識して、そのような生活
スタイルを選択していたわけではないはずです。

その時代に、その土地にあったもの、伝えられていた方法で、生活を営んで
いた結果なわけです。

そのスタイルが、たまたま、健康長寿に適していたということでしょう。

もちろん、加工食品や冷凍食品、ファーストフードなんて、ありません。


━ 生活スタイルを自ら選択するということ

さて、私たちが生活している現代の日本では、伝統的に食べていた食材や調
理法だけでなく、世界中の食材や調理法で食事することが可能になりました。

どこに行っても、おなじみのファーストフードチェーンが並んでいます。

そして、電化製品や交通機関が発達し、身体を動かしたり、手間をかけるこ
となく、生活することが出来ます。

50年前に比べて、食や生活スタイルの選択肢は膨大に増えました。

ただし、快適さや豊かさを"便利さ"だけに求めると、不健康な生活スタイ
ルを選択することになってしまいます。

そして、そんな生活スタイルは、妊娠や出産に際して、決して、理想的なも
のではないこともわかりました。

そこで、地中海式食事法は、自らの生活スタイルを選択し直すにあたっての
大きなヒントになりそうです。

食べ方に関して言えば、既にお気づきの通り、地中海式食事法は、驚くほど、
和食に似ています。

おそらく、健康的な食事法として和食が世界的に注目されているゆえんでも
あるのでしょう。

もしも、地中海式食事法と同様の疫学調査を実施すれば、同じような結果が
得られるに違いありません。

具体的には、玄米や分搗き米に雑穀を混ぜて主食とし、魚や豆腐などでたん
ぱく質をとり、野菜や豆類、海藻、きのこなどを副菜とする食べ方は、それ
ぞれの食材や調味料に違いはあっても、それぞれのエッセンスは似ています。

そして、地中海式食事法と同様、和食もまた昔の食べ方になってしまったこ
とも同じです。

いかがでしょうか、改めて、現在の生活スタイルを見直し、運動習慣をベー
スにし、日本の伝統的な食べ方を選択してみませんか。

これまで快適で豊かな生活スタイルと何となく思ってきたものは、単に、企
業がつくりあげたところが少なくありません。

この機会に、自分たち、そして、未だ見ぬお子さんにとって、長い目で見て、
考えて、どんなスタイルを選択すべきか、改めて、考え、見直してみること
が大切なように思えてなりません。

単なる、妊娠や出産のためだけでなく、自分や家族が健康で生活を楽しむた
めであることは言うまでもありません。


---[文献]---------------------------------------------------------

*1)JAMA,292:1433-1439,2004
*2)Fertil Steril 2011 article in press
*3)Arch Pediatr Adolesc Med published online Oct.3,2011
*4)Thorax 63:507-513,2008

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 妊 カ ラ 編 集 室 か ら
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 Fine祭り2011に参加しました
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ここでもご紹介していたイベント、『Fine祭り2011 ひとりじゃないよ! 
不妊』は、11月3日に東京大手町の日経ホールにて、開催されました。

私たちも企業スペースに出展させていただき、参加してまいりました。

妊カラの読者の方々も、大勢、ブースにお立ち寄りいただき、お声をかけて
いただき、ありがとうございました。

今回で3回目の「Fine祭り」でしたが、年々、ご夫婦でされている方が増え
ていること、そして、私たちをうまく活用していただけていることを実感し
ました。

現在、ファティリティレッスンをお休みしていますので、皆さんとお目にか
かることができる唯一の機会ですので、私たちにとっても大変嬉しく、かつ、
皆さんの生の声を、直接、お聞きすることが出来て、自分たちの活動をおお
いに見直すことが出来ました。

これを機に、もっと皆さんのお役に立てるように、アイデアを実行に移して
いきたいと考えています。

このような機会をつくり、提供いただいた、Fineのスタッフの皆さん、そし
て、ブースにお立ち寄りいただいた皆さん、本当にありがとうございました。

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 編 集 後 記
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地中海料理は、健康によいとされていますが、そもそも、とても美味しい料
理です。

最近は、地中海式食事法は、認知症にもなりにくいことが確かめられている
ようです。

生活習慣病も認知症も、根本的には老化に伴う病気なわけですから、この食
べ方は、老化しくい食べ方なわけです。

そう考えると、この食べ方を続けていると、不妊のリスクが低くなるという
のもうなずけますね。

ただ、健康にいいからとか、老化しにくいからといっても、それを続けるこ
とが出来るかどうかは、別の問題であるような気がします。

なぜなら、食べることは、生活そのものですから、何をどう食べるのかは、
買い物や調理することも含めて、生活スタイルに密着しています。

ですから、食べ方を変えるためには、生活スタイルまで見直さないことには
うまくいかないでしょう。

そして、生活とは、仕事やその時々の都合、人間関係、嗜好などに支配され
ます。

食べ方を変えるためには、食の周辺の環境から変える必要がありそうです。

日常や都合に流されてしまうか、自らの意思と選択で組み替えるか、もはや、
価値観や生き方の問題です。

ちょっと大袈裟になってしまいましたが、大切なことだと思います。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.438
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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・合計部数:5,257部(11月6日現在)
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