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妊娠しやすいカラダづくり 第473号 2012年7月8日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.akanbou.com ━
お子さんを望まれるカップルを応援します。
なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
視点で、毎週末、配信しています。
━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼最新ニュース解説
第28回ヨーロッパ生殖医学会ハイライト
▼ヤングのコーナー
食事・栄養管理 実践してみました!
▼妊カラ編集室から
▼編集後記
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最新ニュース解説
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第28回ヨーロッパ生殖医学会ハイライト
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さる7月1日から4日迄、トルコのイスタンブールにて、第28回ヨーロッ
パ生殖医学会が開催されました。
学術集会で発表された最新の研究報告から、皆さんの参考にしてもらえそう
なテーマをピックアップして、ご紹介したいと思います。
━ 体外受精で生まれた子どもが世界で推計500万人以上に
ICMART(国際生殖補助医療モニタリング委員会)は、体外受精で生ま
れた子どもは、世界で500万人以上になったと推計されると発表しました。
1978年、イギリスで世界で初めての体外受精児、ルイーズブラウンさん
を出産したレズリーブラウンさんは、先月、お亡くなりになったそうですが、
30数年たった現在、年に約150万周期の体外受精が行われ、35万人の
赤ちゃんが生まれていて、これは新生児の1000人に3人の割合に相当す
るそうです。
ちなみに、わが国で2009年に実施された高度生殖補助医療の治療周期総
数は21万3800周期で、26680人の子どもが生まれ、新生児の40
人に1人の割合です。
この数字が示すように、日本は体外受精の実施数では世界の15%弱をしめ
ているのですが、出生児は世界の7%にしか過ぎません。
日本の治療あたりの妊娠率が12%と、世界平均の23%を大きく下回って
いるためです。
つまり、日本は世界で最も多くの体外受精が行われている「不妊治療大国」
なのにもかかわらず、その妊娠率は12%で世界平均の23%の半分程度な
のです。
日本の生殖医療技術が世界標準よりも低いわけでは、決してなく、反対に日
本の生殖医療技術は世界最高レベルとされています。
おそらく、患者の高齢化が最も進んでいること、そして、卵子の老化に対し
て、卵子提供という選択肢が現実的でなく、自分の卵子で確率の低い体外受
精を続けざるを得ないということが考えられます。あるいは、続けられる経
済力があると言えるかもしれません。
このデータからは、日本の厳しく、辛い現状が透けてみえるようです。
ICMARTの代表者は、体外受精技術が進歩し、普及することを知らしめ
ることで、カップルに誤った認識を与え、子づくりを先送りするときの口実
にさせてはならないと付け加えています。
体外受精は卵子の老化を治療するための技術ではなく、卵管閉塞や受精障害、
重度の男性不妊症など、本当に必要なカップルに施されるべき治療法である
と強調しています。
━ 1日に5杯以上のコーヒーは体外受精に治療成績を半分にする
これまでコーヒーと妊娠する力や治療成績との関係については多くの研究報
告がなされてきましたが、その影響や程度は研究によっていろいろで、諸説
あります。
ただ、今年のヨーロッパ生殖医学会で発表されたデンマークの最新の研究で
は、1日に5杯以上のコーヒーを飲む女性は妊娠率で50%、出産率で40
%、それぞれ治療成績が低かったとのこと。
デンマークの大学病院で体外受精や顕微授精を受けた3959人の女性に、
毎回の治療周期に入る前に1日に飲むコーヒーの量を確認し、その後の治療
成績との関係を解析した結果です。
研究チームは、コーヒーを飲み過ぎることが治療成績を低くすることよりも、
その影響の大きさに驚いたと言い、喫煙と治療成績の関係を調べたある研究
の結果得られた影響度合いと同じレベルだったとのことです。
これまでの研究結果も含めると、コーヒーは止めるべきだとは言えないが、
せいぜい、1日に2〜3杯くらいにするのが無難だと結論づけています。
━ 動物性脂肪は控え目に、オリーブオイルを積極的に
妊カラでも、度々、取り上げ、紹介してきたアメリカの看護師を対象にした
大規模な疫学調査の結果から食生活と排卵する力の関係を調べた「ファティ
リティダイエット」の著者であるハーバード大学公衆衛生大学院の研究者、
ドクターチャバロらは、今回は食事からの脂肪摂取状況と体外受精の治療成
績との関係を調べ、発表しています。
マサチューセッツ総合病院で生殖医療センターで体外受精を受けた147名
の女性に、食事からの脂肪摂取状況を、総摂取量、そして、飽和脂肪酸、一
価不飽和脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸などの脂肪酸別の摂取量
別に3つのグループに分け、治療成績との関係を解析しました。
その結果、主に動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸の摂取では、最も少ない女
性は平均の成熟卵の数が11.6個だったのに対して、最も多い女性のそれ
は9.3個でした。
また、植物性脂肪に多い多価不飽和脂肪酸の摂取では、最も多い女性は最も
少ない女性に比べて、良好な形態の胚の割合が少なく、分割スピードも遅い
ことがわかりました。
オリーブオイルに多い一価不飽和脂肪酸の摂取では、最も多い女性は最も少
ない女性に比べて出産率が3.45倍高いこともわかりました。
ドクターチャバロは、多価不飽和脂肪酸の摂取については、オメガ6脂肪酸
の摂取を減らすことが大切で、オメガ3脂肪酸は減らすべきではなく、積極
的にすべきだとしています。
そして、妊娠を望む女性への食生活におけるアドバイスとしては、オリーブ
オイルをベースにして、新鮮な野菜や果物を豊富に食べ、精製度の低い穀物
を主食にし、魚介類や豆、ナッツや種子が中心の地中海式の食事法がよいの
ではないかとしています。
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
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ヤングのコーナー 〜 食事・栄養管理 実践してみました!
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こんにちは、先週お休みしましたヤングです。
皆さん、日頃から食事には気を遣っているかと思いますが、実際に栄養バラ
ンス良く摂取できているかというのは、これまた別の話しですよね。
このメルマガでも以前(第467号)紹介しました「食事バランスガイド」
と「チェックブック」、参考にされていますか?
すでに実践・活用されている方もいらっしゃるかもしれませんね。
自他共に認める「ずぼら」な私は、チェックブックを印刷して記入するとい
う行為を続ける自信がなく、ウェブ上で同じように食事管理ができるサイト
はないか探してみました。
ダイエットを目的として提供しているサイトになりますが、日々の食事を記
録して、栄養が偏ってないかどうかの判断の目安になると思いますので是非
ご紹介したいと思います。
◎あすけん
「食事バランスガイド」に基づいた食事バランスの判定で、主食・主菜・副
菜のバランスをチェック。毎日の食事で何が足りないのか、簡単にわかりま
す。記録内容に基づいて、自動で栄養士からのアドバイスが表示されます。
「ずぼら」なヤング的使用感想は、食事内容の登録に多少手間がかかる気が
するのですが、「食事バランスガイド」に添ってアドバイスを受けられ、摂
取しすぎている栄養素や不足している栄養素が一目で把握できるので、栄養
管理という面でも非常に充実した内容のサービスを受けられると思います。
私の場合は、自分の想像以上に日頃からカロリーを摂取しすぎで食べ過ぎて
いることが把握できました。ちなみに摂取過剰な栄養素は、「主菜」と「牛
乳・乳製品」。
妊娠に必要とされているビタミン・ミネラルはサプリメントで補って正常範
囲を維持しているという感じです。
このようなウェブサービスを活用して、食事・栄養管理を実践してみるのも
お奨めですよ!
他にお奨めの使えるウェブサービスや皆さんの実践している食事・栄養管理
法がありましたら、是非教えて下さい。メールお待ちしております!
▼妊娠しやすいカラダづくり 第467号
http://archive.mag2.com/0000116311/20120527131949000.html
▼厚生労働省と農林水産省のよる妊産婦のための「食事バランスガイド」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf
▼「チェックブック」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/eiyou-syokuji8.pdf
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妊 カ ラ 編 集 室 か ら
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リニューアル公開延期のお知らせ
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前号の編集後記にて、サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」は7月5日の
木曜日にリニューアル公開するとお知らせしましたが、結局、抜き差しなら
ぬトラブルが発生してしまい、公開を延期することを余儀なくされておりま
す。
現在、修正作業中で、現在の見込みでは、なんとか、次のメルマガを配信す
るまでには公開できるのではないかと考えております。
お待ちいただいておりました皆さまには深くお詫び申し上げます。
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記事ついてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com
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株式会社パートナーズ運営サイト
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私たちはお子さんを望まれるカップルを応援しています。
▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/
▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 〜 ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/index.html
▼医師がサポートするサプリメントセレクトショップ
→「ネイチャーズギフト」
http://www.nature-g.com/
▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html
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ツイッターからも情報を発信しています
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ツイッターからもさまざまな情報を発信しています。サイトに紹介するほど
でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
さい。また、皆さんの声もお聞かせいただければ嬉しいです。
・妊娠しやすいカラダづくりツイッター
http://twitter.com/ninkara
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編 集 後 記
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ヨーロッパ生殖医学会で発表された、カフェインや脂肪の摂取と治療成績と
の関係のついての研究報告をご紹介しました。
体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が普及することで、それまではよく
わからなかった生活習慣や食生活と妊娠する力との関係が、微に入り細にわ
たり、把握することが出来るようになったということですね。
それまでは、経験即的なもの、もしくは、子づくりをはじめてから妊娠する
までに要した期間くらいしか、目安にするものがなかったわけです。
ところが、体外受精が普及すると、妊娠率や出産に至った確率だけではなく、
採卵個数や受精率、分割スピード、胚盤胞到達率など、妊娠に至る各プロセ
スまで、把握できるようになったわけです。
ただし、大切なことはそれらの研究報告の受け止め方です。
単に、何を食べれば、妊娠率が上がったとか、下がったとかいうような単純
な図式としてとらえても、さほど、意味はありません。
それだけを食べれば、確実に妊娠できるようになるわけではないからです。
そうではなく、全体の傾向をつかみ、大げさな言い方をすれば、人間の生殖
活動のメカニズムを理解すべきだと思うのです。
そして、そのうえで、妊娠しやすいカラダづくりを心がけ、そして、後悔の
ない赤ちゃん待ち期間を過ごすことこそが大切だと思います。
サイトのリニューアルにとても苦労していますが、いい勉強をしたとも思っ
ています。
とにかく、役立つサイトをつくるために頑張ります。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.473
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数:5,202部(7月8日現在)
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当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決し
てありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログ
ラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
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