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VOL.463 自分でつくるか、外から入れるか

2012年04月29日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第463号  2012年4月29日発行

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 お子さんを望まれるカップルを応援します。

 なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
 ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
 い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
 視点で、毎週末、配信しています。


━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼トピックス(3)
自分でつくるか、外から入れるか

▼妊カラ編集室から
「赤ちゃんがほしい人のための栄養レシピ」出版記念講演会のお知らせ

▼編集後記


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 ト ピ ッ ク ス (3)
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 自分でつくるか、外から入れるか 
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メラトニンというホルモンがあります。

私たち、人間は、太陽がのぼり、明るくなると、活動的になり、日が沈んで、
暗くなると、眠くなるという、"昼行性動物"で、私たちの生活は、太陽の光
に支配されているというわけですが、そこには、"睡眠ホルモン"と呼ばれる
このホルモンが介在しています。

暗くなったことを目から察知すると、脳の中の松果体というところからメラ
トニンが分泌され、身体に"眠りなさい"という信号が送られます。

そして、朝になり、明るくなると、その分泌が止まります。

つまり、夜になると眠くなり、明るくなると目覚めるのは、このホルモンが
演出しているのです。

そのため、不眠症や時差ボケの治療に利用されているのですが、その他にも
強力な抗酸化作用や細胞内のDNAを保護する働きや免疫作用を活性化し、
発ガン抑制作用があることが、近年の研究で明らかになっています、

そして、どうやら女性の卵胞液中で活性酸素のダメージから卵子を保護して
いるらしいことも研究で確かめられたことから、生殖医療においても注され、
活用されています。


━ 体外受精の補助としてのメラトニン

生殖医療においてのメラトニンの活用についての研究は、山口大学医学部産
婦人科の杉野教授らのグループが積極的に進めています。

メラトニンの抗酸化作用に注目し、卵胞液中のメラトニン濃度と卵の質につ
いて、さまざまな基礎研究や臨床試験の結果を発表しています。

例えば、メラトニン摂取で体外受精における受精率、妊娠率が上昇すること
を確かめています。

前回の体外受精が不成功に終わり、受精率が50%未満であった115名の
女性を2つのグループに分けて、一方のグループ(56名)には、採卵前周
期の月経5日目から採卵日の前日まで、1日3ミリグラムのメラトニンを摂
取してもらい、もう一方のグループ(59名)にはメラトニンは摂取せず、
前回の体外受精と比べて、変性卵率や受精率、妊娠率を比較しましたところ、
メラトニンを摂取したグループでは、前回の体外受精周期と比べて、変性卵
率は低下、受精率が上昇、19.6%の妊娠率であったのに対して、メラト
ニンを摂取しなかったグループでは、受精率の改善は見られず、妊娠率が、
10.2%だったとのこと。

杉野教授らのグループでは、これまでの研究で、以下のことを確認していま
す。

・排卵過程において、酸化ストレスが生ずると卵の成熟を妨げる。
・メラトニンが卵胞内で抗酸化物質として働き、卵を保護している。
・メラトニン投与が実際に卵の質を改善、受精率や妊娠率の向上につながる。

メラトニンの抗酸化作用は卵胞液中で卵を保護することから、メラトニンを
摂取することで、受精率や妊娠率がよくなると言うのです。


━ さて、どうするか?

メラトニンは妊娠しやすいカラダをつくるのに有用であることがわかりまし
た。

では、メラトニンを補充すればいいじゃないかと思うわけですが、ホルモン
ですから、アメリカでは「若返り」のサプリメントとして、スーパーでも売
られているのですが、日本では医薬品扱いです。

入手するには、インタネットでアメリカから個人輸入するか、医師に処方し
てもらうしかありません。

ネットの個人輸入では、メラトニンがラベルに書かれている通り含まれてい
ないもののほうが多かったりして、粗悪品が氾濫していますので、やはり、
医師の診断のもとに処方してもらうのが安心です。

ところが、メラトニン治療は標準的な治療法ではありませんので、理解のあ
る先生もいれば、そうでない先生もいます。

そのためメラトニンを補充するのは必ずしも現実的な方法ではないかもしれ
ません。


━ メラトニンは自らのカラダが合成している

ここからが本日の本題です。

ところで、メラトニンは、通常、私たちの体内で合成されています。

どのように合成されているのかは以下の通りです。

[たんぱく質]
   ↓
   ↓←カルシウム、ビタミンC+胃酸
   ↓
[L-トリプトファン]
   ↓
   ↓←葉酸、ナイアシン、鉄
   ↓
[5-HTP]
   ↓
   ↓←ビタミンB6
   ↓
[セロトニン] 
   ↓
   ↓←マグネシウム
   ↓
[メラトニン]

メラトニンは、食べて取り入れたたんぱく質が、カルシウムやビタミンC、
胃酸によって消化分解されたL-トリプトファンというアミノ酸を、葉酸や
ナイアシン、鉄が介在して5-HTPに変換し、そこにビタミンB6が関
わって、セロトニンが合成され、そして、最後はマグネシウムの助けでつ
くられているというわけです。

つまり、それぞれのプロセスで代謝を進める酵素である「職人」が、アミノ
酸を「材料」に、ビタミンやミネラルという「道具」を使って、セロトニン
やメラトニンという、私たちが健康や生殖機能を維持するために必須の物質
がつくられているというわけです。

ですから、酵素やたんぱく質、ビタミン、ミネラル、どれか一つでも不足す
ればメラトニンの合成はうまくいかなくなってしまいます。

特に、ビタミンB群や鉄、マグネシウムなどは現代の食生活では不足しがち
な栄養素です。

ここで、補充するのではなく、私たちのカラダのメラトニン合成分泌能力を
高めることに、発想を転換してみるとどうでしょう。


━ 補充するのではなく、つくる能力を高める

まずは、「バランスよく食べる」ことで、「自らのメラトニン合成能力を高
める」ことが出来るわけです。

メラトニンの材料となる良質なたんぱく質をしっかるとること、また、それ
はメラトニンをつくる職人となる酵素を生成することにもなります。そして、
職人がメラトニンをつくるための道具になるビタミンやミネラルを満遍なく
取り入れます。

メラトニンが十分につくられるだけの「材料」と「職人」、「道具」を揃え
たら、次は「生活リズム」を整えます。

このホルモンは、太陽が昇れば、分泌され、太陽が沈めば、止まるのです。

大自然のリズムによって分泌されるわけですから、夜更かしするほど、メラ
トニン活性度が低下してしまいます。メラトニンの分泌は午前0時から午前
2時の間にピークになりますから、遅くとも夜は12時までにベッドに入る
ことです。

そして、夜でも照明などで明るくしているとメラトニンの分泌が抑制されま
すので、暗くして寝ることで、メラトニンがしっかりと分泌されます。

また、朝は決まった時間に起きることで睡眠のリズムが整います。前夜にど
うしても夜更かしせざるを得なかった場合でも、いつもと同じ時間に起きる
ことが大切です。

さらに、朝に光を浴びることで、メラトニンの分泌が完全に止まり、メリハ
リをつけることができます。

一方、メラトニンはリズムのある運動によっても分泌が活発になります。朝
に太陽光を浴びながら、一定のリズムでウォーキングしたり、長くゆっくり
とした複式呼吸なども効果的です。


━ 自分でつくるか、外からとりいれるか

いかがでしょうか?今回のタイトルの意味がおわかりいただけたかと思いま
す。

自分でつくるか、外から入れるか、このことは決してメラトニンに限ったこ
とではありません。

例えば、ビタミン様物質で、卵質や男性不妊の改善効果が報告されている、
Lカルニチンは、たんぱく質にビタミンCや鉄、ビタミンB6、ナイアシン
が介在して体内で合成されています。

妊娠によいとか、生殖機能を高めると言われいる、さまざまな物質だけでな
く、直接的に生殖機能をコントロールしているホルモンも、体内で合成して
いるわけです。

それらを補充することばかりではなく、自らのカラダが持っているつくる力
を高めることにも目をむけることが大切です。

外から補充した場合、その量やタイミングがあっていないと副作用が伴うこ
ともあり得ます。

やはり、自らがつくったものを利用することが本来的です。

ただし、水や空気、たんぱく質や糖質、脂質、ビタミンやミネラル、食物繊
維などのベーシックな栄養成分は、残念ながら自分でつくることが出来ませ
ん。

これらを偏りなく、取り入れることが最重要であるゆえんです。

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記事ついての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com

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 妊 カ ラ 編 集 室 か ら
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 「赤ちゃんがほしい人のための栄養レシピ」出版記念講演会のお知らせ
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「知っておきたい妊娠するための体づくりと栄養素」で、先日もご紹介した
本、「赤ちゃんがほしい人のための栄養レシピ 」出版記念の著者と監修ド
クターによる講演会が開催されます。

直前ですがお知らせします。

飽食の時代とい言われる日本で、信じがたいことに栄養失調が増えていると
言われています。厚生労働省の国民栄養調査によると、30代、40代の女
性では、葉酸や鉄、亜鉛、カルシウムなどの妊娠や出産に大切な役割を担う
微量栄養素が平均で必要量の50~70%しか摂れていないことがわかりま
す。

食べ物の量は豊富ですが、食材に含まれる栄養素が減少していたり、栄養素
のバランスが崩れた加工食品やファーストフードなどが増えた食生活が原因
と考えられます。

妊娠や出産にふさわしい栄養環境を整えるためには、新鮮な食材を自分で調
理することが大切です。

そのための具体的なポイントが勉強できると思います。

講演会の概要は以下の通りです。

演者:定 真理子(著者)、出居 貞義(監修ドクター)
開催日:平成24年5月6日(日)
開始時間:13時~16時(開場12時~)
開催場所:大宮ソニックシティ 小ホール
費用:無料

詳細、参加申込は以下から。
http://www.omiya-lc.com/html/0506.html

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▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
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▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 〜 ふたりで知っておきたいオトコのこと」
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→「ネイチャーズギフト」
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▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html

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ツイッターからもさまざまな情報を発信しています。サイトに紹介するほど
でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
さい。また、皆さんの声もお聞かせいただければ嬉しいです。

・妊娠しやすいカラダづくりツイッター
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 編 集 後 記
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ゴールデンウィール真っ最中です。私(細川)は今年の連休は東伊豆のやす
らぎの里に滞在しています。昨年の夏に滞在レポートを書きました。
http://archive.mag2.com/0000116311/20110821131412000.html

昨日は「食のワーク」がありました。

日頃、何を食べるかについては割と気を使いますが、どう食べるのかについ
ては、ほとんど、無頓着です。

私なんかは、朝食は新聞を読みながら食べていますし、お昼も資料を見なが
ら食べたりします。

食のワークでは、正しい食べ方についての講義を受け、玄米を100噛んで
食べることを体験してみました。

100回も噛んで食べるなんてことは、これまで経験ありませんでしたが、
実際に噛んでみると、すごいんですね。

唾液が活発に出て、どろどろのスープになってしまうのです。そして、甘い
のです、何もつけなくても。

姿勢を正して、感謝の気持ちをもって、食べることに専念し、よく噛んで、
味わって食べる、それだけで、いろいろなことに気づかされ、変わると思い
ます。

得難い経験でした。

また、いろいろな気づきをお話しさせていただきたいと思います。

「ヤングのコーナー」は、連休中はお休みさせていただきます。

それでは、よい連休をお過ごしください。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.463
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数
・自社配信: 201部
・まぐまぐ:5,001部
・合計部数:5,202部(4月29日現在)
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