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VOL.464 現代社会に適応したライフスタイルを構築する

2012年05月06日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第464号  2012年5月6日発行

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.akanbou.com

 お子さんを望まれるカップルを応援します。

 なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
 ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
 い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
 視点で、毎週末、配信しています。


━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼編集長コラム
現代の社会に適応したライフスタイルを構築する

▼妊カラ編集室から
・当社スタッフ募集のお知らせ
・不妊ピア・カウンセラー養成講座(eラーニング)のご案内

▼編集後記


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 編 集 長 コ ラ ム
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 現代の社会に適応したライフスタイル構築する
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この連休の前半はやすらぎの里に滞在してまいりました。東伊豆にある断食
道場です。去年のお盆の初めての断食体験は滞在レポートに書きました。
http://archive.mag2.com/0000116311/20110821131412000.html

今回の2回目の体験で、私が感じ、考えたことの一つを書いてみたいと思い
ます。

昨年もそうだったのですが、断食中は歩きたくなります。もちろん、何も食
べていないので、少々、しんどいのですが、歩き始めて体が温まってくると、
シャキっと、元気になってくるのですね。

まるで、スイッチが入ったかのように、お腹が空いていることや断食中によ
くおこる頭痛のことなど、すっかり忘れてしまい、頭はスッキリ、体もとて
も楽になるのです。

そのことをやすらぎの里の大沢先生に話すと、すぐに使えるエネルギー源で
ある炭水化物が枯渇し、代わりに緊急用に貯えていた脂肪をエネルギー源に
変換して使うようになったサインだろうとのこと。

また、断食後の回復食では、玄米の3分粥とお豆腐のお味噌汁という超粗食
なのにもかかわらず、食後は汗ばむほどに体から熱が発せられるのです。

こちらは、食べないことに対応して、体の吸収する力や代謝する力が高まっ
たからだろうとのこと。断食の刺激で、体の働きの効率がよくなったわけで、
体が状況に適応して倹約家になったということでしょうか。

つまりは、人間の体には、少々、食べなくてもやっていけるような精巧なメ
カニズムが備わっているということなんですね。

以前、「ヒトはなぜ病気になるのか」という本で、病気の根本的な原因の一
つに"進化環境と現代環境とのミスマッチ"があるとして、ヒトのからだの
進化がおこった(体のメカニズムが出来上がった)環境と現代の環境とがあ
まりにも異なるため、ヒトのからだがそれについていけないからだというの
を読んで、とても納得したことがありました。

そもそも、人類の祖先が250万年前に、ヒトが20万年前に出現してこの
方、農耕や牧畜を開始して定住生活を始めたのがおそよ1万年前、それまで
は、ずーーーーーーーーと、サバンナで狩猟採取生活を営んできたわけです。

食という観点で言えば、口にするものは、主に野生(脂身のない)の肉や木
の実、種子、ナッツ、根茎、球根などで、その上、狩りが上手くいかず、食
事にありつけないことも、度々、だったのでしょう。そして、すぐにエネル
ギーに変換できる炭水化物や脂質などは、滅多にお目にかかれない超貴重な
栄養素だったはずです。

そんな環境に、私たちの体のメカニズムは最適化されているのです。

一方、食べ物があり余るくらいあって、その気になれば、好きなものを好き
なだけ食べられるようになったのは、250万年中、ほんのここ十数年くら
いのことで、そんな環境には、全く適応していないというわけです。

こんなふうに自分の体の根源的なメカニズムについて実感できるのも断食体
験の奥の深さです。

甘いものは「別腹」とか、お腹が一杯でも甘いものについつい手が伸びてし
まうというのは、決して、"意志が弱い"わけでも、"からだは悪いものを
欲する"わけでもなくて、"体のサバイバルしようというメカニズムが正常
に働いている"だけなんですね。

サバンナ生活時代には超貴重な栄養素であった糖質や脂質は、ちょっとくら
いお腹が一杯でもいくらでも食べられるようなメカニズムがサバイバル戦略
上、必要とされていたのです。

ところが、サバンナ時代の生き残り戦略が、現代社会では生活習慣病の原因
になってしまったのです。

ヒトは、食べ物がない状況への対応力は強いのですが、食べ物が溢れている
状況への対応力は弱くできているようです。

何とも皮肉な状況を人類はつくってしまったというわけです。

この事は生殖能力にも根深い影響を及ぼしています。

5大栄養素で言うところのタンパク質や微量栄養素と糖質の摂取量のアンバ
ランスや間違った摂り方は、インスリンという血糖値(血液中のブドウ糖濃
度)を下げる唯一のホルモンの働きを混乱させてしまい、プチ高血糖やプチ
低血糖状態を招き、たとえ、生活習慣病を引き起こすほどでなくても、ホル
モンバランスなどの生殖をコントロールするさまざまなシステムにマイナス
の影響を及ぼしています。

その結果、卵の成育を阻害したり、卵質を低下させたり、排卵しづらくさせ
たり、着床しづらくさせたり、そして、たとえ妊娠できても、流産しやすく
させたり、さまざまな合併症のリスクを高めたりしているのです。

もちろん、不妊検査は全て正常でも、です。

人間の生き残りのために備わった体のメカニズムが私たちの健康な生活や生
殖活動にブレーキをかけていると言っても、決して、過言ではないとさえ、
私は思います。

繰り返します。ヒトは、食べ物がない状況への対応力は強いのですが、食べ
物が溢れている状況への対応力は弱くできているのです。

ちょと話しは脱線します。

最近、パティシエ(お菓子職人)にスポットがあてられることが、昔に比べ
て増えたように思いますし、スイーツのお店や小さなパン屋さんが、私の住
んでいるところでも増えています。

食品産業という観点で言えば、人間はせいぜい食べて3食なわけですから、
人口が増えない限り、国内市場の拡大は限界がありますが、甘いものは"別
腹"ですから、スイーツやパンの市場は努力すれば伸ばせる余地があるわけ
で、その結果なのでしょう。

つまり、甘いものはお腹一杯でも食べられる、食べたいという、ヒトの根源
的なニーズにを満たすビジネスですから伸びて当然なわけです。

ただし、一消費者、一生活者目線で言えば、要注意ですが・・・。

さて、本題に戻ります。

私たちの体に備わったメカニズムと現代社会の環境とのミスマッチは、現時
点では、縮まるどころか、ますます、広がる気配に満ちています。

私たちはそのことを嘆きつつ、だまし、だまし、サバイバルしていくしかな
いのでしょうか。

つまり、ミスマッチは、新たに獲得したハイテクノロジーでそのギャップを
埋める努力をするしかないのでしょうか。

私は、ハイテクは、あくまで、ツールであり、かつ、対症療法的であって、
根本的な解決にはなり得ないと思います。

一方で、よくよく考えてみると、この現代社会は、私が言葉にするのも到底
おこがましいのですが、先人の命をかけた闘いや努力によって、自分たちの
子孫の幸福を願ってつくりあげたものであることは間違いありません。

つまり、一面で、自らの首を絞めかねない環境は、選択肢が豊富で、それら
を自由に選ぶことが出来るようになったという、ヒトが"望んで"つくりあ
げてきた結果であるということです。

要は、マイナス面を補って余りある、幸福な環境なわけです。

であれば、嘆いていても始まりません。

私たちがなすべきことは、まずは、糖質や脂質が苦労なく口にできる環境は、
決して、当たり前ではなく、先人が私たちのためにつくりあげてくれた大切
な環境であることに感謝することでしょう。

そして、天文学的に長い歴史の中で培われ、備わった、私たちの体のメカニ
ズムを変えることは不可能ですから、現代社会でサバイバルできるような生
活術を構築するしかないと思うのです。

マイナス面をカバーするのは私たちの役割であり、使命だということです。

つまり、先人たちは物を増やすことについては大成功をおさめたわけですが、
その増やした物をどう使い、どう利用すればいいのかについてのソフトは、
私たちが確立すべきではということです。

私たちの体に備わったメカニズムを知り、このことについて、もっと、もっ
と、意識して、自覚的になるべきではないでしょうか。

栄養素という観点から言えば、糖質や甘いものを減らし、良質のタンパク質
や微量栄養素を増やすことでしょう。

当然の成り行きでしょう、最近、糖質制限ダイエットについてはいろいろな
書物が出ています。

また、食材という観点から言えば、加工度、精製度の低いものを選択するこ
とでしょう。

ただし、マニュアル的な理解や受け止め方では、当然、限界があります。

やり方的には、我慢したり、自らを縛ったりすることではなく、私たちの体
が欲するものを素直に食べることだと思います。

本来、必要なものは、体が欲するはずだからです。

ところが、体には何かに依存してしまうというメカニズムがありますから、
頭と体が現代の社会環境で麻痺している状態では不要なもの、間違ったもの
を欲してしまいます。

ですから、その対策として、定期的に、頭や体を現代社会の環境による麻痺
から目覚めさせる必要があります。

たとえば、サバンナ時代のように空腹の中を歩いたり、大自然の中に身を置
いたりして現代社会特有の環境を一時的に断ってしまうのです。

そうすれば、必ず、私たちの中の「ヒト」性が目覚めるはずです。野に生き
る、「野生」と言ってもいいかもしれません。

断食体験も一つの有効な方法であることを実感しました。

断食後は、果物や野菜、玄米、そして、魚がとても美味しくなりますが、脂
こいものや麺類は食べたいとは思わなくなります。

そして、自然な甘いもの、たとば、さつまいもやバナナなどの果物は美味し
く感じても、人工的に甘いもの、たとえば、ケーキや添加物まみれのスナッ
ク菓子は欲しくなくなります。

こんなふうに、本当に美味しいと思えるもの、言い替えれば、人間の体のパ
フォーマンスが高まるものを、ふさわしい量をいただくことで、とても豊か
な食生活を満喫することが出来ます。

決して、禁欲的なものでも、我慢することでもありません。

こんなふうに生活する人が増えることで、添加物まみれの加工食品のニーズ
が小さくなっていくと、売上も落ち、それによって、ニーズや売上に敏感な
食品産業は粗悪な食品は製造しなくなることでしょう。

何が体に悪いとか、コンビニ食はダメだとか声をあげてみても空しいだけで
す。

単に、黙って買わなければいいだけの話しです。

現代社会においては、妊娠しづらいことを克服するために、食生活をはじめ
とする自分たちのライフスタイルについて考え、見直し、実践をすることは
避けて通れないテーマです。

正解やマニュアルはないと思います。

不妊という、決して、嬉しくない経験をすることが、歴史上、最も選択肢が
多く、自由度の高い、現代日本において、自分たちのライフスタイルについ
て考える機会を持てるだけでも、とても幸運な経験だと言えるのかもしれま
せん。

この機会に、お二人にとって最適で、現代社会に適応したライフスタイルを、
たくさんある選択肢の中から選び、そして、構築されることを願ってやみま
せん。


◎ご参考までに

・やすらぎの里のサイト
http://www.y-sato.com/

・本「ヒトはなぜ病気になるのか」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/205

・インスリンの働きの混乱が生殖機能に及ぼす影響について
http://www.akanbou.com/oshiete/dr_jinno/index.html

・インスリン抵抗性と排卵する力
http://archive.mag2.com/0000116311/20120212134751000.html

・心地よさの追求こそが
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20081124.html

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とうございます。今回はおりいってのお話しで、一緒に働いてくれるスタッ
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 編 集 後 記
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連休の最終日になりました。

今回の編集長コラムは断食体験後にうなされたように書いたものですから、
ちょっと、迷いましたが、そのまま配信することにしました。

何かを変えたり、始めたりするきっかけになれればと嬉しいのですが。

ただ、食に対する欲求を本来的なものにする方法は断食でだけではないと思
いますが、ショック療法的な意味では効果絶大です。

自宅でも週末を利用して実践することが出来ます。
http://www.akanbou.com/topics/topics-001/jissenhen.html

いずれにしても「食べない」ことや「体重を落とす」ことが目的ではありま
せん。

いろいろなことを感じ、少しでも、「ヒト」性や野生の感覚を取り戻すこと
が大切だと思います。

好評をいただいております「ヤングのコーナー」は連休中はお休みさせてい
ただきました。次号から再開の予定です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.464
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数
・自社配信: 201部
・まぐまぐ:5,001部
・合計部数:5,202部(5月6日現在)
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